4月24日15時15分、東京製鐵は、同日14時に発表した26/3期の決算を受けて説明会を開催した。説明に使われた資料はこちら。続く27/3期は増収予想も、営業・経常損益は赤字に転じる見通しとした。また、同時に自社株買いも発表、株価の下支えを狙ったものとみられる。

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<26/3期実績>

〇総括(資料P4)
前回の予想から比べると売上高、営業利益、経常利益で目標に届かなかった。26/3期の実績、
売上高が2,680億円で、前年同期比▲18%、営業利益が72.3億円、13期連続の黒字を確保したが、前期に比べると大幅に営業利益は減少した。経常が86.3億円、当期利益は115.5億円となった。なお、当期利益が増益となったのは、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、今期において繰延税金資産を追加計上し、法人税等調整額として▲13.6億円(利益要因)を計上したため。
図表1、26/3期実績(百万円、千トン、千円/トン、円/株)

出所:会社発表資料よりIRU作成
〇製品出荷数量の推移(P5)
輸出比率は、26/3期が11.5%、25/3期が12.8%だったので、1.3ポイントの減少となった。総量で34.9万トン。内(うち)板類は28.3万トン。なお、3ヵ月の四半期でみると4Qは6.8%と、10%を下回った。右の棒グラフは、製品売上数量に占める品種別の売上高になる。
26/3期の年間を通して、条鋼で37%、板類で63%、四半期で比べても、36対64なので、ほぼ同じ数字になっている。
特にトピックとしては、1年を通して、あるいは四半期を通して、厚板が17%だった。厚板に関しては、26/3期を通して、かなり高い数字が、ずっと持続できた。
〇製品出荷価格・鉄スクラップ購入価格・メタルスプレッドの推移(P6)
足もとの、鉄スクラップの購入価格が上昇をしている。さらに、メタルスプレッドが縮んだ形になっている。
鋼材の建値は2ヵ月連続で値上げを実施、値上げ幅は1万円前後/トン。
図表2、製品出荷価格・鉄スクラップ購入価格・メタルスプレッドの推移(千円/トン)

出所:会社発表資料よりIRU作成
〇営業利益の増減要因
●26/3期4Qの予想vs実績(P8)
計画、73.7万トンに対し、終わった実績が69.5万トン。資料の下の四角囲みにあるように、赤字で示している。▲4.5万トンと売上単価は300円/トンなので、ほぼ予想通り、9万2,700円、スクラップ単価は、近々の上昇を反映してというところもあるが、トレンドとして上がっている。4.7万円で、計画よりも+1,200円。スプレッドとしては4万7,200円の予想に対して4万5,700円という実績になったので、スプレッドとしては▲1,500円縮んだ。予想では、営業利益をゼロと予想していたが、残念ながら赤字、▲9.5億円という着地になった。
これはスプレッドの縮小が主な要因である。1,500円縮んだスプレッド、数量を加味すれば10.4億円(一番左のオレンジ色)。さらに、コストとして副資材等が値上がった部分もあり、今回は▲9.5億円の赤字となった。
●通期(前期vs今期)比較(P9)
資料の通りなので説明は割愛する。
<27/3期予想>
〇業績予想
中国からの高水準の鋼材輸出、これはもう相変わらずという状況で、変わっていない。
中東情勢、これを受けたサプライチェーンの影響のリスク、これも十分に織り込まなければいけない。
終わった26/3期は72億円黒字だったが、27/3期に関しては残念ながら▲40億円の赤字になる見通し。
図表3、27/3業績見通し(百万円、千トン、千円/トン、円/株)

注意:27/3期の上期・下期の販売数量、販売単価、スプレッドはIRUの推測
出所:会社発表資料よりIRU作成
〇営業利益増減要因 (P13)
27/3期の計画としては、306.5万トンの数量で10万2,500円/トンの製品単価、スクラップは5万5,200円/トン、スプレッドは4万7,300円と26/3期に比べて27/3期は2,700円/トンさらに縮むという予想。
26/3期は72億円黒字だったが、27/3期は残念ながら▲40億円の赤字と見ている。
ブレイクダウンは、まず、スプレッドが縮んだことで、82.7億円の悪化、さらにコストの要因となる。まず数量で30.5万トンほど増える予想。これは、実際、同社が値上げを2ヵ月連続で行うことによる需要喚起というか、駆け込み需要というべきかもしれないが、特にH形鋼の受注がこの2ヵ月間非常に好調になっている。足元の形鋼の受注を反映して、30.5万トンのうち15万トンはH形鋼で、減った分が戻る見通し。5万トンが厚板、ホットコイルが10万トンと予想し、30.5万トン増えると予想にしている。
それから、スクラップについては、この5万5,200円というのは直近のスクラップ価格横ばいで想定している。
今の同社の建値が全拠点で5.3万円/トン当たりだが、これに船で購入をしている部分なども合わせて、大体この5万5,200円/トンが今のリアルな値ということで、今の足元をそのまま引っ張った。スプレッドとしては縮んでしまう。
今回、上期と下期、これは決算短信のサマリーで開示しているが、上期が▲40億円、下期は0との見通しを立てている。
この▲40億円は、▲20、▲20で単純なものでは無く、上期と下期で差異が生じるとみている。具体的には、値上げ前の安い単価の受注残がまだ残っていることを反映して、当然それが上期に反映をするので、上期のマイナスが大きくなる。反対に下期は、今回の値上げ、1万円/トンの値上げが、フルに効くであろうということで下期についてはゼロ、利益が少なからず改善すると見通しを立てている。
<株主還元について>
〇株主還元(P15)
総還元性向を、ずっと25-30%という数字伝えてきたが、26/3期の総還元性向が68%。中間配当、期末配当、合わせて26/3期は50円配当。
27/3期は、大変厳しく、かつ赤字予想であるが、株主に対する還元はしっかりやっていくというのが同社の経営陣含めて会社の姿勢なので、減配、減ったものの40円配当とした。
<参考情報>(P17以降)
こちらは参考。
<参考>
図表4、四半期別の業績推移(億円、千トン、千円/トン、%)

出所:会社発表資料よりIRU作成
図表5、東京製鐵の鉄スクラップ調達価格と会社想定(千円/トン)

出所:会社発表資料よりIRU作成
図表6、鋼材スプレッドの推移(千円/トン)

注意:スプレッド=鋼材価格-スクラップ価格。鋼材価格と鉄スクラップ価格とも加重平均。
出所:会社発表資料よりIRU作成
※4月22日に記事の内容と大きく異なるのは、スクラップ価格を従来並みで想定していたため、ここで1万円/トン程度の差が開いた。また、細かいことだが、会社側は27/3期に想定しているコストの悪化▲37億円の内訳は、約半分が電力(前期比9%上昇(15.61→14.35円/円/キロワット時)、亜鉛価格30.2%上昇、黒鉛電極1.5%上昇などを織り込んでいる。ちなみに、IRUが想定では電力を中心に3,000円/トンの想定をしていたが、会社側は1,200円/トンの想定とここでも差異が発生した。
(IRuniverse 井上 康)