2月5日18時、日本製鉄は15時半に発表した26/3期3Q決算を受けて説明会を開催した。説明資料はこちら。いつも説明を行う森会長は1月1日付の異動で海外事業に専念することになり、今回から岩井CFOが説明を行った。

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<はじめに>(資料2ページ)

足元の鉄鋼の環境は、従来から説明してきた中国の過剰生産問題に加えて、国内・海外ともにベースの鉄鋼需要が低迷していることで、危機的な状況が継続していると認識している。
こうした状況を想定して同社は、中期5カ年で、他社に先んじた国内収益構造対策を実行し、加工商社含めたグループ会社の再編にも取り組んで、海外においても、選択と集中を進めていくことで、いかなる環境下でも、実力ベース、6,000億以上確保する収益構造を構築してきた。
成長戦略は、海外に求めていく中で、象徴的にはUSスチールを傘下に収めたことで、従来の柱であったASEAN、インドに加えて米国という成長市場に本格参入をし、昨年末に公表した2030中長期経営計画で、1億トン、1兆円への布石が整ったところ。
今年度は現行地域の仕上げの年ということで、危機的な経営環境にあっても実力ベースの事業利益6,000億以上、これを確実に達成して、次の成長ステージに挑戦していく。
〇25年度3Q決算実績および25年度見通し
大変残念ながら前回の中間決算で、これの公表を終わった後(12月)に、北日本製鉄所の室蘭地区において、▲400億もの影響を伴う設備トラブル事故を発生させた。それを含めて今年度の見通し、実力ベース事業利益は、前回6,800億としていたが、▲600億円の下方修正ということで6,200億円とした。
ただ、約束してきた実録ベース6,000億以上の損益は堅持する見通し。
こうした影響含め同期の当期利益は赤字ということで、大きくは趨勢変わらない、これはUSスチールの取得に伴ってAM/NS Calvert社の持分を譲渡したその損失を中心に2,700億円規模の一過性の特別損失である、そういったことが原因。
配当見通しは、今回、前回公表通り変えない。期末12円、年間は24円。
<概況>
資料2ページに書いてあるとおり。
<25年度3Q決算実績および25年度見通し>
〇25年度 実力利益見通し(資料4ページ)

出所:会社発表資料よりIRU作成
●前回公表時からの変動(同5ページ)
1番左が25年度の見通し(8月1日公表)、USスチール買収直後ということで、ベースを6,500トン、それからUSスチール800トン見込んで7,300トンと公表したが、その後、USスチールの悪化ってことで、今期は収益貢献を見込まないと修正した。この時に、この6,800億の内数で、一過性っていうのが200億ほど(コークス炉の事故など)含まれていた。一方、関税影響の修正だとか、さらなる環境悪化があった。もう1つ室蘭の高炉の不調で、前回6,800億と公表したが、冒頭説明したように環境悪化とトラブル▲400億で、6,200億というのが今回の修正となる。
世界的な鋼材需要のベース需要の鈍化、それから中国の安値の継続、原料が、4Qに想定はしていが、それ以上に上がっている。これによって一過的にマージンがスクイーズ、縮小される影響で、トータルして▲200億ほど見込んでいる。
ただ、今年度を振り返ると、この一過性を、合計すると700億規模あった。これを除けば、本来であれば一過性除きで6,900、7000億レベルの実力ベースっていうのを出せた。
なお、USスチールの業績を見直さなかったのは、寒波の影響もあるが、USスチールの契約形態がバラバラなことも一因。買収して分かったことだが・・・、3ヵ月ごとの見直し、半年ごと、年間契約もある。また、ホットコイルベースもあれば酸洗ベースのものもあるため、ホットコイルの足元の上昇が、どこまで影響するのか分からないため。ちなみに、森会長は現在、自動車向けの契約に対し、日本と同じスキームならないか現在交渉中とのこと。
●実力利益
明らかに今中期は、ステージが変わったっていうことで、6,000億以上をずっと継続して出してきた。
先ほど説明したように6,200億、一過性除きで6,900をベースに、まさに先般公表した2030中期の1兆円以上に向けて、早期に1兆円以上を達成したいというのが中長期計画。
●26年度の考え方(資料に無い部分)
今回触れないが、26年の見通しは、算定中。5月の次年度の決算公表時に、示せればと思っているが、26年の取り組みは、まず1つ目、国内事業。
非常に厳しい状況が続いている。これまで進めてきたグループトータルでの体質強化、これを加速化する。合わせて、海外からの不当な安値材の輸入については、毅然とした対策の発動を政府に求めていく。こういうことで取り組んでいく。来期以降は国内と関連会社ではなく、完全子会社化したこともあるので、国内一体として、運営していくため、まとめて公表する予定。シナジー効果も出しやすい。
あと、海外、既存事業の収益力強化とさらなる規模拡大によって、新たな地産地消体制の確立を急ぐというのがテーマ。また、合わせて、この2つを同時に進めていくために、国内の組織、人事、仕事のやり方の見直し、こういったものを徹底的に進めて、若手人材の海外投入、これもUSスチールでは1つ象徴的ではあるが、進めていきたい。こうしたことで、来年度に向けて取り組んできた対策効果の最大発揮、シナジーを含めて、発表した新中期計画の施策の前倒しを図っていくことで、競合他社に対して圧倒的な優位性を確立していくのが基本方針、大テーマということで、今後、26年度は策定していく。
●当期利益の見通し(同7ページ)
個別開示項目が▲2,700億ある。これは、ウジミナスとカルバートの損失影響。結果として利益は▲700億の赤字ということで、これ基本的には予定通り。
<配当見通し>
資料の(先ほど説明した)通り、24円の配当。
<事業環境>
〇中国の鉄鋼需給状況(同9ページ)
資料の通り、特に左側の鋼材需要のグラフ。注釈を入れているが25年は8億トンであるが、前年対比5.9%減、中でも不動産の新規着工面積が同20%減っている。従来はこれをインフラ投資でカバーしていたが、インフラ投資も同2.2%減と、これは、統計の公表以来、初めての減少。非常に中国の内需は弱い、経済が悪い状況。
一方で、粗鋼生産は減ってはいるものの、ギャップはまだ拡大をしていることで、輸出はどんどん増えている状況だが、冒頭説明した通り、行き先はだんだんなくなってきているので、かなり限界に来ていると想定している。
〇国内鉄鋼需要(同10ページ)
内需が減少する中、高水準の鋼材輸入(資料の1番左のグラフ)が継続している。足元少し減っているがこれは通商対策を打っている影響。ステンレスとか、その効果が見えてきているのかなと思う。
引き続き新しい分野も含め、これは政府と進めていきたい。
国内のホットコイル市場は原料が上がっている中で引き続き低迷をしていることで、スプレッドは圧縮され、国内の住宅・非住宅の着工も右肩下がり、人手不足等はやはり構造的には何も解消していない。
あと、完成車輸出は横ばいといったところで、ここは引き続き対米の自動車輸出等の動向、引き続き要注意。
<戦略キャッシュ>
〇資産圧縮(同11ページ)
今回300億、さらに上乗せをして、今年度1,000億規模を実行したい。
〇最適資金調達で健全な財務体質と株主価値向上を両立(同12ページ)
資金調達、ハイブリッド資金先行調達し、円建てのハイブリッドローン、これは昨年の9月に実行した結果。合わせて約7,000億は、いわゆるUSスチールの買収に伴う2兆円のブリッジローン、資料下にあるが、このうちの7,000億規模は返済をしており、あと残る1兆3,000億っていうのを今後、今年の6月が期限になっているいので、検討していく。
<本体海外事業>
〇米国鉄鋼事業環境(同18ページ)
資料の左半分、1番左のところ、米国需要は引き続き堅調と思っている。真ん中の需要分野、自動車分野も横ばい・堅調。建設分野は、一時期の低迷から市場予測を上回る増加にはなっているが、やはり米国内の住宅ローンの問題を含めて、なかなか住宅系・建設系は伸び悩んでいる状況ではないかなとみている。
一方、ホットコイルの市況は、ちょうど点線を縦に引いているところ、これ6月になるが、これがUSスチールの買収が完了したところ。そこまでは関税の動きも含めて、ホットコイルが急激に上がっていた状況だった。ただ、一時的にスクイーズして下方に触れていて、さらに前回の決算を公表した時には、もう1回右肩上がりに上がっていくっていうような局面で前回の800億っていうのを公表した。
足元市況が900ドルレベル(普通のメタリックトーンで言うと、1,000ドルレベル)以降、非常に需要が反転して、この影響で今回もUSスチールの今年度の利益貢献を見込まないという風に置いている。
ただ、一番右端のところは、ぐっとまた上がりつつあるので、来年度の収益っていう意味では、これをどこまでみれるのか、よく考えながら来年度計画につなげていきたい。
〇USスチールの戦略投資計画進捗(同19ページ)
28年までに110億ドルを投入して、とにかく設備の新鋭化、結果としてコスト及び品質改善につながる投資がほとんどで、そのうち11億ドルが今年度すでに着手を始めている。検討中の内容は資料の通り。
〇USスチールの足元の取組み(同20ページ)
設備投資の効果には時間がかかるので、中長期計画でも説明した通り、シナジーを前倒しでやっていく。
資料の通り、今も月80名を超える長期派遣は決定しており、足元、短期派遣まで含めると100名規模はすでにUSスチールに専念している。
特に今やっていることは、先進技術ノウハウの導入と操業改善、これを加速化していくことで、設備そのものは古くて、非常にお金を入れてこなかったことがUSスチールの衰退に繋がってきた。設備の維持そのものは、しっかりとやってきたと派遣者及び幹部が見に行っても認識している。
したがって、今度、派遣者が、現場と一緒になって、共同して、拠点、工程別に、我々のレベルとの比較も含めて課題を抽出している。すでに260個のテーマ、具体的な改善施策が挙げられており、これを今一緒になって詰めているところ。非常に、内容的には、愚直な取り組みで、泥臭い。ただ、そういったことはコツコツやっていくと確実に効果が出てくるので、設備投資っていうほどではなくて、来年にかけて、時間は、またもう少しい必要だが、確実に前に進んでいる。代表的なBig Riverのこと書いているが、これについては12月で生産新記録ってことで、これは1-3月の彼らの目標を前倒しで達成。派遣している社員も非常に現場とうまく歓迎もされて、非常にいいムードで今進めている。
右側のトピックスは、Granite Cityの再稼働は決めている。4-6月で再稼働させる。これについても我々の現地派遣者が協力をしている。
一方、歴史的な寒波で、日本も大変だが、米国は桁が違う。マイナス10度からマイナス15度っていうことで、派遣した社員に聞いても非常にびっくり、初めての経験というぐらいの寒波、大寒波。
その中USスチールの各拠点は生産を継続している。ただ、ちょっと深刻な影響が出てくるのは、特に輸送障害。道路は凍って坂を登れないとか、輸送の中心を担っている川が凍結して船が動かないため、全般的なサプライチェーンにも影響している。加えて、凍ってしまって稼働に障害も一部ある。
それと、あと、米国の各州で寒さのせいで非常に大きな大停電があちこちで起こっている。天然ガスの価格も急騰している。いずれ解消に向かうと思うけど。そういう状況の中で、今回はUSスチールの業績を上方修正できなかった。
〇インドについて(同21ページ)
こちらは資料の通り。マージンは12月にボトムを付け改善局面に入った。インドの需要は確実に伸びているが、同業他社の能力増強が立ち上がってくるタイミングで、一時的に需給バランスが崩れるようなことを繰り返しながら上がってくように認識。今後の伸びが期待できる中で、資料の下に書いているように特に高付加価値化、薄板設備の増強を決めている。めっきライン酸洗が立ち上がってくるので、いよいよ自動車向けに本格参入を進めていくという、ステータスにある。
南部のアンドラプラデシュ州の一貫製鉄所の投資法案を検討している。
〇タイについて(同22ページ)
SUS、GGJについて、既に説明している通り。30%という非常の大きなシェを外資が持っている市場はなかなかない。SUSは孝行で健全かつ堅調な収益。問題はGGJだが、ようやく赤字体質から脱却に向けたシナリオが見え始めた。改善の成果が出始めた。資料の右下にあるように歩留向上、変動費削減の成果が出来てきた。
<非鉄3社>
資料29ページに本日発表した「日鉄エンジとカナデビアとの経営統合、これに向けた検討を開始するっていうことを今日リリースした。
(IRuniverse 井上 康)