資源大手のリオ・ティントは18日(現地時間)、豪州のクイーンズランド州・グラッドストンのヤルウン・アルミナ精製所の生産量を2026年10月から40%削減し、操業を2035年まで延長すると発表した。現在の生産体制では、同精錬所の尾鉱施設は、31年までの操業寿命とされていたが、今回の方針により4年延命することになり、精錬所全体としての操業も同期間伸びるという。
ヤルウン・アルミナ精錬所は、約725人の従業員を抱え、年間約300万トンのアルミナを生産しているが、今回の決定で約120万トン減少することになる。リオ・ティントは「顧客の要望や同社の他の事業には影響が出ず、ボーキサイト鉱山やアルミニウム製錬所は引き続きフル稼働する」としている。
アルミナの国際的な需給環境は、余剰傾向にある。
豪州の産業・科学・資源省は、中国、インド、インドネシアが供給をリードし、世界的なその量を25年の1億4800万トンから27年には1億6400万トンに増加すると予測している。一方の需要も中国、インドがけん引し、その量は、25年の1億4500万トンから27年には1億5100万トンに増加すると予測。需給バランスは、25年、27年ともに300万トン、1300万トンの供給超過になる。
価格面については、豪州産アルミナ(FOB Australia USD/ton)は20日現在、317.69ドルで推移しており、10年間のスパンで見ても安値圏にある。また同省は、25‐26年、26‐27年ともにトン当たり374ドルと予測しており、今後も大きな変化はないようだ。

過去10年間の豪州産アルミナ(FOB Australia USD/ton)相場

黄色部分:豪州の産業・科学・資源省の豪州のアルミナ価格予測等
(出所:Resources and Energy Quarterly:2025年9月)
今回のリオティントの方針によるアルミ市場への影響について、「現在のところ材料視はされていない。アルミナ需給は、ジャブジャブの環境が続いている状態なので、アルミ価格までの影響を心配する必要はない」(商社筋)との声が挙がっている。
(IRuniverse G・Mochizuki)