米国、イスラエルによるイラン攻撃を発端として全世界的な燃料危機が危ぶまれている中、豪州では現在、業界から連邦政府に向けて、排出削減計画の一時停止を求める声が相次いでいる。
豪州では、温暖化への取り組み、気候目標達成の支援目的で、大手鉱業、製造業、ガス企業らに年間4.9パーセントの排出量削減を義務付ける「セーフガード・メカニズム」政策が導入されている。もともと同制度は大規模な見直しを2026年に行う予定であったが、今回のエネルギー混乱を受け、関連業界や、リオ・ティントやBHPなどの大手企業も所属する鉱物業界の代表組織オーストラリア鉱物評議会らは、現在この見直しの延期を要求。当面の間は気候目標よりも燃料の安全保障を優先するよう求めているという。
同評議会のCEOは、「セーフガード・メカニズムはすでにその役割を果たしている」(=排出削減目標に向けて、現時点における十分な成果を上げている)として、“適切なバランスを見極めること”の重要性を指摘。今は、“不必要な混乱を避けつつ、燃料とエネルギーの安全保障に注力するべき”だとの見解を示している。
これに対し、スカイ・ニュースなど現地メディアが報道しているところによれば、クリス・ボウエン気候変動・エネルギー大臣は先日、通常のスケジュール通りに見直しを行う予定であると宣言したという。オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(AFR)紙も、同氏が記者団に対し、労働党が推進する再生可能エネルギーと排出量削減は全国民に利益をもたらす、とあらためて語ったことなどを報じている。
業界内でも、政府を支持する声もある。例えば、AFR紙(4月10日)によれば、鉄鉱石大手のFortescue社の現CEOディノ・オトラント氏は、セーフガード・メカニズムの見直しの延期を求める国内鉱業ロビーの動きを「ばかげている」と激しく非難したという。同社は脱炭素化に向けた独自の取り組みも行なっており、先日、そうした取り組みをさらに加速させることを発表したばかり。これにより、コスト削減だけでなく、現在中東危機により揺れ動く国際市場への依存度を低減できることも強調したという。
他にも、シンクタンク「グラタン研究所」のトニー・ウッド氏は、燃料危機によりセーフガード・メカニズムの重要性が高まったとの見解を示し、危機を好機にするべく同メカニズムの見直しを行い、化石燃料からの脱却を図るようメディアを通じて呼びかけている。
(IRUNIVERSE A.C.)