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第11回ものづくりワールド:製造業を支えるねじメーカーの取り組み

2026/04/28 09:41 FREE
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第11回ものづくりワールド:製造業を支えるねじメーカーの取り組み

2026年4月8日から10日にかけて、ポートメッセなごやで「第11回 ものづくりワールド」が開催された。本稿ではその中から製造業を支えるねじメーカー、池田金属工業の取り組みに焦点を当て、その内容を紹介する。

池田金属工業株式会社

池田金属工業株式会社は大阪に本社を置き、「ねじで世界をよりよく変える」をポリシーにねじ製品の開発、製造をしている。同社は単にねじ製品を開発・製造するだけでなく、「ねじのゆるみ」などといった現場課題についても顧客より相談を受け、解決策まで提案できる体制を強みとしている。こうした課題に対しては1件ずつ丁寧にヒアリングを行い、最適な解決方法を提案。例えば、ひと口にねじのゆるみといっても原因はさまざまであり、課題ごとに発生メカニズムを解明している点が特徴だ。ゆるみ防止製品のラインアップも豊富で、近年は金属材料価格の高騰でねじ本体の価格を上げにくい環境にあるが、こうしたソリューション提案によって成長を続けているという。

展示会では「シーホースシールプラグ」をメインに展示していた。これは、顧客が油圧機器に使用している六角穴付き沈みプラグに、油漏れ防止のためシールテープを巻いて使っているという課題に着目して開発した製品である。

液漏れ防止のためのシールテープを巻く作業は、1個当たり数十秒要するため作業者の負担が大きい。また、シールテープは巻いた状態で保管すると他のものとくっついてしまうため、そのまま保管できず、必要な数だけ都度巻く必要がある。このため、専用の高価な巻き付け機を購入する顧客もいるという。

こうした「当たり前のめんどくさい作業をなくしたい」という考えから、開発担当者はプラグに溶剤を流し込んでシール性を持たせた「シーホースシールプラグ」を考案。このシーホースプラグはあらかじめシール材が塗布された状態で納品されるため、シールテープを巻く作業を完全に省くことができる。さらに、大がかりな機械の導入も不要で、初期コストや設置スペースの問題も生じない。シーホースシールプラグは大量生産に対応しているため、顧客の要望に応じて納品している。

そのほか、ねじに接着剤を塗布してゆるみ防止を行う作業に対し、接着剤塗布時の塗りムラや塗り忘れを防ぎ、塗布の手間をなくして作業効率を高めるプレコートタイプの「シーホースロック」も展示していた。

 

学生時代にものづくりに興味を持ち、ねじの奥深さを知った筆者は前職でエンジニアとして携わる中で、その面白さと同時に緩み防止の難しさに向き合い続けてきた。シールテープについても初めて巻いた際にはうまく巻けず多くを無駄にし、締結後も液漏れに悩まされた苦い経験がある。

ねじ締結に関する設計は確立されているように見えて、実際には現場ごとの条件に左右される部分も多く、試行錯誤の余地が残る領域だ。また、シールテープの巻き付けのように、非効率でありながらも「当たり前」として受け入れられている作業も少なくない。

こうした現場の悩みや前提そのものを見直し、製品として解決策を提示する池田金属工業の取り組みは日本のものづくり産業を下支えする存在といえるだろう。今後、同社がどのように現場課題を捉え、新たな価値を生み出していくのか、その動向に注視したい。

 

(IRuniverse Midori Fushimi)

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