スウェーデン新興電池のノースボルトは3月12日、自社ホームページ上で、「本拠地であるスウェーデンで破産申請した」と発表した。同社は2024年11月に米国で破産を申請。欧米両地での破産申請で、完全な経営破綻となった。バッテリー業界のみならず、スウェーデンでも過去最大級の企業破綻となる見通しだ。
プレスリリース:Northvolt files for bankruptcy in Sweden | Northvolt
申請後は、スウェーデンの裁判所が任命した管財人が、同国の破産法に従って事業とその資産の売却、未払い債務の決済などのプロセスを監督する。同社は声明で「米国での破産申請を含めあらゆる形を模索したが、現在の企業の形態を継続するために必要な財務条件を確保することができなかった」と説明した。
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■24年のEVバッテリー世界シェア、中国2社が5割
ノースボルトは寧徳時代新能源科技(CATL)などの中国勢のバッテリー業界席巻に対抗する形で設立した。3月12日付のロイター通信によると、従業員数は約5000人。ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)と米金融大手ゴールドマン・サックスがそれぞれ約2割を出資する。また、独BMWやスウェーデンのトラック大手スカニアなど欧州の自動車大手が顧客となってノースボルトを支えてきた。
しかし、韓国調査会社のSNEリサーチが2月25日に発表した統計によると、2024年の電気自動車(EV)と電力貯蔵システム(ESS)向け電池の世界シェアは、CATLが38%、BYDが15%と中国の上位2社が世界の5割超を握る。韓国勢も含めれば上位のバッテリー企業はアジア勢による席巻が強固で、ノースボルトは太刀打ちできなかった。
2023年と2024年の世界のEV・ESSバッテリー販売状況
(出所:SNE reserch)
(IR Universe Kure)