【概況】
6月22~26日のLME非鉄相場は、週前半の急落後に下げ渋る展開となった。銅は半導体株安や米利上げ観測を受けて一時12,989.5ドルまで下落した後、週末は13,357.5ドルへ反発。アルミも3,110ドルまで急落後、3,179.5ドルへ持ち直した。ニッケルは中国需要低迷や在庫高止まりを背景に16,600ドル台まで下落し、戻りは限定的だった。亜鉛、錫も大幅安後に買い戻されたが、全体としてドル高・ハイテク株安を嫌気した調整色の強い週となった。
(為替概況)161円台後半で高止まり 介入警戒と円キャリーが綱引き(NY外為)
6月22~26日のドル円は、161円台半ば~後半で高止まりした。週初は162円接近場面もあったが、日本当局による介入警戒感から上値は抑制。一方、日米金利差を背景とした円キャリー取引が下値を支え、161円台を維持した。米利上げ観測やドル高基調が続く一方、週後半は原油安やドル高一服で上昇の勢いは鈍化。総じて、円安水準は非鉄国内建値を下支えしたが、162円台定着は見送られた。
東京外為市場
6月26日(金)
東京TTS(基準値)
1ドル=162.9円
前週末
6月19日(金)
東京TTS(基準値)
1ドル=162.17円
に対して73銭のドル高円安に。

【LME概況】
(カッパー)急落後に持ち直し 13,000ドル台前半で反発
6月26日、3Mは13,357.5ドルが終値。前週末(6月19日)終値13,595.0ドルに対して237.5ドル安と続落した。週前半は中東情勢の緩和を背景に反発したものの、23~24日は半導体株安やドル高を受け一時12,989.5ドルまで急落。その後はドル高一服を受け買い戻され、週末は13,300ドル台を回復した。COMEX在庫は増加した一方、LME在庫は35万2,150トンから33万6,475トンへ減少し、NYプレミアムは400ドル前後から100ドル台へ縮小するなど米国市場の逼迫感はやや後退した。
LMEカッパー相場推移(オフィシャルUSD/T)1カ月
キャンセルワラント比率は前週38-39%から37%へやや低下も、7週連続で需給引き締まり観測が強まった。

国内銅建値は、6月11日の2,250円から16日に40円引き上げられ2,290円となった。その後、LME銅の反落を受けて22日に10円引き下げの2,280円、さらに24日には40円引き下げの2,240円へ改定された。米・イラン停戦合意を背景にLME銅は一時1万3,800ドル台まで上昇したが、その後は利益確定売りやドル高を受けて調整色を強めた。ただ、ドル円は161円台後半の円安水準を維持しており、建値は下落したものの依然として過去最高圏で推移している。
LMEカッパーVS国内建値推移 1カ月
(アルミ)急落後に持ち直し コンタンゴ転換で需給逼迫感後退
6月26日3Mは3,179.5ドルが終値。前週末(6月19日)終値3,396.5ドルに対して217.0ドル安。週前半は半導体株安やドル高を背景に売りが強まり、24日には一時3,110.0ドルまで下落。その後はドル高一服や原油安を受け反発したものの、戻りは限定的だった。LME在庫は31万5,300トンから30万6,725トンへ減少した一方、現先はコンタンゴが一時17ドル台まで拡大し、週末は6.7ドルまで縮小。現物需給の逼迫感は後退し、相場はマクロ要因に左右される展開となった。
LMEアルミ(CASH/3M USD/T)1カ月
キャンセルワラント比率は前週21-22%から21%へ3週連続で小幅低下、需給引き締まり観測も小幅後退。

NSPは前週末673円から22日に677円へ小幅上昇したが、その後はLMEアルミの急落に連動して下落基調を強めた。LMEアルミは供給不安後退に加え、半導体株安やドル高を嫌気して3Mが24日に一時3,110ドルまで下落。これを受け、NSPも23日に665円、24日に649円、25日には627円まで続落した。26日は戻されて635円。ドル円は161円台後半の円安圏で推移したものの下支え効果は限定的で、現先コンタンゴ転換による需給逼迫感の後退も重石となった。
LMEアルミVS NSP推移 1カ月
(ニッケル)急落後も軟調 需要低迷と供給懸念が交錯
6月26日3Mは16,699ドルが終値。前週末(6月19日)終値17,580ドルに対して881ドル安と大幅続落した。週前半は一時17,890ドルまで反発したものの、その後は半導体株安やドル高を背景に売りが強まり、24日には16,660ドルまで下落。週末も戻りは限定的だった。LME在庫は27万6,216トンから27万4,806トンへ小幅減少。中国需要の低迷が重石となる一方、インドネシアの採掘規制や供給制約への警戒感が下値を支える展開が続いた。
LMEニッケル(CASH/3M、USD/T)1カ月
キャンセルワラント比率は前週4%から4%へ横ばい、現物需給の逼迫感後退は一服。

(鉛・亜鉛・錫)
―鉛3Mは続落 2,000ドル回復はなお持ち越し
―鉛3Mは前週末(6月19日)終値1,954.0ドルに対し、6月26日終値は1,903.5ドルと50.5ドル安。週前半は反発したものの、その後はドル高や非鉄市場全般の軟調地合いを受けて4日続落。2,000ドル台の回復には至らず、軟調な推移が続いた。。
LME鉛価格推移(オフィシャル,USD/T) 1カ月
在庫は前週30万トン前半から30万トン付近まで減少、3週連続でのネット流出となった(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント比率は前週7%から6%へ2週連続で下落、現物需給の逼迫感も連続後退。

国内鉛建値
国内鉛建値は、6月19日の381円から25日に6円引き下げの375円へ改定された。LME鉛は週前半から軟調地合いが続き、26日には3Mが1,903.5ドルまで下落するなど2,000ドル回復には遠い展開となった。ドル円は161円台後半の円安圏を維持したものの、LME鉛の下落圧力が勝り、国内建値も月初高値390円から調整色を一段と強めた。
LME鉛(USD/T)VS国内建値(JPY/Kg)推移 1カ月
―亜鉛3Mは反落 3,500ドル台は維持
―亜鉛3Mは前週末(6月19日)終値3,556.5ドルに対し、6月26日終値は3,472.0ドルと84.5ドル安。週前半は大幅下落し24日に3,421.5ドルまで下落したものの、その後は買い戻しで反発。週末も3,400ドル台後半を回復したが、需給引き締まり観測を背景とした3,500ドル台への定着は持ち越しとなった。
LME亜鉛(オフィシャル,USD/T) 1カ月
在庫は前週10万トン直下から12万トン台へ急増、3週連ぶり大幅流入となった(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント比率は前週15%から12%へ2週連続で低下し、需給引き締まり観測は後退続く。

国内亜鉛建値は、6月18日の646円から25日に33円引き下げの613円へ改定された。LME亜鉛は週前半に3,608ドルまで持ち直したものの、その後は半導体株安やドル高を背景に3,421ドルまで急落し、週末も3,400ドル台での推移となった。ドル円は161円台後半の円安を維持したが、LME亜鉛の大幅下落が上回り、国内建値も高値圏から大きく水準を切り下げる展開となった。
LME亜鉛(USD/T)VS国内建値(JPY/Kg)推移 1カ月
―錫3Mは急落後に下げ渋り 5万ドル台を維持
―錫3Mは前週末(6月19日)終値53,293ドルに対し、6月26日終値50,553ドルと2,740ドル安。週前半は半導体関連株安や商品市況全般の軟化を受けて急落し、24日には49,681ドルまで下落して5万ドルを割り込んだ。その後は買い戻しで反発し、週末は5万ドル台を回復。東南アジアの供給不透明感やAI・電子材料向け需要期待が引き続き相場を下支えしている。
LME錫価格推移(セツル,USD/T) 1カ月
在庫は前週8000トン後半から9000トン間際まで増加(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント比率は前週11%から9%に低下、現物需給の逼迫感が弱まった。

(マクロ経済・重要イベント)
―マクロ経済結果
【米国】
6月23日(火)
PMI(6月速報)
• 米製造業・サービス業PMIは底堅さを維持し、景気減速懸念が後退。一方、半導体関連株の急落を受けてリスク回避姿勢が強まり、LME非鉄は全面安となった。
6月24日(水)
新築住宅販売(5月)
• 住宅関連指標は底堅さを示し、FRBの高金利政策長期化観測が継続。ドル高と米利上げ観測を背景に商品市場全般が軟化し、銅、アルミ、ニッケルはいずれも大幅続落した。
6月25日(木)
GDP確報値(1~3月期)
耐久財受注(5月)
個人所得・支出(5月)
新規失業保険申請件数
• 米景気の底堅さが改めて確認された一方、ドル高が一服したことでLME非鉄には買い戻しが入り、銅、アルミ、亜鉛、錫は反発した。
6月26日(金)
ミシガン大学消費者信頼感指数(6月確報)
• 消費者マインドは底堅さを維持したが、市場の反応は限定的。ドルはやや軟化し、銅とアルミは続伸した一方、ニッケルは戻り売りに押され反落した。
総合評価
• 今週は米景気の底堅さを背景にFRBの高金利政策長期化観測が意識された一方、ドル高は週後半に一服。LME非鉄は週前半に株安やドル高を嫌気して急落した後、買い戻しから下げ渋る展開となった。
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【中国】
6月27日(土曜日)
工業利益(5月)
• 工業利益はなお低調で、企業収益の改善は限定的だった。
• 小売売上高は前年割れとなり、約3年5カ月ぶりのマイナスを記録。不動産開発投資(▲16.2%)や固定資産投資も低迷が続き、内需の弱さが鮮明となった。
• 一方、輸出は引き続き堅調で、対米輸出の回復が景気を下支えしている。
総合評価
• 中国経済は「外需堅調・内需低迷」の構図に大きな変化はない。投資不振が消費へ波及する状況が続く一方、輸出が景気を支える展開となっており、今後は外需の回復を内需や民間投資へ波及させられるかが焦点となる。
【中国】
6月30日(火曜日)
• 製造業購買担当者景況指数(PMI、6月、中国物流購買連合会)
• 非製造業購買担当者景況指数(PMI、6月、中国物流購買連合会)
7月1日(水曜日)
• 製造業購買担当者景況指数(PMI、6月、RatingDog)
7月3日(金曜日)
• サービス業購買担当者景況指数(PMI、6月、RatingDog)
→ 中国では、6月の製造業・非製造業PMIが最大の注目材料。5月は小売売上高が約3年半ぶりの前年割れとなるなど内需低迷が鮮明となった一方、輸出は堅調を維持しており、景気を外需が支える構図が続いている。製造業PMIが改善すれば、企業活動や銅・アルミ・亜鉛など非鉄金属需要の持ち直し期待につながる。一方、50割れや市場予想を下回る結果となれば、中国景気減速や原材料需要の鈍化懸念が再燃する可能性がある。市場は、外需主導の景気回復が内需へ波及するかを引き続き見極める展開となりそうだ。
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【米国】
6月30日(火曜日)
• 消費者信頼感指数(6月、コンファレンスボード)
• シカゴ購買部協会景気指数(6月)
7月1日(水曜日)
• ADP雇用統計(6月)
• ISM製造業景況指数(6月)
• 建設支出(5月)
• 新車販売台数(6月)
7月2日(木曜日)
• 雇用統計(6月)
• 新規失業保険申請件数
• 製造業新規受注(5月)
• 耐久財受注確報値(5月)
→ 米国では、6月雇用統計(7月2日)とISM製造業景況指数(7月1日)が最大の注目材料。前週はGDPや耐久財受注などが底堅い内容となり、FRBの早期利下げ観測は後退した。市場では、高金利政策が長期化する中でも米景気が堅調さを維持できるかが焦点となっている。
雇用統計やISM製造業景況指数が市場予想を上回れば、米金利やドルの上昇を通じてLME非鉄相場には重石となる一方、銅やアルミなどの需要期待を支える可能性がある。反対に、景気減速を示す内容となれば利下げ期待が高まりドル安要因となる一方、実需への懸念から非鉄相場は神経質な値動きとなりそうだ。
全体として今週は、「米雇用統計」と「中国PMI」がLME非鉄相場の方向性を左右する最大の注目材料となる。
(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)
本記事は執筆者個人の分析および見解であり、IRuniverseの公式見解を示すものではありません。内容は情報提供を目的としたもので、投資判断の根拠として用いることを意
図したものではありません。