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世界貿易の勢いは、フロントローディングの勢いが衰える中で鈍化

2025/12/12 16:49
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世界貿易の勢いは、フロントローディングの勢いが衰える中で鈍化

世界貿易機関(WTO)の最新(11月時点)の「物品貿易指標(Goods Trade Barometer)」によると、世界の海上貿易は、フロントローディング輸入が2025年前半の好調な成長を牽引した後、減速の兆しを見せている。この指標は、年末第4四半期に向けて、成長は鈍化するものの、依然として量的にはトレンドを上回ると示唆している。

 

フロントローディング輸入の驚異的な成長が鈍化

WTOの総合先行指標は、前回発表の6月の102.2から今回の9月には101.8に低下し、世界の物品貿易のペースが鈍化していることを示している。指標は引き続き拡大を示す基準値100を上回っているものの、この低下は、年初から見られたトランプ米大統領の関税措置を受け、多くの米輸入業者に対して関税支払い回避に向け発注の前倒し(フロントローディング)を促したほか、関税が高い市場から需要をシフトさせた、驚異的な成長が鈍化しつつあることを示唆している。

WTOは最新の報告書で、「2025年前半は関税引き上げを見据えた輸入の前倒しとAI関連製品の需要増加によって急増したが、後半はその後鈍化したようだ」とも述べた。

 

世界的な貨物輸送の冷え込み

海運業界の主要な輸送指標は、この冷え込み傾向を反映している。航空貨物輸送とコンテナ輸送の指数はともに過去3ヶ月で低下しており、航空貨物輸送は102.7、コンテナ輸送は101.7に低下し、「世界的な貨物輸送の冷え込みを示している」と報告書は述べている。

基準値を下回った唯一の構成指数は、年初から縮小傾向にある農産物原材料の98.0であった一方、自動車製品と電子部品は、同期間にそれぞれ103.0と102.0で横ばいであった。

 

輸出の持続的な勢い

減速は見られるものの、将来予測指標は持続的な勢いを示唆している。新規輸出受注指数は、前半の変動の後、102.3に上昇し、「世界の輸出の持続的な勢いを示している」とWTOは指摘した。

2025年上半期の世界貿易は予想を上回る好調な結果となり、商品数量は前年比4.9%増となった。しかし、WTOはその後、通年の見通しを下方修正し、2025年の成長率を2.4%と予測している。これは、「関税の引き上げと貿易政策をめぐる不確実性が下半期の成長を圧迫すると予想される」ためである。

WTOは、AI関連製品の需要が堅調に推移すれば、大きな上昇余地があると認識しており、これが上半期の素晴らしい業績を牽引した要因となっている。WTOの次回の貿易予測は、2026年4月に発表される予定である。

WTOのこのバロメーターは、商品貿易の動向に関するリアルタイム情報を提供することを目的としており、通常は2~3ヶ月先の動向を予測する。100 を超える値は、取引量がトレンドを上回っていることを示し、ベースラインを下回る数値は、取引量がトレンドを下回っているか、またはすぐにトレンドを下回ることを意味するとの解説だ。

 

 

(IRuniverse H.Nagai)

世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。

 

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