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中外炉工業に聞く:電炉ダストの「オンサイト処理」が切り拓く資源循環の未来

2026/06/30 12:25
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中外炉工業に聞く:電炉ダストの「オンサイト処理」が切り拓く資源循環の未来

 これまで「コストをかけて外部に捨てるもの」だった電炉ダストが、自社工場内で完結する新たな「収益源」へと生まれ変わろうとしている。中外炉工業が提案する画期的な「電炉ダストのオンサイト処理設備」は、火を使わず電力のみでダストを加熱・分離し、鉄分を100%電気炉へ戻すとともに、回収した亜鉛を製錬メーカーへ売却することを可能にする。既存の外部処理業者に頼るスキームが、右肩上がりの埋め立てコストや設備老朽化の壁に直面する中、この技術は国内資源循環の切り札になり得るのか。同社の担当者に、次世代のオンサイト処理技術の全貌と、国内外のダスト処理を取り巻く最新事情を聞いた。

**聞き手(IRUNIVERSE棚町、以下棚町): 御社は工業炉の専門メーカーとして、鉄鋼や自動車の金属熱処理、半導体分野などに様々な設備を手掛けておられます。近年は資源循環や脱炭素のトレンドを受け、電炉ダストのオンサイト処理設備の開発に注力されており、東京製鉄宇都宮工場に実験機を設置されている(建設中=26年6月現在)と伺っています。まずはこの設備がどのようなものか教えてください。

**中外炉工業の友澤氏(以下、友澤氏): はい。弊社が開発を進めているのは、電炉メーカー様の工場内(オンサイト)でダストを直接処理するための設備です。イメージとしては、高炉で使用される回転炉床炉(RHF)と共通する考え方を取り入れた加熱プロセスを採用しており、ダストを高温で処理することで鉄分と亜鉛を効率的に分離します。また、熱源として電力を活用できることも特徴の一つです。

**棚町: 電炉ダストの処理といえば、世界的には巨大なウェルツキルン法を用いた外部処理が主流です。既存の処理方法にはどのような課題があるのでしょうか?

**友澤氏: 既存のウェルツキルン法は、50メートル規模の巨大な設備で一括処理するため、これまでは処理単価を安く抑えられるというメリットがありました。しかし、現在ではいくつかの大きなマイナス点が浮き彫りになっています。

第一に、ダストを外部の処理業者へ運ぶための運賃が高騰している点です。

第二に、残渣(ざんさ)の処理コストの問題です。外部の施設で亜鉛を回収した後に残る鉄分を含んだ残渣は、一部がセメントや炉前材の材料として引き取られるケースもありますが、大半は行き場がなく埋め立て処理されています。近年、この埋め立て(ランドフィル)コストが急激に上昇しています。

さらに、既存の老朽化したウェルツキルン設備を設備更新には多額の投資が必要となるケースもあり、事業者にとって大きな負担となる場合があります。

**棚町:電炉メーカーは現在、ダスト処理費としてトン当たり3万円から5万円程度(処理費用は契約条件や地域によって異なる)を支払っていますが、その背後には運送費や埋め立てコストの増大があるわけですね。それらの課題を解決するのが、御社のオンサイト処理設備ということでしょうか。具体的な利点を教えてください。

**友澤氏: 最大の利点は、こうした外部処理費用が不要になること、さらには無駄のない完全な資源循環を自社工場内で達成できる点です。オンサイトでダストから分離された鉄分は、そのまま自社の電気炉に戻して再利用することが可能です。外部処理のように鉄分を埋め立てて捨てる必要がなくなります。

一方、分離された亜鉛は粗酸化亜鉛として回収されます。この粗酸化亜鉛を亜鉛製錬メーカーへ販売することで、電炉メーカー様にとってはダストが新たな収益源へと変わります。これらの経済合理性から、設備導入から5年〜10年程度で投資回収ができるシミュレーションとなっており、各電炉メーカー様から非常に高い関心をいただいております。(投資回収年数は一定の前提条件に基づく試算)

 

**棚町:鉄分は自社で再利用し、亜鉛は売却益にする。非常に理想的なサイクルですね。環境面でのメリットはいかがですか?

**友澤氏: 弊社のオンサイト設備は、加熱に化石燃料を使用せず、電力のみで稼働します。そのため、使用する電力の調達方法によっては、処理工程におけるCO₂排出量の大幅な低減に貢献できる可能性があります。

**棚町:足元の市場環境を見ると、LMEの亜鉛価格が高値圏で推移している一方で、亜鉛製錬メーカー側は鉱石の処理費(TC)がマイナスになるなど非常に苦しい状況にあり、リサイクル原料(再生亜鉛)へのニーズが世界的に高まっています。中国やアジアの企業もダストを買い漁っている状況です。電炉メーカーがオンサイトで良質な粗酸化亜鉛を回収できれば、リサイクル原料への需要拡大を背景に、活用先の広がりも期待されますね。

**友澤氏: おっしゃる通りです。経済安全保障の観点からも、国内で発生した資源を国内で循環させる仕組み作りは時代のニーズにマッチしていると考えています。

**棚町:世界的に見ても、電炉ダストのオンサイト処理設備はまだ普及していません。今後、インドなど鉄鋼生産とダスト発生量が急激に伸びていく新興国においても、この「電気加熱を活用し、鉄資源の循環利用と亜鉛回収を実現する」技術は間違いなく大きなアピールポイントになるはずです。本日は貴重なお話をありがとうございました。

YT

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