Loading...

生成AI向けの旺盛な需要拡大受け民生向け伸び悩むも増収増益予想

2025/10/27 12:41
文字サイズ
生成AI向けの旺盛な需要拡大受け民生向け伸び悩むも増収増益予想

日本高純度化学(4973)26/3Q2WEB説明会メモ     新規にややネガティブ

 

26/3期11.0%増収1.5%営利増予想と緩やかな数量増と貴金属価格上昇で増収微増益予想

株価3300円(10/24) 時価総額200億円     発行済株6067千株

PER(DO予:12.9X)PBR(1.38X) 配当(26/3予)126円  配当利回り:3.8%

要約

 

26/3Q2は27.0%増収52.1%営利増と同期比数量増に転じQ1の38.3%減に対し盛り返す

1971年の設立以来、エレクトロニクス分野を事業フィールドの核に据え、半導体パッケージとコネクター用の金めっき薬品、銀めっき薬品、パラジウムめっき薬品の開発・製造・販売を行う専業メーカー。ターゲットを「最先端の電子機器産業の中でも“貴金属めっき工程”のみのニッチな分野」に絞り込み、貴金属めっき市場で高シェアを確保し、電子部品向けめっき薬品では世界トップクラスに位置する。同社の特徴は、めっき薬品の製造において大型の設備は保有せず、工程をフォーミュレーション(調合)に絞ることによりファブレス(ファブライト)型経営を実現している点にある。

 

10/24の14時立会時間中に26/3Q2決算が開示され、同日引け後にWEB説明会が実施された。26/3Q2業績は、売上高41.29億円(同期比27.0%増)、営業利益1.78億円(同52.1%増)、経常利益1.93億円(63.4%増)、税引利益4.89億円(11.1%減)となった。売上面では生成AI関連向けの増加、貴金属市況の上昇による売上高の嵩上げで2ケタ増収、営業利益は数量増効果に加え貴金属市況高から大幅増となり、大幅増収増益になった。なお、特別利益で政策保有株式売却による売却益が25/3Q2の6.26億円から26/3Q2は4.70億円に減少しており、税引利益は減益に留まった。

 

製品カテゴリー別ではPCB・半導体基板用が19.86億円(32.5%増)。この分野は上村工業、EEJA(田中貴金属の子会社)などが競合で、生成AI関連の半導体パッケージ、光通信モジュール及びメモリ向けが伸び、PCの民生向けも緩やかな回復に向かい、スマホの新モデルなどで汎用メモリ向けが想定以上に回復がみられ、貴金属価格高騰もあり同期比大幅増になった。コネクター用めっき薬品はダウケミカルなどが競合企業で、売上高5.41億円(3.0%増)であった。車載向けが足踏みも、スマホ向けや産業機械向けが底堅く微増収を確保した。リードフレーム用めっき薬品でも競合企業はEEJAなどで、売上高は14.82億円(29.8%増)となった。民生用が堅調に推移、車載向けは足踏みも、貴金属価格上昇で2ケタ増収に。

 

 

地域別売上では、台湾が7.95億円(29.5%増)とAIサーバ向け光通信モジュール、民生用リードフレームが堅調、一方で車載向けは在庫調整で低調であった。シンガポール・マレーシア向けは7.17億円(51.6%増)と、PC/サーバ向けパッケージ用途増が寄与、加えて貴金属価格上昇もあり大幅増になった。またその他地域が6.20億円(3.6倍)となっているが、これはフィリピン向けPC/サーバ向けパッケージ用途の寄与が大きい。日本は17.09億円(0.6%増)と、インテル向けのパッケージの伸び悩みなどが影響しているとみられる。

 

全体を通じ営業利益の1.17億円から1.79億円へ同期比0.62億円増の要因では、販売数量の増加寄与が0.77億円、新規ライン受注0.04億円、その他0.06億円の増益効果0.87億円に対し、昇給0.15億円、増員で0.10億円の減益要因に分析できる。26/3Q1では販売数量の減少で0.38億円の減益影響があったことから、Q2において数量効果がプラスとなり挽回したことがわかる。

26/3期11.0%増収1.5%営利増予想と緩やかな数量増と貴金属価格上昇で増収微増益予想

 26/3期、会社予想について税引利益のみ増額修正とした。これは政策保有株式の計上を中期経営計画中に20%未満まで縮減を図ると掲げた中で、株価上昇もあり売却額を増やすことが要因。この結果、26/3期予想は売上高140億円(11.0%増)、営業利益5.10億円(1.5%増)、経常利益6.7億円(1.9%増)、税引利益14.5億円(期初計画比9.5億円増額、8.2%減)予想とした。なお、セグメント、地域別予想の開示はない。

 

現状、26/3通期計画に対し上期での進捗率は、売上高で53.8%、営業利益で53.2%となっている。26/3Q1は同期比37.8%営業利益減だったものがQ2で同期比52.1%増とメモリの寄与から挽回しており、現状もこの動きが続いているとみられる。会社側では下期のスマホ向けメモリの好調持続に対し慎重にみているとのことで、26/3期については先端半導体向けの寄与の継続、メモリ向けも堅調な回復が続くとみられ、会社予想の上振れ着地が期待される。

 

27/3期は先端半導体向け拡大、AI搭載PC、スマホ増で収益拡大期待も収益性に課題

 27/3期はAIデータセンタの投資拡大の加速が見込まれ、加えてAI機能搭載スマホやPCの数量拡大も見込まれる。さらに車載向けなども在庫調整一巡で底打ちから回復が期待され、全体として数量効果により収益の大幅拡大が期待される。

現在、先端半導体においてはパッケージ技術として、2.5D/3D化、チップレット統合、ファン-アウトウェハレベルパッケージ(FOWLP)など「異種積層」「高密度インターコネクト」「微細配線ピッチ」の流れが進んでいる。これに伴い、サブストレートや基板上のランド・パッド、RDL(再配線層)・微細線・µvia・TSVといった構造で、配線ピッチ縮小、高周波信号、高密度実装、信号遅延低減・寄生低減などの要求が強まっている。また、半導体パッケージを構成する材料・めっき層では、配線・接続信頼性(はんだ接合、ワイヤーボンディング、金線/アルミ線ボンディング、接触端子など)・高耐熱・高周波耐性・薄膜化/薄積層化といった要求が強まっている。このような中で、めっきに要求される項目として、微細配線への対応、高周波特性への要求、3次元実装への適合などが挙げられる。具体的に微細配線化では従来のENIG(無電解ニッケル浸金)プロセスで3~6μmの厚いニッケル層が必要であったが、先端パッケージでは配線ピッチが10μmへ微細化しており、厚いニッケル層が障害となる。また高周波特性の要求では、30GHz~100GHz領域での伝送損失の低減が課題で、ニッケルは磁性を有するために高周波領域で伝送損失を引き起こすことが課題となっている。これらの問題に対し解決策として、DIG(ダイレクトイマージョンゴールド:銅上に直接金めっきを行う方式でニッケル層を設けない)やEPIG(エレクトロレス パラジウム イマージョン ゴールド:銅上に無電解パラジウムを設け、その上に金浸漬めっきを行う方式でニッケル層を省く構成)などの必要性が高まっている。DIGではニッケルレスとすることで、ニッケル下地を設けた方式に比べて信号損失(特に高周波時の「スキン効果」など)や層積材・めっき膜厚の制約・配線クリアランス低減の課題を低減できる。また、銅/錫(Cu/Sn)IMC(相組織)を形成し、従来のNi/Sn系よりも低温あるいは簡素なめっき構成で冶具・工程を簡略化できる利点がある。EPIGでは特に微細なランド・配線ピッチ/高密度実装基板において、ニッケル層を持たないことで膜厚ビルドアップを抑制し、パッド間クリアランスを確保しやすくなっている。さらにパラジウム層をバリア/拡散防止層として働かせ、金めっき上部を比較的薄く抑えつつ、高信頼なワイヤーボンド/はんだ結合とできる点も注目できる。現在、同社を含めめっき薬品各社が対応製品の本格投入に向けサンプル提供を行っているが、2026年以降の先端デバイスの本格拡大で売上拡大が加速しよう。

 

 特に同社最大手ユーザーと見られるイビデン(25/3期34.14億円、同社売上構成比27.1%、国内向けでは57%と推定)向け拡大の期待が大きい。これは9月の報道で、生成AIサーバ向けICパッケージ基板の生産量を拡大、現在の2拠点3工場体制から2025年度中に3拠点5工場体制に広げ、27年時点で生産規模を24年比2.5倍に増やすと表明している点。パッケージ基板の単価アップや積層数の増大などで単純に同社へのインパクトが2.5倍にはならないが、それなりの寄与が見込まれる。またAIデータセンタ拡大に伴い、光通信モジュール向けでも需要拡大が期待できる。特に光トランシーバ向けではAIデータセンタにおいて、従来のデータセンタの伝送容量である100Gbps対応から400Gbpsに対し、800Gbpsが標準となっており、さらに1.6Tbps対応も始まりつつある。このような中で光トランシーバの接点ではより高い周波数帯域で動作する必要から、ノイズや信号劣化の原因となる反射(リターンロス)や相互干渉(クロストーク)を最小限にすることが求められ、高品位の同社製品への需要が高まろう。

 

 いずれにしても、先端半導体の拡大、AIデータセンタなどの高速伝送システムの構築が進む中で、27/3期は収益の一段の拡大が期待される。但し、同社については収益性の低さの課題が依然として残っている。これは同社が貴金属めっき薬品に特化した「部品供給者」モデルを採用している点。製品コストの大部分が市場価格の変動が激しい貴金属地金に連動するため、売上原価が不安定になりやすく、利益率を直接的に圧迫する構造的脆弱性を抱えている。これに対し競合である上村工業やJCUは薬品と関連装置を一体で提供する「統合ソリューション」モデルにより顧客を囲い込み、高い付加価値を創出している。JPCは薬品の供給に留まることが多く、顧客のプロセス全体への関与が限定され、価値獲得の機会を逸していると言える。さらに同社は「少数精鋭」によるリーンな経営を標榜しているが、事業規模と単一拠点での運営は、グローバルな顧客に対する供給能力やサポート体制、さらには原材料の調達力において、世界的なネットワークを持つ競合他社に対して構造的劣位にある。会社側ではM&Aなども実行し、より少ない貴金属の使用で優れた接続性を実現する独自のプロセス薬品を供給するなどにより、高付加価値パートナーへの進化を図ろうとしているものの、具体的な方策はいまだ提示できていない。結果として政策保有有価証券の売却益を高収益企業への進化に活かしきれていない状況にある。この面では、27/3期に収益の上伸が期待できるものの、課題解決には時間を要しよう。

株価は4/25の本決算の好調、26/3期の緩やかな収益拡大予想で株価は緩やかに上昇、その後7/25に26/3Q1決算が大幅営利減だったこともあり伸び悩んだ。10/24の14:00に26/3Q2発表を行い、特別利益計上で税引利益大幅増額となるとの開示から、取引時間内に高騰を始め、10/24の終値では205円高の3300円で引けた。今回の増額修正で26/3期会社予想EPSは86.56円から250.64円に修正されたことでPERは13.2倍となった。この数字はプライム化学平均PER16.8倍に対し割安に見えるが、実際は本業での経常利益は6.7億円予想と変更なく、特別利益がなければEPSで86円程度であり、PERは37.4倍という事になり、割高感が拭えない。類似企業で収益性の高い3社となる上村工業のPER19.0倍、ICUのPER15.5倍、トリケミカル研究所の19.7倍に対しても割高感が強い。27/3期については本業の収益拡大が見込まれ、引き続き政策保有株式売却益計上がなされ、EPSは26/3期並の数字もあり得るが、本業からのベースでは割高感が拭えず、評価として新規にややネガティブと考える。

*図表は会社説明会資料、決算短信から掲載もしくはIRユニバース加工、チャートはヤフーから添付

 

 

 

*PCB基板加用工薬品 上村工業(4966)トリケミカル研究所(4369)、JCU(4975)との比較

 

関連記事

新着記事

ランキング