全米小売業協会(NRF)が10月に発表したデータによると、関税懸念により荷主が例年より早く商品を輸入したため、店舗や倉庫にはホリデー商材が溢れているが、米国港湾を通じたコンテナ輸入の減少は2026年に加速すると警告した。
米国の輸入量は減少傾向
全米小売業協会(NRF)とハケット・アソシエイツによる「グローバル・ポート・トラッカー」がカバーする米国港湾取扱量の最新データによると、9月の取扱量は210万TEU(20フィートコンテナ換算)で、前月8月比9.3%減、前年同月比7.4%減となったと発表した。NRFの予測では、10月の取扱量は199万TEU(前年比11.5%減)、11月の取扱量は185万TEU(同14.4%減)とされている。12月の輸送量は175万TEUと予測されており、これは17.9%もの減少。
ハケット・アソシエイツが NRF 向けに制作する 「グローバル・ポート・トラッカー(Global Port Tracker)」 は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル、タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミ、ジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港の履歴データと予測を提供している。
NRFは発表の中で、「7月の239万TEUのピーク以降、11月と12月は年間で最も取扱量の少ない月となるし、12月は2023年3月の162万TEU以来最も取扱量の少ない月となるであろう」と述べている。
2025年のクリスマス商戦の行方
しかしながら、NRFは、2025年の年末商戦の売上高が前年比3.7%から4.2%増加し、1兆ドル強に達すると予測している。
「今年の大半は、関税がインフレとサプライチェーンの両方に与える影響を懸念してきたが、ホリデーシーズンを迎え、緩和策が功を奏したようだ」と、NRFのサプライチェーン・関税政策担当者が述べ、「小売店の棚には十分な在庫があり、価格への影響は最小限に抑えられている。これは主に、小売業者が関税引き上げの低調な時期や延期された時期に輸入を前倒ししたり、コストを自ら吸収したりするなどの対策を講じたおかげだ。」と続けた。
結果として、米国の消費者は、欲しい商品を希望の価格で見つけられる筈のようだ。
米中の関税政策の影響
「グローバル・ポート・トラッカー」の責任者でもあるハケット・アソシエイツの創設者、ベン・ハケット氏は、米国と中国による関税政策の度重なる実施と撤回は、輸入業者と海運業者の長期計画を複雑化させていると述べた。
更に続けて、「こうした状況により、市場予測は非常に不確実になっており、当社の貿易見通しでは、今年の輸入量は2024年と比較して小幅減少し、2026年第1四半期にはさらに大幅な減少が見込まれる。」とも述べた。
世界のコンテナ海運が直面する状況
小売価格の上昇と一時解雇が米国経済を脅かす一方で、コンテナ輸送には楽観的な材料もいくつかある。運賃は最近やや弱含みだが、世界的な貿易摩擦のリセットにもかかわらず、輸送量は概ね安定している。
船会社は記録的なペースで新造船を発注し続けており、中国は2万7000TEUの巨大コンテナ船の建造計画を検討しているとの報道もある。
目下において世界最大級のコンテナ船はスイスのMSCが、世界第一位のコンテナ船社であるが、運航するMSC Irina(イリーナ)でコンテナ積載量は24,346個(20フィートコンテナ換算)でその他にもMSCは3隻ほどの姉妹船を運航している。また、日本勢のONEが運航するONE Innovationも積載量が24,000個となっておりほぼ同型である。
今週、世界第2位のコンテナ船社であるマースクの幹部はスエズ運河当局者と会談し、同社の紅海航路への復帰について協議した。2023年末のガザ紛争勃発直後、フーシ派民兵が同地域で商船を攻撃し始めて以来、世界の船会社は同地域を避けている。
今後のコンテナ輸送量
今年上半期のコンテナ輸送量は1,253万TEUで前年比3.7%増、通年では2,490万TEUで前年比1.5%減となった。2024年の2,550万TEUから2.3%減少する見込みで、そう大きな落ち込みではないようだ。
2026年1月は198万TEU(前年比11.1%減)、2月は185万TEU(同9%減)、3月は179万TEU(同16.7%減)と予測されている。
(IRuniverse H.Nagai)
世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。