2025年のコバルト市況は乱高下した。ベンチマークとなるLGコバルトは12月11日に仲値$24.075/LBと、年初($10.95)の2.2倍に値上がりした。2月には$9.95と2015年12月以来ほぼ10年ぶりの安値に落ち込んだが、生産国であるコンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)の輸出統制で流通量が細るとの見方からV字回復した。
■輸出割当枠、24年の半分程度
2025年のLGコバルト価格の推移(Co99.3%)($/LB)

コンゴは世界のコバルト生産量の約7割を占める。同国は2月22日、まずは4か月の期限で同国からのコバルト輸出を禁止した。その後禁輸期間を9月まで延長した後、10月16日から割当制を導入。2025年内に最大1万8125トン、2026年と2027年の出荷上限をそれぞれ9万6600トンとした。
この割当枠に対し、市場では「予想よりも規模が小さかった」(9月25日のIRUNIVERSE主催「第12回バッテリーサミット」で、Project Blue プリンシパルアナリストのYing Lu(イン・ルー)氏)、「コンゴの輸出割り当ては輸出規制前の2024年の半分程度で、いかにも少ない」(11月中旬、IR Universeの取材に、コバルト貿易を手掛ける外資系商社の担当者)と、失望が広がる。2027年までの中長期にわたり供給が細るとの見方が強まり、コバルト価格は急反発した。
2025年のHGコバルトと硫酸コバルトの価格推移(Co99.8%)($/LB) (20.5%min China)(RMB/Mt)

2025年のLMEコバルト価格の推移($/ton)

LGコバルトに呼応し、ハイグレードのHGコバルトや電池向けの硫酸コバルト、国際価格のLMEコバルトも同様の経緯をたどった。HGコバルトには2024年までに一時、兵器向け需要期待が膨らんだ時期があったが、2025年は固有の動きは乏しかった。
■コンゴの政策見直しで急落の恐れも
コンゴの政策が続けば、2026年のコバルト価格は引き続き強含む可能性が高い。ただ、「価格が高騰すればコンゴ政府が政策を見直す可能性がある」(前出の外資系商社担当者)との期待もある。
コンゴの規制が打ち出される前、コバルトはそもそも供給過剰だった。生産世界最大手の中国の洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)や2位のスイス資源のグレンコアが増産を継続する計画で、供給は増える見通しだった。供給増加で価格が下落し、企業は2024年から続くコスト割れ危機と戦っていた。
現在も生産自体は行われており、「流通」が絞られているだけで「供給」は多い。このため、何かの拍子で栓が開かれれば「コバルト価格は急落する恐れもある」(12月4日にIR Universeの取材に対し、Project Blueマネージャーのドミニク・ウェルス(Dominic Wells)氏)。
2027年までのコバルト需給バランス見通し

(出所:Cobalt Institute)
(IR Universe Kure)