米下院委員会は11月12日、ホームページ上で、中国の重要鉱物寡占についての超党派による調査結果を発表した。中国が政府主導で過去何十年にもわたり世界の重要鉱物のサプライチェーン(供給網)を独占し、リチウムなどは価格を操作してきたと指摘。香港証券取引所(HKEX)傘下のロンドン金属取引所(LME)の公平性にも疑義を呈した。
詳細: china-interim-report-on-price-manipulation-w.toc-compressed.pdf
■中国のレアアース輸出規制は「過去数十年間の支配計画の集大成」
調査を行ったのは同委の中国委員会で、共和党と民主党の超党派の組織。発表によると、今回の調査によって以下の結果が明らかになった。
・中国政府は、鉱業資産の世界的な買収を支援するために、ゼロ金利融資を含む数百億ドルを国有鉱業会社に補助金を支給している。
・中国は鉱物価格報告を管理する法的枠組みを確立し、中国政府が国家安全保障上の利益を有利にするために価格を上げたり下げたりする能力を与えている。
・中国はリチウムを含む重要な鉱物の価格を引き下げた。
・価格を引き下ろした後、中国は自国企業に補助金を支給し、鉱業資産を積極的に取得し、世界のサプライチェーンに対する支配を強化した。
報告書は、10月9日に中国政府が発表した外資をも対象としたレアアースの輸出規制強化策について「あれは中国が何十年にもわたって築き上げた政策、投資、策略の集大成だった」と指摘。世界中のレアアース産業を支配しようとする試みだったと結論付けた。
■リチウムは中国が精錬を寡占、LMEは中国政府が間接監視
リチウムの寡占についても言及した。中国は国家主導で資源企業による海外でのリチウム企業の買収を進め、わずか6年ほどで世界のリチウム精錬の3分の2を独占するまでになったとした。その結果、2021年以降、中国政府は、世界のリチウム価格を人工的に押し下げるための協調的な取り組みを行い、米国のリチウム産業に損害を与えてきたと指摘。リチウム価格が上昇するたびに、中国政府は価格を再び引き下げるための行動を取っていたと非難した。
また、LMEに関しては、親会社のHKEXが中国中央政府の監視下にあることやデータを他の情報提供者にライセンス供与していることなどから「世界の金属需給を正確に反映した価格になっているか疑問だ」と指摘。HKEXによるLMEの買収は、倉庫能力で劣る上海商品取引所(SHFE)を補い、世界の金属価格情報の中心地を中国に移そうとする中国政府の野望の礎となったとした。
■鉱業向け融資の強化や価格ベンチマークのツール開発を提案
報告書では、結論として以下の米政府への勧告を提示した。
・重要鉱物融資と産業基盤プログラムを「重要鉱物皇帝」などの単一の調整当局の下で調整する。
・米国内での採掘と回収の取り組みを強化し、重要な保護措置を維持しながら許可のスケジュールを早める。
・一時的な鉱物の最低価格水準を模索する。
・価格発見と生産コストのベンチマークのための連邦レベルのツールを開発。
・民間マーケットメーカーを可能にし、オフテイク契約の連邦カウンターパーティとして機能する戦略資源備蓄(SRR)を設立する。
・重要鉱物および鉱物の回収とリサイクルの取り組みに関する同盟国間の連携を強化する。
・国内の磁石製造とイノベーションをサポート。
・重要鉱物税額控除を創設し、重要鉱物プロジェクトに対する低コスト融資を支援する。
・国立レアアース卓越性センターの設立などにより、レアアース労働者を育成する。
(IR Universe Kure)