以下は6月26日に航空会館で行われたCMSS・レアアース編の講演者の一人であるUMC Resources CEO(AMJ founder) 中村繁夫氏による質疑応答反論編である
AI文明はレアメタルを爆食するのか
― 第二の資源革命・その先に見える第三の革命 ―
私は先日、「AI文明はレアアースを爆食する」という講演を行った。
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講演後、多くの質問をいただいた。
その中でも興味深かったのは、
「本当に2030年まで資源需要は増え続けるのか」という問いだった。
私は改めて考えてみた。
山師とは、自説を疑う人間でもある。
自分の仮説に反論をぶつけて初めて、本当に強い未来予測になる。
そこで今回は、あえて私自身の論文に三つの反論を加えてみたい。
第一の反論
AIは「爆食」ではなく「引き算」を始める
私はこれまで、AIはデータセンターを巨大化させ、GPUを増やし、電力を消費し、
レアメタルを爆食すると論じてきた。
しかし技術は直線では進歩しない。飛躍する。
生成AIそのものが、
「もっと少ないGPUで同じ知能を実現する」
アルゴリズムを自ら生み出し始めている。
さらに光電融合、光チップ、アナログコンピューティング、量子技術が社会実装されれば、
電力も冷却設備も現在の延長線上では語れなくなる可能性がある。
AIは資源を食べ続ける存在ではなく、資源を節約する知能へ進化するかもしれない。
これは第二の資源革命の中から芽生える、
「第三の効率革命」である。
第二の反論
高値になった資源は必ず代替される
私は半世紀以上、レアメタルの世界を歩いてきた。
その経験から一つだけ絶対法則がある。
高くなり過ぎた資源は、
必ず代替される。
銅が高騰すればアルミが伸びる。
ガリウムが止まれば新材料が生まれる。
希少金属が囲い込まれれば、世界中の研究者が代替技術を競争する。
現在、
カーボンナノチューブ、グラフェン、新型導電材料、次世代パワー半導体など、
中国の工程支配を無力化する研究は猛烈な勢いで進んでいる。
山師は価格だけを見るのではない。
価格が未来の技術を呼び込むことを見る。
資源争奪戦は、
同時に素材革命でもある。
第三の反論
信頼だけでは国家は守れない
私は最後に「信頼こそ最大の戦略資源」と結論づけた。
この考えは今でも変わらない。しかし、それだけでは十分ではない。
コロナ禍では、世界中の友好国が自国民を優先した。
ワクチンも医療品も輸出が止まった。
資源でも同じことが起こる。
有事になれば、
国家は必ず自国を守る。
だから日本に必要なのは、
信頼だけではない。
世界が「日本を止めたら自分も困る」と思うほどの、
代替できない技術を持つことである。
高純度化技術。
半導体製造装置。
超精密加工。
工程管理。
これらは日本が長年築いてきたブラックボックス技術である。
私はこれを「技術による相互確証抑止」と呼びたい。
軍事ではなく、技術で世界を止めることができる国だけが、
最後まで交渉力を持つ。
新しい未来予測
以上の三つの反論を踏まえると、
2030年以降の世界は、次のような姿になるだろう。
第一段階ではAIインフラが爆発的に拡大し、
銅、レアアース、ガリウム、ゲルマニウムへの需要が急増する。
第二段階では、
AI自身が効率化技術を生み出し、
電力やレアメタルの使用量を抑え始める。
第三段階では、
代替材料や新しい半導体技術が成熟し、
資源そのものよりも、
「技術」と「工程」の競争へ移る。
最終段階では、資源でもAIでもなく、
代替できない技術と世界からの信用を持つ国家が勝者となる。

結論
私は今でも、
AI文明は第二の資源革命を起こすと確信している。
しかし、その先には、
技術革新による省資源化、
素材革命による代替、
そしてブラックボックス技術による新たな国家戦略という、
第三の革命が待っている。
山師は未来を一点では見ない。
複数の未来を見比べ、
その中で最も起こりやすい道筋を探す。
AI文明とは、
資源だけの時代でも、
技術だけの時代でもない。
資源・技術・信頼の三つが絡み合う、新しい文明の始まりなのである。