Loading...

2026年4月 SUSスクラップ輸出入統計分析 輸出は多極化、輸入は韓国依存強まる 円安とニッケル高で価格上昇

2026/06/22 12:15
文字サイズ

関連記事→
【貿易統計/日本】 2026年4月の日本のステンレススクラップ輸出入統計

SUS scrap market watch2026#1 ニッケル高、円安で日鉄大幅上げ
国内ステンレススクラップ続伸 304系210〜220円水準へ――中部地区特殊鋼勢が相場牽引、輸出は1400ドル視野
4月国内ステンレススクラップ相場、キロ5円の小幅上昇へ ―― マクロの底堅さとリターン材スプレッド是正がもたらす相場反転
【SUSscrap】韓国ポスコ、5月積みステンレススクラップ購入価格を引き上げ —— ニッケル相場の高騰と製錬コストの構造的上昇も遠因
【SUSscrap】連休明けの国内ステンレススクラップ市況「二極化」の様相鮮明に 日本冶金・中部地区特殊鋼メーカーの強気買いと、沈黙するBIG2

為替相場推移 TTS 3か月

 

(輸出分析・4月更新)
■数量面
4月単月は2万1,826トンと、3月(1万9,733トン)から増加し前月比111%となった。一方、前年同月比では84%と前年水準を下回ったものの、2万トン超の高水準を維持した。
国別では、韓国向けが7,770トン(前月比157%)と大幅増となり最大仕向け地へ復帰。中国向けも5,207トン(同106%)と増加した。一方、台湾向けは1,713トン(同59%)、インド向けは2,874トン(同71%)と減少。タイ向けは2,140トン(同135%)へ持ち直した。「その他」も2,122トン(同262%)と大きく増加した。
■1-4月累計
累計数量は7万6,118トンとなり、前年同期比105%と増加を維持。中国(前年比135%)、インド(同155%)、その他(同246%)が全体を押し上げた。
■総括
4月は韓国向けの急回復と中国向けの堅調な需要が全体を牽引した。一方でインド・台湾向けは反落しており、仕向け地ごとのばらつきは依然大きい。累計では中国・インドを中心に増加基調が続いており、ステンレススクラップ輸出は「高水準維持とアジア向け多極化」が進む局面にある。

(表―1、グラフ―1)。
 

 

■数量構成(3月→4月)
・韓国:25% → 36%(上昇)
・中国:25% → 24%(ほぼ横ばい)
・台湾:15% → 8%(低下)
・タイ:8% → 10%(上昇)
・インド:21% → 13%(低下)
・インドネシア:3% → 0%(消失)
・その他:4% → 10%(上昇)
■整理
4月は韓国比率が25%から36%へ急回復し、再び最大市場の地位を取り戻した。中国は24%と高水準を維持した一方、3月に存在感を高めたインド(21%→13%)と台湾(15%→8%)はシェアを落とした。
また、「その他」が10%まで上昇しており、特定国への集中一辺倒ではなく分散需要も拡大している。インドネシア向けは前月の一時的な出荷にとどまり、4月は実績がなかった。
結果として4月は、
「韓国主導への回帰+中国の安定需要+その他市場の拡大」
という構図となった。3月に見られた中国・インド中心の多極化から、韓国の存在感が再び強まったものの、中国やその他向けも一定規模を維持しており、輸出構造全体としてはアジア向けを軸とした分散型が続いている。
(グラフ―2)。


 

■金額面(4月単月)
4月の輸出金額は40億40百万円と、前月(30億61百万円)から32%増加し、前年同月比でも5%増となった。数量増加を背景に持ち直しが続いている。
内訳では、韓国向けが18億71百万円(前月比192%)と急増し、再び最大市場に返り咲いた。中国向けも9億45百万円(同137%)と増加し、高水準を維持。インド向けは2億99百万円、その他向けは4億69百万円と、それぞれ前年を大きく上回った。一方、台湾向けは2億78百万円(同50%)と反落し、前月の急増から調整局面となった。
■1-4月累計
1~4月累計は129億44百万円で前年同期比120%。韓国が59億43百万円(前年比120%)で最大を維持し、中国も27億91百万円(同156%)と大幅増加。インド(11億07百万円、同136%)やその他地域(10億52百万円、同267%)の伸びも目立つ。
■総括
4月は韓国向けの急回復が全体を押し上げ、中国向けの堅調さも継続した。3月に目立った台湾向け偏重は後退し、韓国・中国・インド・その他へと分散が進展。数量面と同様に、ステンレススクラップ輸出は「総量回復を伴う多極化」が続いている。
(表―2、グラフ―3)。



 

■FOB単価推移(3月→4月)
4月の全体平均FOB単価は155円/kgから185円/kgへ大幅上昇した。円相場は3月の159.68円から4月は一時160.33円台まで円安が進行し、円建て輸出価格を押し上げた。また、LMEニッケル相場も大幅に持ち直し、国内ステンレススクラップ市況の上昇が輸出価格へ反映されたとみられる。
仕向け地別では、韓国向けが197円→241円/kg、中国向けが141円→182円/kgと大幅上昇し、全体平均を押し上げた。一方、台湾向けは190円→162円/kgへ低下、タイ向けも101円→83円/kgへ反落した。インド向けは97円→104円/kgと小幅上昇した。
■整理
4月は「数量増加+単価上昇」が同時に進んだ月となった。円安進行に加え、ニッケル相場と国内スクラップ価格の持ち直しが追い風となり、韓国・中国向けを中心に輸出採算が改善。一方で台湾やタイは弱含みで推移しており、価格動向は引き続き地域差を伴う展開となっている。(グラフ―4、5)。


■今後の展望
足元のステンレススクラップ市場は回復基調を維持しているが、その実態は一枚岩ではない。日本冶金や大同特殊鋼、愛知製鋼が集荷強化を進め、304系市中価格は220~230円/kg台へ上昇している一方、日本製鉄系や親和スチールは在庫余剰や韓国向け輸出停滞を背景に慎重姿勢を崩していない。
LMEニッケルは18,000~19,000ドル台で推移し、円安も輸出採算を下支えしているため、価格の下値は限定的とみられる。ただし足元の上昇は市場全体の需給逼迫というより、一部メーカーによる原料確保の動きに支えられた側面が強い。
輸出では中国・インド向けが引き続き下支え役となる一方、韓国向けは減産の影響を受けやすく、先行きには不透明感も残る。総じて当面は「価格は堅調、需給は二極化」の展開が続き、国内大手メーカーの調達方針や輸出環境の変化が相場の方向性を左右する局面となりそうだ。

主要税関数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績

主要国別税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績

(輸入分析)
■数量面では、2026年4月の輸入数量は4,807トンと、前月(4,647トン)から3%増加し、前年同月比でも106%となった。1~4月累計は1万8,092トンで前年同期比116%と、回復基調を維持している。
主要輸入先では、韓国が3,373トン(前月比116%、前年同月比120%)と増加し、引き続き最大供給源として全体を牽引した。台湾は464トン(前月比89%)、米国も288トン(同62%)とともに減少。一方、「その他」は682トンと前年同月比138%を記録し、多様な供給源からの流入が続いている。
総じて4月は、韓国からの輸入増加が全体を押し上げる一方、台湾・米国は調整局面となった。累計ベースでは韓国依存が依然強いものの、米国やその他地域も前年を上回って推移しており、輸入構造は緩やかな分散化が続いている。

4月の「その他」682トンの主成分は、シンガポール325トン、香港101トン、タイ80トン、インドネシア79トン、マレーシア32トン、カナダ24トン、オーストラリア21トン、オランダ12トンなどで構成される。前月に比べ中東系の比重は低下し、東南アジア経由の調達が中心となったことが特徴である。

(表―3 グラフ―6)。



 

■数量構成では、3月→4月で、
•    韓国が62%→70%へ上昇
•    台湾が11%→10%へやや低下
•    米国が10%→6%へ低下
•    「その他」が16%→14%へ低下
となった。
■整理
4月は韓国からの輸入増加を背景に、供給構造が再び韓国集中型へ傾いた。3月にみられた米国・台湾の回復による分散化はやや後退し、韓国が全体の7割を占める圧倒的な供給源としての地位を強化した。一方、「その他」は数量自体は高水準を維持しているものの構成比は低下しており、輸入市場は再び韓国主導色を強める展開となった。
(グラフ―7)。


 

■金額面では、2026年4月単月は15億37百万円と、前月(13億38百万円)から15%増加し、前年同月比でも114%となった。数量増加と連動して金額も拡大し、堅調な輸入需要が続いている。
国別では、韓国が11億10百万円(前月比127%、前年同月比136%)と大幅増加し、全体の拡大を牽引した。台湾は1億55百万円(前月比106%)と小幅増となった一方、米国は91百万円(同78%)へ減少。「その他」も1億81百万円(同89%)とやや縮小した。
1~4月累計では53億52百万円となり、前年同期比110%と増加基調を維持。韓国が35億27百万円(前年比116%)で圧倒的な比重を占める一方、米国も同114%と前年を上回った。総じて4月は韓国からの輸入増加が金額面でも全体を押し上げ、輸入構造は再び韓国依存を強める展開となった。
(表―4、グラフ―8)。



■CIF価格の推移を見ると、全体平均は3月の288円/kgから4月は320円/kgへ上昇し、再び300円台を回復した。4月は円安が進行したことに加え、LMEニッケル平均価格も17,093ドルから18,006ドルへ上昇しており、国際市況と為替の双方が輸入価格を押し上げる要因となった。
国別では、韓国品が301円/kgから329円/kgへ上昇し、最大供給国として全体平均の上昇を主導した。台湾品も280円/kgから333円/kgへ反発し、前月の下落を取り戻した。一方、米国品は249円/kgから316円/kgへ大幅上昇し、調達価格の切り上がりが鮮明となった。
また、国内310系スクラップ価格は420円/kgで高止まりを続けており、国内需給の堅調さも輸入価格を下支えしている。総じて4月は、円安進行とニッケル相場の反発を背景に主要輸入先の価格がそろって上昇し、輸入CIF価格は再び上昇基調へ転じた月と整理できる。


(グラフ―9)。


 


主要税関数量・CIF(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績

主要国別税関別数量・CI(JPY/Kg)F実績 ( )内は前月実績


(IRUNIVERSE S. Aoyama)
 

青山 雫

関連カテゴリ

関連記事

新着記事

ランキング