Nyrstarは20日、ポートピリーのマルチメタル製錬施設(南オーストラリア州)のパイロットプラントで今週、初のアンチモン金属の鋳造に成功したと発表した。2025年8月に発表された南オーストラリア州およびオーストラリア政府の資金提供パッケージによる支援を受けており、アンチモン金属の初期ロットは来年上半期に輸出される見込み。26年末までに年間2,000トンの生産体制の確立を目指しているという。
アンチモンは、弾薬、赤外線センサー、半導体、光ファイバー、バッテリー、太陽光パネル、家電など幅広い用途で使用される重要金属で、既存の鉛製錬インフラを活用することで生産が可能になるという。世界的なサプライチェーンの混乱や、中国によるアンチモン関連製品の輸出規制を背景に、その戦略的重要性が高まっている。
ポートピリーの鉛精錬インフラは米・豪の重要鉱物・希土類フレームワークに位置づけられており、さらなる投資とアップグレードが進めば、2028年までに同施設では年間最大5,000トンの精製アンチモン金属を生産できる可能性があるという。これは世界供給量の約15%、米国の2023年輸入量のほぼ100%に相当するとしている。
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(IRuniverse G・Mochizuki)