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中東情勢と内外石化製品の市況動向(No10) アジア合成樹脂市況は軟化・膠着状態へ

2026/06/08 15:58
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アジアの合成樹脂市況は4週連続で下落基調となった。原油・ナフサ市況に下げ止まり感もあり、中東リスクに伴う原油・ナフサ高への期待先行で原料市況以上に上昇したことへの調整は終盤に入り、中東情勢の更なる悪化要因が無ければ、当面は下値模索が続くも市況調整も最終フェーズに入ることになろう。
 

アジア合成樹脂市況は4週連続での下落

アジア合成樹脂市況は塩化ビニル樹脂(以下、塩ビ樹脂)を除き5月第2週以降、4週連続で軟化基調となった。米国・イランの和平交渉が膠着状況も原油・ナフサ市況が軟化していることが背景にあるが、中東情勢リスクで約2倍に上昇した原油・ナフサ市況以上に過敏に織り込んだ高値水準からの調整下にある。当面は下値模索の動きとなろうが、樹脂原料市況との高値からの相対比較ではその調整も佳境を迎えているとみられる。

6月第1週の市況はポリスチレンが前週末比4%弱の下落、ポリプロピレンが同3%強の下落、低密度ポリエチレンが同3%前後の下落となった。ポリスチレンはベンゼン需要を背景に高止まり感があった原料のスチレンモノマー市況が軟化していることの要因が大きい。低密度ポリエチレンの市況は先行して低下してきたこともあり、原料のエチレン市況が下落もあるが下げ幅は2樹脂に比べ小さくなった。
 

ポリオレフィン、ポリスチレン市況は当面、下値模索か

中東危機後の高値からの動きをみると、低密度ポリエチレンが11%弱の下落と最も大きく、ポリプロピレンが同6%強の下落、ポリスチレンが同4%弱の下落となっている。アジアのナフサ市況は直近高値から35%前後の下落となり、中東危機前の2月安値からはまだ20%程度高い水準にある。今後の動向は予断を許さないが、ホルムズ海峡の実質閉鎖が解除されたとしてもタンカーの往来の正常化までには半年程度かかり、産油国の設備の復旧には1年程度あるいはそれ以上を要する。この点を踏まえれば原油需給面からのナフサ市況は高止まりの公算が高いことは容易に推察できる状況となろう。

仮に原油市況がバレル90ドル前後で安定するとの前提で各樹脂の妥当値を中東危機前の水準から試算すると、現在の市況に対して低密度ポリエチレンとポリスチレンはやや高い水準にあり、ポリプロピレンはまだ割高な水準と下げ余地がまだあることになる。アジアの合成樹脂市況は今後の中東情勢の動向次第であるが、当面は下値模索が続くも市況調整も最終フェーズに入ることになろう。
 

(注) IRUではアジアの合成樹脂市況インデックスは、多様なグレード取引形態や地域で異なるため、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂の価格を2020年の年初の平均価格を100として指数化している。2020年12月までを毎月末近辺の市況を対象に指数化し、2021年以降は週間ベースの市況を対象に指数化している。新型コロナウイルスの蔓延の前と後での樹脂市況の違いを示すために基準時を2020年1月としている。なお、直近値は2026年6月第1週(6月5日まで)の市況となっています。
 

塩ビ樹脂は低位横ばいの動きに

塩ビ樹脂は低密度ポリエチレン、ポリプロピレンのポリオレフィンやポリスチレンとは異なる市況の動きにある。中国のカーバイド法の安値攻勢に晒され、インドのアンチダンピング課税や中国政府の輸出増値税の還付の廃止による市況の押し上げ効果も限定的となり、台湾大手のFPCが4月にインド・中国向けの輸出価格の提示を一時取りやめる事態となった。5月にはオファーを再開し、インド向けを1トン1,120ドル前後と3月積みオファー比400ドル、56%の大幅な引き上げを行ったが成約が不調となり、6月のオファーでは130ドル前後の引き下げを余儀なくされている。

ただ、インドがモンスーン期の不需要期に入り、中東情勢の緊迫化での特需による在庫もあり、値下げ後の引き合いも低調な模様。中国国内市況が5月は軟調な展開にありカーバイド法とエチレン法での価格差が残る状況にある。IRUではエチレン法の値上げオファーの実現可能性は小さいとの見方からアジア市況を低位に試算してきた。また値下げ後の価格が定着する可能性は小さいとの見方からアジアの塩ビ樹脂市況は5週連続で横ばいにあるとみているが、当面のアジア塩ビ樹脂市況はメーカーの採算面から価格横ばいが続くとの予想になる。
 

叶 一真

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