アフリカのルワンダを経由したタンタル鉱石(コルタン)の密輸品が、日本企業の製品に使われているとの疑惑が浮上している。国際人権NGOのグローバル・ウィットネス(Global Witness)は6月10日、「密輸されたコルタンがソニーやトヨタ自動車などの製品に使われている可能性がある」とのリポートを発表した。生産活動が人権を脅かしているとみられれば、輸入差し止めや不買運動などに発展する恐れをはらむ。
■マイクロソフトやLGディスプレイも
プレスリリース:Who buys Rwanda’s conflict coltan? | Global Witness
問題になっているのはコンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)産のコルタン。かねて武装勢力が支配する鉱山地域で違法採掘を行っているとの指摘があり、隣国ルワンダ経由で密輸されているとみられていた。今回のレポートは密輸品が最終的にどの企業で使用されているかを突き止めたもので、グローバル・ウィットネスは日系のソニーやトヨタのほか、マイクロソフト、ボーダフォン、アマゾン、エンビディア、LGディスプレイ、エリクソン、アップルなどを挙げた。
一方、英人権団体のビジネスと人権センター(Business and Human Rights Centre BHRC)は4月、一部企業に対し、コンゴ産違法コルタンを使用しているとの疑惑について質問し回答を得たと発表していた。このうち、ソニーは「当社は人権を重視しており、すべてのサプライヤーに対し当社の方針に同意するよう求めている」と回答していた。
ソニー質問回答:Disclosure from Sony - Business and Human Rights Centre
パナソニック質問回答:Disclosure from Panasonic - Business and Human Rights Centre
■中国などでタンタルに加工、その後コンデンサに
材料の調達過程が人権問題に抵触したケースは、ユニクロの事例が記憶に新しい。米税関は2021年、ユニクロの綿製シャツが、中国の新疆ウイグル自治区での強制労働で作られた疑いがあるとして輸入を差し止めた。その後、同社の柳井正会長が2024年になって新疆産綿を「使っていない」と発言したことで、新疆での強制労働を否定する中国で不買運動が起きるなど、厄介な火種となった。
コルタンの場合も、コンゴから密輸されてハイテク企業の手にわたるまでに複雑な経路をたどる。グローバル・ウィットネスによると、紛争地域で違法に採掘されたコルタンはルワンダから仲介業者を通じて中国やカザフスタンの製錬所に運ばれる。製錬所ではコルタンがタンタルに加工され、さらに電子機器に不可欠なコンデンサの製造に利用されるという。
足元ではタンタル価格が過去最高値圏に上昇している。企業が高値でタンタルを買えば、まわりまわってコンゴの武力勢力の資金源となり、紛争継続に加担していることになりかねない。
過去20年間のタンタル価格の推移(99.95% China)($/kg)
