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(概況)
4月のニッケルくず輸出は、数量が569トンと前月比76%へ減少したものの、前年同月比では119%と増加。3月の米英向け拡大は一服し、タイ向けが再び主力に浮上した。LMEニッケル高と円安が下支えする一方、高単価案件の反動でFOB単価は調整した。
為替相場推移 TTS 3か月
■数量では、
4月単月は569トンと、3月(744トン)から減少し前月比76%となったが、前年同月比では119%と前年を上回った。2月の急増、3月の反動局面を経て、4月も調整基調が続いた。
主要仕向け先では、タイ向けが169トン(前月比1,408%)と急増し最大の輸出先となったほか、韓国向け107トン(同91%)、米国向け104トン(同29%)が続いた。中国向けは42トン(同175%)、マレーシア向けも53トン(同294%)へ増加した一方、3月に大きく伸びた米国向け(356→104トン)や英国向け(139→54トン)は反落した。
1-4月累計では2,632トン(前年同期比133%)と高水準を維持。タイ向け805トン、米国向け742トンが引き続き主力で、韓国向け318トン、中国向け136トンも前年を上回った。総じて4月は、北米向けの反動減をタイ向けの急回復が補う構図となり、輸出先の分散化が続いている。(表―1、グラフ―1)。


■数量構成比では、
4月はタイ向けが2%→30%へ急拡大し、最大仕向け地へ浮上した。一方、3月に最大だった米国向けは48%→18%へ低下し、英国向けも19%→9%へ縮小した。韓国向けは16%→19%へ上昇、中国向けも3%→7%へ拡大した一方、マレーシア向けは2%→9%へ持ち直した。台湾、ドイツ、シンガポール向けはゼロとなった。
総じて4月は、3月の米英主導型からタイ・韓国中心へ再び構成が変化した。特定地域への集中ではなく、月ごとに主力仕向け先が入れ替わる多極・スポット型の輸出構造が引き続き鮮明となっている。(グラフ―2)。

■金額では、
4月単月は6億23百万円と、3月(12億7百万円)から減少し前月比52%となったが、前年同月比では125%と前年を上回った。3月に拡大した欧米向け輸出の反動減が全体を押し下げた。
仕向け先別では、米国向けが1億96百万円(前月比32%)で最大を維持したものの大幅減少。英国向けも89百万円(同35%)へ縮小した。一方、韓国向けは1億54百万円(同109%)、中国向けは82百万円(同220%)、タイ向けも51百万円(同154%)へ増加し、アジア向けが下支えした。
1-4月累計は30億95百万円(前年同期比156%)と高水準を維持。総じて4月は、欧米向け高額案件の一服を韓国・中国・タイ向けが補う構図となり、輸出先の分散化が引き続き進んでいる。(表―2、グラフ―3)。


■輸出FOB単価
4月の平均FOBは1,095円/kgと、3月(1,622円/kg)から低下した。円安が円建て価格を下支えし、LMEニッケルも4月平均1万8,006ドル/トンと3月(1万7,093ドル)を上回ったものの、3月の米英向け高単価案件の反動で平均単価は調整した。
国別では、中国向けが1,953円/kg、米国向けが1,884円/kg、英国向けが1,655円/kgと高水準を維持した一方、タイ向けは301円/kgまで低下し、輸出先構成の変化が全体単価を押し下げた。総じて4月は、国際ニッケル価格と円安が相場を支えたものの、スポット案件の減少によりFOBは平常水準へ戻った。(グラフ―4)。

主要税関数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
■今後の展望
数量面では底堅い推移が続く見通しだ。日本鉄鋼連盟統計では、ステンレス向けを含む特殊鋼生産は緩やかな回復にとどまるものの、高品位ニッケルスクラップに対する海外需要は依然堅調で、韓国、米国、中国、ASEAN向けを中心に一定の輸出水準が維持される公算が大きい。
価格面では、インドネシア政府による鉱石生産枠(RKAB)の抑制やHPAL向け原料・硫黄供給の制約を背景に、LMEニッケルは2026年入り後に一段高となっており、円安基調も加わって日本のスクラップFOB価格を下支えしている。もっとも、価格上昇の主因は供給制約であり、世界のステンレス需要やEV向けニッケル需要はなお力強さを欠く。LFP電池へのシフトもニッケル需要の伸びを抑制する要因となっている。
総じて2026年は、「数量は底堅く、価格は従来より強含み」が基本シナリオとなろう。ただし、市場はインドネシアの資源政策や供給動向への感応度が極めて高く、政策変更や供給障害次第では価格変動が大きくなる局面が続くとみられる。
(IRUNIVERSE S. Aoyama)