戸田工業は2月26日、自社ホームページ上で、「ドイツ化学大手のBASFとの合弁を解消する」と発表した。合弁会社の持ち分すべてをBASFに譲渡する。両社は2015年からリチウムイオン電池(LIB)用正極材料の開発・製造販売で協業してきたが、足元の電気自動車(EV)販売の低迷を受け撤退することになった。
■持ち分34%をすべて譲渡
プレスリリース: 00.pdf
関係を解消するのは戸田工業の持分法適用関連会社の「BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社(BTBM)で、持ち株比率はBASFが66%、戸田工業は34%だった。ドイツのBASFに全株式を譲渡したうえで、BASFの日本法人であるBASFジャパンとの合弁関係を解消する。譲渡後も戸田工業によるBTBMへの土地、建物及び構築物の賃与、役務の提供はこれまで通り継続する。
戸田工業は今回の譲渡により、連結決算における持分法による投資損益が来年度以降改善し、連結経常利益の向上が見込まれるとした。発表を受け、2月27日の東京株式市場で戸田工業株は上昇した。
■車載電池からAI向けに方針転換
2022年までに盛り上がったEV向け電池への期待は、2024年以降の完成車の販売低迷と米国の政策転換で急速にしぼんでいる。2025年には欧州の期待の星だったスウェーデン新興電池のノースボルトが経営破綻し、SKオンなど韓国企業は米工場から撤退した。日本勢もトヨタや日産自動車が国内電池工場の建設計画を見直した。
関連記事: 北欧ノースボルトが経営破綻 スウェーデンでも破産申請、中国勢に勝てず消滅へ
関連記事:週刊バッテリートピックス「日産が北九州工場断念」「住友金属鉱山バッテリーで損失」など
とはいえ、電池向け事業を手掛けてきた企業がこれまでの経験を無にするわけではない。戸田工業は合弁解消の発表資料で、今後について「モビリティ・AI・環境といった成長分野への製品展開を加速し、新たな価値創造に挑戦する」とした。モビリティ・AI向けでは「磁石材料・誘電体材料といった成長事業に加え、次世代事業である軟磁性材料の拡大を推進する」という。AIなどの次世代分野が次の投資先になりそうだ。
(IR Universe Kure)