■ 金相場(Gold):
4月の金相場は、地政学リスクによる安全資産需要と、原油高・インフレ懸念を背景とした米利下げ観測後退との綱引きとなり、不安定な推移が続いた。月前半は中東情勢の緊迫化を背景に高止まりしたが、8日の米国・イラン停戦合意を受けて原油価格が急落し、金利低下とドル安進行を支えに一時持ち直した。
もっとも、停戦の脆弱性やホルムズ海峡を巡る断続的緊張が上値を抑制。月末のFOMCでは利下げ観測後退が意識され、金価格は4,500ドル前半まで下落した。
ただ、安全資産としての需要や中央銀行買いは依然根強く、急落局面では押し目買いが入りやすい構図に変化はない。当面は中東情勢、米金利、ドル動向に振られながら、神経質な値動きが続く見通し。
NY金($/toz)と国内金建値(\/g)の推移 3か月

■ 銀相場(Silver):
4月の銀相場は、米国・イラン停戦合意を受けた原油高一服や金相場の上昇に追随し、月半ばにかけて急騰する場面が見られた。しかし80ドルの節目が意識される中で上値は重くなり、月後半はFOMCを巡る利下げ観測後退や金相場の軟化を背景に下げ幅を拡大した。
中東情勢を巡る不透明感から荒い値動きが続く一方、銀は他貴金属に比べ取引単価が低く、投機資金の流出入に左右されやすい。構造的な供給不足が下支えとなるものの、当面は金相場に連動しながら上下に振れやすい不安定な展開が続く見通し。
NY銀相場($/toz)と国内銀建値(\/kg)の推移 3か月

■ プラチナ相場(Platinum):
4月のプラチナ相場は、1,950ドル近辺でスタート後、中旬にかけて上昇したものの、中東情勢の不透明感やFOMCを巡る警戒感から上値を失い、結果的に月初水準へ回帰する往来相場となった。8日の米国・イラン停戦合意報道を受けて買いが入る場面も見られたが、その後の中東での断続的衝突が重石となり反落した。
需給面では、主要生産国・南アフリカで大幅増産が見込みにくい一方、現物逼迫感はピークアウトしつつある。ただ、中東情勢の長期化懸念や米政治イベントを控え、投機資金の動向次第で急騰急落しやすい地合いが続く見通し。押し目では買いが入りやすいものの、当面は神経質な値動きが基本線となりそうだ。
NYプラチナ相場($/toz)と国内プラチナ価格(\/g)の推移 3か月

■ パラジウム相場(Palladium):
4月のパラジウム相場は、8日の米国・イランによる2週間停戦合意を受けて一時1,600ドル台まで上昇したものの、その直後にイスラエルによるレバノン攻撃が報じられると失望売りから反落。中旬にかけて再び持ち直す場面も見られたが、中東情勢の混乱継続やFOMC後の利下げ観測後退を背景に軟調な展開となり、月末には月初水準へ回帰した。
自動車触媒需要への依存度が高いパラジウムは、原油価格や景気見通しに左右されやすく、中東情勢の不透明感から積極的な取引は手控えられている。供給面では南アフリカの慎重な増産姿勢が下支えとなる一方、当面は他貴金属相場に追随しながら方向感を探る神経質な展開が続く見通し。
NYパラジウム相場($/toz)と国内パラジウム価格(\/g)の推移 3か月

■ 総括:金主導不変、PGMは需給選別色強まる
4月相場を俯瞰すると、基本構図に大きな変化はない。金は中東情勢や制度不安を映す安全資産として相場の中核を維持した一方、銀は金に追随しつつ投機資金の流出入で値動きを増幅。80ドル近辺では上値の重さも意識され、ボラティリティの高さが改めて鮮明となった。
PGMはより個別需給色が強まった。プラチナ・パラジウムは停戦観測による買い戻し局面もあったが、中東情勢の不透明感や原油高を通じた自動車需要鈍化懸念が重石となり、結局は月初水準へ回帰。供給制約は下支えとなる一方、価格形成は最終需要見通しに左右されやすくなっている。
総じて、制度不安と地政学リスクを背景とした「金の構造的な強さ」は不変だが、周辺メタルは投機資金と個別需給に振られやすい。高値圏で神経質な展開が続くという市場の基本図は変わっていない。
Rhodium / Iridium / Ruthenium
■ ロジウム相場(Rhodium):
4月のロジウム相場は、中東での衝突継続を背景に景気減速や自動車需要鈍化懸念が意識され、上値の重い展開となった。停戦合意後も断続的な衝突が続いたことで積極的な買いは入りにくく、需給均衡点を探る神経質な推移が続いている。
流動性の低さと供給制約が下値を支える一方、中東情勢の沈静化が見えるまでは一定レンジ内で方向感を欠く展開となりやすい。
JMロジウム価格($/toz)と国内ロジウム価格(\/g)の推移 3か月

■ イリジウム相場(Iridium):
イリジウム相場は、3月に8,000ドルまで急騰した後、高値圏で推移していたが、4月後半以降は中東情勢悪化による景気減速懸念を背景に売りが優勢となり、7,700ドルを割り込んだ。
流動性の低い市場構造に変化はなく、中東情勢を軸とした地政学リスクや米金融政策、インフレ動向をにらみながら需給均衡点を探る局面にある。当面は方向感を欠きつつ、短期的な売り圧力も意識されやすい展開となろう。
JMイリジウム価格($/toz)と国内価格の推移 3か月

■ ルテニウム相場(Ruthenium):
ルテニウム相場は、HDDや基礎化学分野を中心に需要の底堅さが続く一方、イリジウム同様に景気減速懸念を背景とした売りに押され、4月末には1,600ドル前半まで下落した。
足元では1,600ドル近辺で下げ止まりの兆しも見られるが、中東情勢の不透明感から様子見姿勢が強く、当面は下方向への圧力がかかりやすい展開が続く見通し。
JMルテニウム価格($/toz)と国内価格の推移 3か月

(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)