紙・古紙市場近況 5月:堅調に戻る古紙輸出需要
5月の紙、板紙需給、および古紙市場の動向を、国内における需要と海外事情の両面から見ていく事にする。国内における古紙の流通に大きな変化はないが、海外における古紙需要は現状底を打ち、戻りつつある傾向を見せている。
「紙・板紙需給」5月
板紙の国内出荷は前年同月比1.3%減、7ヶ月連続のマイナス。グラフィック用紙は8.4%減、18ヶ月連続のマイナス。パッケージング用紙は2.0%増、2ヶ月連続のプラス。主要品種は、新聞用紙、印刷・情報用紙、包装用紙、衛生用紙はマイナス、段ボール原紙、白板紙はプラス。
紙・板紙の輸出は前年同月比15.3%増、2ヶ月連続のプラス。グラフィック用紙は2.8%増、2ヶ月連続のプラス。パッケージング用紙は23.4%増、3ヶ月連続のプラス。グラフィック用紙では、塗工紙を中心に東南アジア、東アジア向けで増加。パッケージング用紙では、段ボール原紙が東南アジア、東アジア向けで増加。

(紙板紙需給統計)
https://www.jpa.gr.jp/file/summary/1779685639_2026%E5%B9%B44%E6%9C%88%E7%B5%B1%E8%A8%88.pdf
「古紙需給」
古紙の需給状況について、公益財団法人古紙再生促進センターの資料によれば2025年4月から2026年3月までの古紙回収量は古紙14,191,689tとなり前年同期比で3.2%減少。消費は14,186,477tで前年同期比2.8%減少。輸出量は2026年1月から2026年4月時点で702,472tと同比100%、プラスマイナスゼロとなっている。
古紙輸出について、東南アジア市場を含め前年比以上の需要が各所で発生している状況だ。ようやくの底打ちという見方が一般的になりそうである。
古紙の回収と消費については前月とほぼ同様のペースの回収率となっている。

(古紙需給)

(古紙輸出量)
古紙の需給は、入荷は1,215千トンで前年比2.8%減、3ヶ月連続の減少。うち新聞古紙は134千トンで前年比5.1%減、8ヶ月連続の減少。段ボール古紙は772千トンで前年比0.4%減、3ヶ月連続の減少となった。消費は1,251千トンで前年比1.9%減、17ヶ月連続の減少となった。在庫は572千トン、前月比では5.9%減、前年比では0.9%増となった。輸出は199千トンで前年比45.0%増、8ヶ月連続の増加となった。ベトナム、台湾が主な輸出先である。

【市場動向】
関東と中部の落札価格、 キロ1.3円の価格差に
5月積みの中部商組と関東商組の落札及び見積り価格では、段ボール古紙の輸出価格で大きく差が出た。
中部商組の落札価格は段ボール(396トン)=ドル価162ドル、円価キロ18.4円、為替159.5円。㈱トーチインターナショナルと日商岩井紙パルプの2社が同条件の為、落札となった。雑誌(66トン)=ドル価159ドル、円価キロ18.1円、為替159円、信一㈱が落札。
落札した商社のコメントは「イラン戦争の影響で海上運賃が大幅に上昇しており、この上昇分が販売価格に十分に転嫁できていない状況」と伝えている。またドル価格は狭い値幅での動きを見せている。
関東商組の落札価格は段ボール(600トン)=ドル価162ドル、円価キロ19.7円、為替158.5円。美国中南日本が落札した。日程的にはほとんど差がない形で行われた中部と関東の入札だが、段ボール古紙の輸出価格の円価はキロ1.3円の価格差が生じている。
各商社ともに海上運賃の値上げの影響で、円価の問屋手取りは縮小する形だ。しかし関東の輸出見積りはそれに逆行する形となった。また新聞の輸出価格は横ばい、雑誌はやや下落。
国内古紙価格
国内の古紙価格については、段ボール古紙が18円、新聞紙古紙が17円、雑誌古紙が15円程となっている。新聞紙古紙については輸出価格が25円程で継続しており、現状この価格が底打ちとなりそうだ。

3月の古紙輸出量は前年比45%増、新聞は倍増 主要港も軒並みプラスへ転じる
26年3月の古紙輸出量は19万9343トンで、前年比45%増。24年6月以来の20万トン台にはあと一歩届かなかったが、段ボールが13万トン、新聞が1万4千トンを超えたのは、いずれも1年9ヵ月ぶりとなる。
26年1~3月累計の古紙輸出量は52万220トンで、対前年比28%増となった。
特に新聞の輸出量が大きく伸びており、117%増で前年から倍以上に増えている。また国別では、マレーシア向けが159%増の他、ベトナム向けも44%増となっている。輸出量が増加する中、インドネシアと台湾向けは前年割れとなっている。
港別では、主要港の輸出量が前年から大幅に増加。東京=4.5万トン増、横浜=1.5万トン増、神戸=1.3万トン増、博多=1.2万トン増、名古屋と大阪=1万トン増。段ボールと雑誌は東京が最も増加しているが、新聞は大阪、上物は神戸が対前年比で最も増えている。一方、沖縄・高松・伊万里・金沢等は昨年より輸出量が減少している。
段原紙輸出量は3.9%増の20万8682トン。ベトナムが大幅に増加した。
(IRuniverse Ryuji Ichimura)