神島化学工業株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:布川明)は、5月18日(月)、工場排ガスに含まれる低濃度の二酸化炭素(CO2)をそのまま原料化する生産システム「CO2リサイクルプロダクションシステム」の商用プラントを香川県三豊市の詫間工場に新設し、稼働を開始したと発表した。約30億円を投じた同設備により、まず年間4000トンのCO2を建材・化成品の原料として再利用し、段階的にこれを約2万トンに引き上げる計画。
同システムは、工場内で発生する排ガスを活用し、CO2とアルカリ性資源を反応させることで炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムを生成するもの。生成された炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムを、同社化成品事業の製品として、さらには建材事業の製品原料として利用することで、CO2排出量の削減と資源循環の両立を図る。
背景:環境対応と事業成長の両立に向けた取り組み
同社は中期経営計画において、環境対応による社会貢献と事業成長の両立を基本方針とし、CO2排出量削減に向けた研究開発を進めてきた。2021年初頭よりカーボンニュートラルを見据えた検討を開始し、全社横断の取り組みとして推進体制を構築。その中で、CO2を資源として活用する技術開発を重要テーマの一つと位置付け、同年中頃より炭酸カルシウム生成技術を基盤とした建材用途への応用開発に着手している。
システムの特長:排ガスCO2の直接利用と副産物の有効活用
システムの特長は、排ガスCO2(約10%)を濃縮することなく直接利用するとともに、建材・化成品製造工程で発生する副産物をアルカリ源として活用し、安定した性能を持つ建材を製造できる点にある。
通常、CO2を原料として利用する場合には高純度化のための濃縮工程が必要で、多くのエネルギーを消費する。同システムでは、反応条件および装置設計の最適化により反応効率を高めることで、CO2の圧縮・濃縮工程を不要とした。
さらに、不純物の影響により従来は利用が難しかった副産物についても、アルカリ性資源として活用する技術を開発。排ガスCO2とこれらの副産物を組み合わせて建材製品に利用することで、安定した品質を確保するとともに、資源循環型の持続可能な事業モデルの実現に貢献する。
今後の展開:CO2排出ゼロと製品化の推進
今回稼働した設備のCO2処理能力は年間約4000トン。今後は反応設備の増設などにより処理能力を段階的に拡大し、年間2万トン規模まで引き上げる計画。さらに、同システムは茨城県にある石岡工場への導入も予定しており、当社は2030年までに自社工場からのCO2排出ゼロ(Scope1)の達成を目指す。
なお、同技術を活用し、建材の中にCO2を固定化した新たなコンセプトの新製品「ZESTA」を2026年10月に発売する予定。CO2リサイクルプロダクションシステムにより生成される炭酸カルシウムは、従来外部から調達していた原料の代替として活用されるため、原料調達の安定化にも寄与する。一方で、新規プロセス導入に伴い製造コストは一定程度上昇する見込みですが、環境価値を付加した新しい製品として市場展開を図る。
(IR universe rr)