「セルロース繊維配合 グリーンチップ® CMF®」を使用した自動車向けパーツのサンプル
「5年前のリリース時には見向きもされなかった」。そう語るのはバイオマス樹脂を提供する企業のスタッフだ。ホルムズショックによりダメージを受ける企業が多い一方で、追い風を受ける企業も現れている。
巴川コーポレーション(東京都中央区)が約5年前に発売開始した「セルロース繊維配合 グリーンチップ® CMF®」は、木材由来のセルロースファイバーを均一に分散させて計55%配合したバイオマス複合樹脂。石油由来プラスチックの使用量の大幅な削減に貢献し、樹脂の製造から焼却までの過程におけるCO2排出量でみると、石油由来ABS樹脂と比較して約35%減少、石油由来PP樹脂と比較して約20%減少が期待できるという。
同素材は、マテリアルリサイクルが可能な素材であり、同社テストでは粉砕・成形を5回繰り返した試験片を評価し、ガラス繊維複合品と比較して、減衰率が優位な結果となることも確認している。リサイクル樹脂は物性低下が懸念されているが、グリーンチップ® CMF®を改質材として混ぜることで、物性の強化が図れるため、リサイクル樹脂の使用増加にもつながる。

巴川コーポレーションのホームページから引用
環境性に優れた同製品であるが、前述の通り、5年前の発売時は各メーカーに営業を掛けても良い感触は得られなかったという。だが最近になって風向きが変わり、問い合わせや引き合いが急激に増えたと、5月末に横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」の同社ブースで教えてくれた。
製品の仕様や性能は当時とほぼ変わっていないのだが、ホルムズショックにより石油の供給が不安定になり、先行きも未だ不透明なためと想定される。
石油供給の不安定については一時的なものとみる事業者も少なくないが、2月末の事実上のホルムズ海峡封鎖から3カ月経過した中で、カルビーの予防策のように企業として何ならかの対応を取る必要が出てきたといえる。

「セルロース繊維配合 グリーンチップ® CMF®」を使用した自動車向けパーツのサンプル
まだ、自動車業界での正式採用はなく検討中とのことだが、耐久性試験の結果も上々であり、良い報告が期待されるところだ。シャルピー衝撃強度も10以上であることを実証済みだという。雑貨や食器などでは既に採用実績があり、プラスチック製品の値上げを受け、同分野での広がりが加速する可能性も高い。
また、巴川コーポレーションと同じく、「人とくるまのテクノロジー展」に出展していた堀場製作所(京都市)でもホルムズショックの影響が垣間見えた。同社が提供する新エネルギー向けの評価・分析装置の引き合いが増えているという。
これに関しても急激に増えたものではなく3月頃からじわじわと引き合いが増えている程度の追い風ではあるが、ホルムズ海峡における交渉が長引ければ売り上げ増につながる強風となる可能性も否定できない。
(IRuniverse K.Kuribara)