5月22日15時、住友電工は、12日発表した26/3期の決算と中期経営計画2028について説明会を開催した。決算については使用した資料はこちら。中計に関してはこちら。共に説明は井上社長が行った。
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<25年度の業績と26年度の見通し>

〇25年度の実績
●過去最高業績の達成
データセンタ向けの光配線製品や光デバイスの拡販、銅価格上昇などの影響により、売上高は前期比9%増の5兆1,102億円と初めて5兆円を突破した。営業利益は4,182億円、経常利益は4,313億円、当期利益は3,695億円といずれも過去最高を更新。
●効率性の改善
多能資産や政策保有株式の圧縮など資産効率の改善に取り組み、税前ROICとROEはいずれも14.7%となり、効率性の観点でも目標を大幅に上回る改善を達成した。
〇26年度の見通し
●引き続き成長を見込む
売上高5兆3,000億円、営業利益4,250億円、経常利益4,320億円を見込む。26年度より住友電設が連結対象から外れるが、情報通信セグメントの改善でカバーし、増収増益の計画。
●設備投資の拡大
データセンタ関連の需要に迅速に対応するため、26年度の設備投資は前期から約1,000億円増加の3,500億円を計画しており、特に情報通信セグメントには約3倍の水準となる720億円を投じる。
●リスク要因の考え方
中東情勢の緊迫化による原燃料・エネルギー価格の上昇やサプライチェーンの混乱リスクについては、影響額の合理的な見積もりが難しいため今回の予想には織り込んでいないが、顕在化した場合は挽回生産や売値改善等でカバーする方針。
<中期経営計画2028の全体像と数値目標>
本計画は、同社が掲げる「2030ビジョン(グリーンな地球と安心・快適な暮らし)」の実現に向けた第2ステップと位置付け。
〇28年度の主な定量目標
●売上高 6兆円(25年度比で約1兆円の増収)、営業利益6,000億円(同約5割の増益)
●資本収益性:税前ROIC 15%以上、ROE 13%以上
●投資計画 (3年累計):設備投資1兆円、研究開発費5,400億円。
〇中期経営計画2028の「3つの柱」
●グループの総合力を発揮する
多様な技術シーズを部門横断的に組み合わせ、完全子会社化した日新電機、テクノアソシエ、住友理工との連携を強化してグループ競争力を高める。
●グローバルな事業環境動向に的確に対応する
地政学的な対立等に備え、生産拠点の再構築や原材料調達手段の確保によりサプライチェーンの強靭化を進める。また、サステナビリティ規制への対応も強化。
●グリーン・デジタル関連需要をとらえる
GX・DXの需要を見極め積極的な投資を行い、関連製品の売上高を25年度の2兆円から28年度には3兆5,000億円へと伸ばす。
〇注力3分野と5つの事業セグメントの戦略
●デジタル・AI分野(情報通信セグメント)
・目標
28年度売上高9,700億円、営業利益2,400億円。全社の営業利益構成比において40%を占める最大のセグメントとなる見込み。
・取組み
データセンタ向けの光通信関連製品(超多心光ケーブル、MMC光コネクタ、レーザーなど)の需要急増に応えるため、生産能力増強への投資を加速する。次世代のマルチコア光ファイバーの開発や、携帯基地局・レーダー向けGaNデバイスの展開も進める。
●エネルギー分野(環境エネルギーセグメント)
・目標
28年度売上高1兆2,000億円、営業利益700億円。
・取組み
欧州を中心とした広域連系線の大型プロジェクト需要を取り込むため、ドイツでの企業買収や英国での海底ケーブル工場新設などを通じ、環境負荷の少ない超高電圧直流ケーブルの供給体制を強化する。また、日新電機との連携によるソリューション事業の拡大を図る。
●モビリティ分野(自動車セグメント)
・目標
28年度売上高3兆1,000億円、営業利益2,100億円。
・取組み
ワイヤーハーネスの世界トップクラスシェアを維持しつつ、AIを活用した革新的な設計・製造技術を導入。また、電動化・高速通信製品の開発を加速し、住友理工との協業によりモビリティサプライヤーとしての提案力を強化。
●エレクトロニクスセグメント
・目標
28年度売上高4,400億円、営業利益400億円。
・取組み
電子機器や車載向けの高機能化に加え、航空宇宙、FAロボットなど新規分野向けの高付加価値製品(超微細回路FPC、高速伝送FFC、熱収縮チューブなど)の拡販に努める。
●産業素材セグメント
・目標
28年度売上高4,700億円、営業利益400億円。
・取組み
航空機、半導体、エネルギー関連市場やインド等の新興国市場向けに、超硬工具、高熱伝導性放熱基板、電動車向け焼結部品などをグローバルに拡販。また、タングステン原料のリサイクル能力強化にも取り組む。
〇事業基盤の強化(3つの推進力と3つの資本)
●3つの推進力
・研究開発
生成AIやマテリアルインフォマティクスを活用し、プロセス・分析の高度化を進めるとともに、脱炭素・次世代情報通信・量子・半導体分野などでトップテクノロジーを追求する。
・モノづくり
「SEQCDD(安全・環境・品質・コスト・納期・開発)」のすべてにおいて世界最高水準の構築を目指し、重大災害ゼロや垂直立ち上げ(立上力SU)を進める。
・サプライチェーン
CSR調達アセスメントの実施率向上(取引額ベース80%目標)や、情報セキュリティ診断、適正価格取引の推進により、構造的変化に強い体制を構築する。
●3つの資本
・財務資本
CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)の短縮や政策保有株式の縮減等による資産効率改善を図り、3年間で2兆7,000億円のEBITDD(営業利益+減価償却費+研究開発費)を創出。
・人的資本
DE&Iの推進や健康経営を強化し、エンゲージメントスコア80%以上、男性育休取得比率100%等の定量目標の達成を目指す。
・知的資本
年間2,000件レベルの新規特許出願と、25,000件レベルの保有権利数を維持し、国際標準化やルール形成にも貢献する。
〇サステナビリティ・株主還元・「五方よし」
●サステナビリティ・ESG
環境(E)面では、28年度までにCO2排出量をScope1+2で30%(18年度比)、Scope3で22%の削減を目指す。また、社会(S)面では社会貢献活動への継続的な拠出を、ガバナンス(G)面ではコンプライアンスの徹底を行う。
●株主還元と株式分割
配当性向の目安を35%〜40%へ引き上げ、収益増加に伴う還元の拡大を図る。また、投資家層の拡大を目的として、26年7月1日を効力発生日とする1株につき4株の株式分割を実施する。
●マルチステークホルダーキャピタリズム(五方よし)
ユーザー、従業員、取引先、地域社会、株主・投資家の5つのステークホルダーとの共栄を図り、それぞれに対する定量的なコミットメントを掲げて成長の成果を適切に分配していく方針。
(IRuniverse 井上 康)