半導体ArFレジスト用モノマーの世界最大手でありEUV向けレジストモノマーにも対応する大阪有機化学の25/11期決算が1月8日に発表された。12月22日に上方修正が発表されていたのでサプライズは無いが、営業利益は半導体関連材料の持ち直しで前年比34%増益になった。今26/11期は電子材料の売上計画が3.7%増になるなど全部門で慎重なトップラインの伸びを想定し、営業3.4%増益の見通し。為替の円高への転換懸念や日中関係の悪化などのリスク要因はあるが、中計の営業利益目標を1年前倒しで達成しており、例年の如く慎重な期初計画となっており、今後の動向が注目される。
25/11期は中計の目標営業利益を1年前倒しで達成
25/11期の営業利益は50億円の計画に対し61.9億円、前年比34.2%増となった。12月22日に61億円との修正見通しを公表していたのでサプライズは無いが、30/11期までの中期計画でフェーズ1として掲げていた26/11期に56億円の目標を1年前倒しで達成となった。化成品の高付加価値対応や電子材料の今後の需要増に対応した積極投資策による固定費負担増が一巡したことで、減価償却負担が減少傾向になっていることはあるが、化成品、電子材料、機能化学品の3セグメントとも増収増益と好調であった。
化成品は売上高133億円強、前年比6.5%増、セグメント利益22億円弱、同11.1%増となった。自動車用塗料向け販売が回復し、大型テレビ向け偏光板に使用されるディスプレイ用粘着剤向けやUVインクジェット用インク向けの製品の販売が好調を持続した。
電子材料は売上高167億円弱、前年比11.1%増、セグメント営業利益28億円弱、同48.7%増と急回復となった。24/11期4Qから主力のArFレジスト原料が回復基調となり、表示材料もタッチパネル用絶縁膜を中心に堅調であったことが背景にある。
機能化学品は売上高63億円弱、前年比7.8%増、セグメント利益12億円強、同59.9%増となった。機能材料の販売が堅調に推移し、子会社の半導体・電子部品向け高純度特殊溶剤の販売が半導体材料の好調と相まって持ち直し、堅調であったことが寄与している。
4Qの営業利益は前年同期比で減益に
前期4Qは営業利益15.5億円、前年同期比3.4%減、前四半期比でも9.0%減と回復も足踏みとなった。この主因は電子材料に収益が四半期では主益性の高い表示材料や開発案件にある製品の収益によるものであり、足元では表示材の収益の伸び鈍化やEUVレジスト原料の受託開発案件の変動が影響しているとみられる。電子材料の売上高は4Qに4,416百万円、前年同期比9.3%増となるもセグメント利益は672百万円、同14.8%っ減となった。一方、化成品のセグメント利益は550百万円、前年同期比8.9%増、機能化学品のセグメント利益は348百万円、同10.1%増と好調であった。
なお、4Qには特別利益として経済産業省のサプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金として
31.4億円を計上している。その為に当期純利益は34.5億円、前年同期比2.8倍増と膨らんでいる。
今26/11期は営業3%増とコンサバな計画、純利益は反動減で34%減を見込む
会社は今26/11期の計画を3.4%増収、営業利益64億円、同3.4%増とし、当期純利益は補助金による特別利益の計上の反動減から45億円、同34.7%減とする。半導体市場では回復傾向が継続、化成品、機能化学品の市場も堅調と見込み、減価償却費の2億円の減少の計画である。その前提として1ドル145円(前期は149円)への円高、国産ナフサ価格でキロリットル当たり6.0万円(同6.72万円)と原燃料安を見込んでいる。セグメント情報の公表は売上高のみであり、化成品が2.8%増、電子材料が3.7%増、機能化学品が3.8%増を見込んでいる。
会社の市場の見方や前提条件に、現在の日中関係の悪化の影響を考慮しても、この計画はコンサバと言わざるを得ない。ただ一つ言えるのは、30/11期を最終とする中期経営計画のフェーズ2での営業利益の目標が75億円であり、前期の営業利益がフェーズ1の目標営業利益の56億円を達成しており、30/11期の目標営業利益75億円の達成に向けての利益成長性は年3.9%増益と、これに沿ったリニアな収益計画になっている可能性が高いことだ。当期純利益も反動減で大幅な減益見通しも、まだ中計目標に未達のROE12%(25/11期は補助金を除くと10.1%)の達成には保有する投資有価証券(25/11期末残高75億円強)の縮減もあり得る。
株価は高値圏にあり、会社予想PERで18台と割高感があるが、今後の業績上方修正でどこまで解消できるかがポイントになる。

(IRuniverse 叶 一真)