Loading...

【年末企画 タングステン】APT2.5倍に値上がり、26年は1000ドル試すか

2025/12/14 18:43
文字サイズ
【年末企画 タングステン】APT2.5倍に値上がり、26年は1000ドル試すか

 2025年のタングステン市況は快進撃を続けた。ベンチマークのタングステンAPT価格は12月11日に高値$780/MTUと、年初($340)の2.5倍に跳ね上がった。中国が2月にタングステンを輸出規制の対象に加えた。ただ、中国国内でも資源枯渇からタングステン価格は値上がりしており、世界的な供給不安から上昇が止まらなくなっている。

 

2025年のタングステンAPT価格の推移(EU Free market)($/MTU)

 

  タングステンAPT価格は仲値では12月11日に$760を付けた。年初($330)からの上昇率はやはり2.3倍に達した。

 

 中国は2月4日、タングステンバーなどタングステンの一部を輸出規制の対象に加えた。輸出禁止ではなく規制なので、中国の輸出企業が税関に申請し審査が通れば輸出が可能になる。しかし、実際には審査は滞り、特に3-5月はタングステンAPTの中国からの輸出はゼロだったことが中国側のデータから分かっている。

 

中国の2025年タングステン輸出量の推移

(中国税関の発表資料をもとにIR Universeが作成)

 

 中国の措置は西側に対する資源武器化の一環の面はもちろんあるが、国内産業の統制の意味も強い。中国ではタングステン鉱山の老朽化が進み、かねて採掘されるタングステンの品質低下が言われていた。また、中国当局よるタングステン鉱山に対する環境審査もかなり厳しく、採掘が難しくなっている。

 

 この結果、中国産タングステンは世界にはほとんど流通せず、日本のタングステン専門商社のトップからは「バージンはどこにもない。スクラップから調達するしかない」との悲鳴が上がった。

 

2025年の純タングステンスクラップ価格の推移(99% of Japan)($/kg)

 

 しかしそのスクラップも「世界的な景気低迷でスクラップの供給源となる廃車の発生が鈍い。加えて、国内で資源枯渇に直面している中国勢がタングステンスクラップを取りに来ている」(タングステンを扱う日本の商社の幹部)という。別のアジア市場トレーダーからもスクラップの供給は「スズメの涙というか、かなり少ない」との声が聞かれた。こうした中、純タングステンスクラップ価格もAPTに呼応する形で上昇した。

 

関連記事:タングステン系スクラップ 渇いた砂漠に一滴の水程度の供給にとどまる

 

■新たな鉱山開発には時間、需要は堅調

 西側諸国では北米や韓国、カザフスタンなどでの新たなタングステン鉱山の開発のニュースも聞かれる。しかし、商業ベースに乗って供給増に結び付くまでには時間がかかるだろう。中国の資源枯渇が抜本的な問題である以上、2026年も供給縮小に伴う価格上昇が続きそうだ。

 タングステンは兵器や自動車生産を中心とした超硬向け、太陽光パネル生産時のワイヤー向けなど需要は堅調だ。関係者の間では「中国価格はドル換算で既に$1000に迫っている」(タングステン専門商社のトップ)と身構える声もある。年明け早々にも$1000を試す場面がみられてもおかしくない。

 

(IR Universe Kure)

 

関連記事

新着記事

ランキング