東京Battery Summitに先立ち、PrimoobiusCEOのミシェル・シーモン氏に、欧州における電池リサイクルの規模拡大の実情、同社の技術的な強み、そして日本の産業界との連携への期待について話を聞いた。
Q. まず自己紹介をお願いします。
2023年7月よりPrimoobiusのCEOを務めている。それ以前は親会社であるSMS groupでコーポレート・デベロップメントを統括し、戦略的な取り組みや投資プロジェクトを担当した。その前はグローバルな経営コンサルティング会社Kearneyでマネージャーとして、オペレーションとパフォーマンス変革を専門に手がけた。
Q. サミットではどのようなテーマについて話される予定ですか。
発表では以下の4つのテーマを取り上げる予定だ。
- 電池リサイクル市場の現状(特に欧州における動向)
- リサイクル事業者が直面する主な課題と実践的な解決策
- Primoobiusのプロジェクトとビジネスアプローチ
- 電池リサイクルの将来展望とイノベーション
中心的なテーマは、研究室レベルの概念から、経済的に持続可能な信頼性の高い産業規模の操業への移行だ。
Q. Primoobiusの設立経緯と事業内容を教えてください。
SMS groupの子会社として、Primoobiusはグローバルなリソース、幅広いエンジニアリングの専門知識、そして国際的なネットワークを活用できる立場にある。SMS groupは大規模プラントエンジニアリングとリサイクル技術における実績を持ち、産業的な基盤を提供している。
当社のエンドツーエンドの電池リサイクル・プラントは、以下のすべての主要プロセス工程をカバーしている。
- 電池の安全な放電と解体
- 革新的で環境に配慮したウェット・シュレッディングと高度な機械処理(高回収率でのブラックマス回収を実現)
- 特許取得済みの低CO₂湿式冶金精製技術
- 新しい電池に使用可能な電池グレード材料の製造
技術・プラントエンジニアリングのパートナーとして、当社はコンセプト開発・エンジニアリングからトレーニング・ライフサイクルサービスまでの全工程をカバーし、事業者がこれらの成果を達成するための産業プラントを設計・提供している。
当社のプラントにより、事業者は多様なセル化学・設計・フォーマットから、リチウム・ニッケル・コバルトといった重要な電池金属を高純度で回収し、電池サプライチェーンに再投入することが可能だ。スケーラブルで商業的に安定したリサイクルインフラの実現が目標だ。
Q. 貴社のリサイクル技術の主な強みは何ですか。
電池リサイクルが世界的に拡大する中で、湿式冶金が原理的に機能するかどうかはもはや問題ではない。現在の本質的な課題は以下の点だ。
- 非常に多様なブラックマス組成(NMC、LCO、LFP等)にどう対応するか
- 高い回収率と電池グレードの製品品質を安定的に達成するにはどうすればよいか
- 産業規模で信頼性高く、かつコスト効率よく操業するにはどうすればよいか さらに、以下の重要な操業上の要素を統合して取り組んでいる。
- 水管理
- 残渣処理と廃棄物の最小化
- エネルギー効率
これらは副次的な検討事項ではなく、プロセス設計の中核要素として位置づけている。
Q. 従来のリサイクル技術との違いはどこにありますか。
当社の競争優位性は以下の通りだ。
- 実証済みの産業規模での実績
- 高いプロセス安定性と操業信頼性
- スケーラブルなプラント設計
- 完全統合型のエンドツーエンドソリューション
理論上の回収率だけに注目するのではなく、実際の市場条件下での長期的かつ安定した操業を優先している。
Q. 欧州の自動車OEMとの連携はありますか。
複数の主要な欧州自動車メーカーと緊密に連携している。特筆すべき例として、メルセデス・ベンツ・グループとの協業がある。メルセデス・ベンツは、ドイツ国内に産業規模の電池リサイクルプラントを建設する技術パートナーとしてPrimoobiusを選定した。これは、マテリアルループを閉じ、将来の電気自動車向けに貴重な原材料を回収するという同社の戦略的目標を反映したものだ。この完全統合型プラントは現在試運転段階にあり、実際の操業条件下でその設計を検証する重要なマイルストーンを迎えている。
Q. 日本訪問は初めてですか。日本市場への期待をお聞かせください。
はい、日本訪問は今回が初めてだ。日本を非常に重要な市場と位置づけている理由は以下の通りだ。
- 高度な素材技術
- 製造業における強い品質文化
- 確立された産業エコシステム
特に、リサイクル事業者、素材サプライヤー、自動車・電池メーカーなど、バリューチェーン全体にわたる関係構築に関心を持っている。
Q. 将来的に日本国内にリサイクル施設を設置することも検討していますか。
はい、もちろんだ。当社自身がリサイクル会社になるつもりはなく、実績ある当社のプラント技術と深いエンジニアリングの専門知識を通じて、地域のリサイクル事業者や電池産業のパートナーが電池リサイクルインフラを構築・拡大できるよう支援することに注力したいと考えている。日本市場では、電池材料のループを閉じるための高度な電池リサイクルプラントソリューションへのニーズを高める以下の動きがある。
- 電気自動車市場の成長
- 定置型蓄電システムの拡大
- 循環経済とリサイクルに関する規制・政策の動向
日本は高品質で信頼性の高い電池リサイクルソリューションの重要な市場となる大きな可能性を持っていると確信している。

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(IRuniverse R.S. & YT), translated by M.G.