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欧州リサイクリング会議(ERC) マドリッド開催:循環経済、「実需」と規制調和を問う

2026/06/11 03:14 FREE
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欧州リサイクリング会議(ERC) マドリッド開催:循環経済、「実需」と規制調和を問う

欧州のリサイクル業界を束ねるリサイクリングヨーロッパ(Recycling Europe)による第8回欧州リサイクリング会議(ERC)が、6月10日、スペイン首都マドリッドで開催された。

今回のERCは6月9日から11日まで開かれたスペインの回収・リサイクル連盟(FER)主催による回収リサイクル会議を合同開催となった。そのため、地元スペインの企業が多数参加、会議も主にスペイン語で進行されるなど地元色の強いものとなった。会場はマドリッド空港に近い大型コングレスセンターIFEMA MADRID。リサイクリングヨーロッパとはメデイア・パートナーであるMIRUは今回二度目の参加となる。

オープニングでは、FER、リサイクリング・ヨーロッパ、IFEMA、マドリード州の代表者から挨拶のスピーチがあった。そのなかで、循環経済が政治スローガンとして広く用いられるようになるはるか以前から、この産業が資源管理において重要な役割を担ってきたことが強調された。 一方で、産業の現状は、とりわけ厳しいものであることも否めない。地政学的な不確実性、貿易摩擦、エネルギーコストの高騰、さらには規制圧力の増大が、リサイクル業者にとっては、厳しい環境を生み出している。 FERは、競争力のあるリサイクル産業抜きに真の循環経済は成り立たないと警告し、再生原料への需要不足と、同等の基準を満たしていない輸入材との不公正競争という二つの構造的問題を指摘した。

欧州レベルの視点からは、リサイクリング・ヨーロッパ会長のオリヴィエ・フランソワ氏が、過去数十年にわたる規制の「信じがたい」数の増加について触れ、警鐘を鳴らした。

マドリード州政府のラファエル・ガルシア・ゴンサレス氏は、リサイクルセクターの戦略的重要性を改めて強調し、スペイン国内には5000社を超える企業が存在し、およそ150億ユーロ規模のビジネスを生み出していると述べた。 直近1年間だけでも、約700万トンの鉄スクラップが回収され、65万台以上の車両が廃車処理されたことが報告され、経済的・環境的インパクトの大きさが数字で裏付けられた。 州政府は循環経済法を制定し、約4000万ユーロ超のインセンティブおよびインフラ整備に基づく戦略を打ち出す一方で、特に「廃棄物の終了(end-of-waste)」に関する手続きの簡素化など、官僚主義の削減を国の環境省に求めているという。

最後に、FERのアリシア・ガルシア事務局長が、同組織における20232〜027年の戦略計画を紹介した。 計画は、ロビー活動、付加価値サービス、業界向け研修、広報、デジタル化という五つの柱で構成されている。FERはすでに33の欧州イニシアチブに関与し、重要な規則案件への働きかけを強化するとともに、ウェビナーや講座を通じて1600名以上の人材育成に取り組み、業界向け職業資格の整備も進めている。

続いて今年法案の発表が予定されているEUの循環経済法をテーマにパネルディスカッションが行われた。

欧州の循環経済は前進を続けているものの、産業、気候、そして戦略面におけるEUの野心を実現するには、急速な加速が必要である。欧州機関、欧州委員会およびリサイクル業界の代表者が参加したディスカッションでは、EUが二次原材料を競争力の源泉としたいのであれば、ルールの調和、再生材に対する実需の創出、市場統合の簡素化が不可欠であるという点などが強調された。

欧州環境庁(EEA)のダニエル・モンタルボ氏は、EUにおける素材循環利用率が約12.2%にとどまり、構造転換というより停滞を映し出していると指摘した。市場は依然として分断され、各国ごとに規制の異なる解釈が存在し、市場は依然として再生材よりバージン材を優遇しているという現状だ。

規制調和の必要性は、パネル全体を通じて繰り返し強調された論点であった。製紙セクターを代表したホセ・アンドレス・マルティン・クベロ氏は、EU全域で統一された「廃棄物の終了(end-of-waste)」基準の整備を求め、加盟国ごとの異なる解釈が法的な不確実性を生み、二次原材料の取引を阻害していると指摘した。リサイクル産業側からは、テス・ボッシ氏が、指令中心の枠組みから規則中心の枠組みへと移行することにより、この分断を軽減し、投資と事業拡大に資する共通の基盤を提供できると主張した。

もう一つ非常に重要なのは「需要」である。複数の参加者が、再生材の供給は、明確な規制シグナルと市場シグナルが存在しない限り、持続的には拡大しないと強調した。提案された解決策としては、製品別・セクター別の効果的な再生材含有率目標、グリーン公共調達の活用、再生材製品への軽減税率といった政策手段が挙げられた。

次のセッションでは、銅およびアルミニウム市場の分析とともに、グリーン公共調達を義務化しなければ欧州の循環経済は必要なスピードで進展しないというメッセージが提示された。

移行期における金属市場の位置づけ

ストーンエックス社で欧州向けベースメタル部門を統括するアレハンドロ・モレノ氏は、銅とアルミニウムが、エネルギー転換と人工知能(AI)ブームの「指標」となっている状況を解説した。 電気自動車やデジタルインフラへの期待を背景に、銅価格は高水準に達しているが、その持続可能性は、今後その需要が実際に顕在化するかどうかにかかっていると指摘する。同氏はまた、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定などのマクロ要因が、これら金属価格に急激な変動をもたらしていると強調した。 グリーン転換を支える基礎素材のコストが、地政学と金融政策に強く左右される現状は、自主的な原材料確保をめざすEUにとって大きな課題であるといえる。

グリーン公共調達という牽引力

二つ目のパネルディスカッションでは、循環経済法で提案される予定のグリーン公共調達(Green Public Procurement:GPP)が再生材需要の安定的な創出にとって戦略的なツールであることに参加者全員が合意した。 ラグンセルズ・グループのタイム・アル=シャンス氏は、循環経済を動かすのは抽象的なリサイクル目標ではなく、「再生材を含む製品に対する実際の需要」であると強調した。 その一例として、ごみ箱、フラットガラス、セメントなど建設関連製品に対し、一定割合以上の再生材含有を公共調達で義務付けるべきだと提案した。

規制・標準化と「義務化」の論点

欧州委員会共同研究センター(JRC)のエンリケ・ガルシア氏は、EUは利用可能なあらゆる政策手段を総動員していると説明した。 なかでも新たなエコデザイン規則(ESPR)は、繊維製品や鋼材など優先製品群を対象に

GPPの義務要件を設定できる枠組みを提供し、持続可能な製品市場を形成しつつ、消費者側への波及効果を狙うというものだ。

同時にパネリストたちは、再生材の使用を「義務かつ実行可能」なものとすることが、実際の市場変革に不可欠であることを強調した。 そのためには、再生材とバージン材を明確に区別できる技術標準やトレーサビリティコードを整備し、公共調達基準と連動させることが求められる。

今回会議におけるメッセージは、建設、プラスチック、タイヤといった資源集約型セクターにおいて、「実需」を生み出すことが急務であり、その実現によって「メイド・イン・ヨーロッパ」と「循環経済」が産業界の日常となるだろうということのようだ。

Yukari SCHANZ

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