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ガソリンへのバイオエタノール導入を沖縄県で先行開始―経産省が2028年上期開始で検討

2025/12/11 20:28 FREE
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ガソリンへのバイオエタノール導入を沖縄県で先行開始―経産省が2028年上期開始で検討

経済産業省は9日、20回目となる「資源・燃料分科会 脱炭素燃料政策小委員会」の会合を開き、ガソリンへのバイオエタノール導入拡大に向けた先行プロジェクトの詳細を説明した。過去にバイオ燃料実証事業の実績がある沖縄県で先行導入を行う予定で、既に導入されているETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)混合ではなく、バイオエタノールを直接混合する方法で実施する。現段階では、エタノール10%混合ガソリン(E10)想定で2028年度上期に開始するとしている。

 

まずは25年度内にSS(ガソリンスタンド)への情報展開や出荷基地に関する設備改修の検討に入る。その後、27年度にSSの実態調査、27年度にSSの改修内容の調整・確認を実施。28年度上期でSS設備改修を行う計画だ。

 

経産省発表資料より引用

 

経産省は、ETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)混合ではなく、バイオエタノールを直接混合する方法で先行導入する案を提出した。これまで、日本政府は、技術的側面からETBE混合を推進してきたが、ETBEはエタノールを更に加工する工程があるため製造コストが高いほか、原料であるイソブテンが簡単に増産できないといったデメリットがあるという。一方、エタノールまでの製造工程であればシンプルかつ安価な技術が確立しているため、「導入拡大がしやすい」と経産省は判断した。

 

なお、ガソリンとバイオエタノールの混合方法は、海外でも主流である出荷基地でのラインブレンディングを前提に検討し、品質管理やサプライチェーンなどの課題を確認すると報告した。

 

会合に参加した委員らは、経産省の先行導入計画に対し、おおむね賛同したが、「沖縄は島であり、本州とは条件が異なるため、検証項目を限定する必要がある」「先行導入後も含めて、ビジネスとして経済性が成り立つまでは時間がかかる」などの意見が挙がった。

 

また、日本政策投資銀行の原田文代常務は同議論について書面でコメント。「沖縄本島でのE10相当バイオエタノール先行導入は、地域振興の観点からも非常に意義深い」としつつも、「一層の普及のためには、油槽所のみならず、SSでのブレンディングの実現が必要」と見解を示した。

 

海外の一部地域ではSSでブレンディングが行われているケースもあるという。しかし、経産省は、「日本においては、出荷基地ブレンドよりもSSでタンクが多く必要になること、品確法により品質確認義務等が生じることなどから、SS事業者への負担も大きく、また、供給元にとっても品質保証リスクがある」として、先行導入では、出荷基地でのラインブレンディングとなる見込みだ。

 

経産省発表資料より引用

 

ガソリンへのバイオエタノール導入拡大の方針は、第7次エネルギー基本計画に位置づけられている。40年度からの最大濃度20%の低炭素ガソリン供給追求に向けて、まずは「30年度までに、一部地域における直接混合も含めたバイオエタノールの導入拡大を通じて、最大濃度10%の低炭素ガソリンの供給開始」を目指すこととしている。

 

現状、輸送用燃料として利用されているバイオエタノール(ETBE用原料)は米国産、ブラジル産。しかし、国内でも製紙会社などを中心に、バイオエタノールの製造計画がいくつか進展しており、2030年までに合計数万kl程度の計画がある。

 

同議論は次回の会合でも引き続き議論される予定だ。

 

(IRuniverse K.Kuribara)

 

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