超高値圏にあった国内アルミ合金・スクラップ市況が転換点を迎えた。なお火種を残しながらも緊迫していた中東情勢が出口に向かって動き出す中、指標となるLME相場(現物)がホルムズリスクプレミアムの剥落で急落し、それが国内相場にもストレートに波及した形だ。1日現在、主要スクラップが中旬比30-40円幅で値を消し、製品の国産ADC 12も同比で10円値下がりしている。低水準のLME在庫、円安などに市況悪化の歯止め効果を期待する声も出ているが、割安な中国産のアルミ線流入で市場の荷もたれ感は足元増幅されており、目先下値を探る展開が続きそうだ。

LMEアルミ相場
主要スクラップ市況は1日現在、上物の2S新切、ビス無がともに6月中旬比で40円安の1キロ505円、同515円。裾物のビス付も同比35円安の同455円で推移している。争奪戦が続き、超高値圏に押し上げられていたUBCも同比38円幅で値を消し、同430‐435円の水準に沈んでいる。

2S新切り相場

アルミサッシ63(ビス無)相場

ビス付きサッシ(プレス品)相場

UBC相場
売り手市場から買い手市場に、相場の流れが一変したのは下旬に入ってからだ。「中東和平の実現を巡る思惑が交錯し、15日に合意が成立してもすぐに反応は見られなかったが、6月の最終週かけてどこにこんなにあったのというぐらい、潤沢に荷が出回りはじめた」(市場関係者)という。先安観から売り急ぎ現象が一気に市場に広がった。
背景には、流入が続く中国産のアルミ線の動向も見逃せない。「中国国内需要の低迷により、合金・軽圧などでの日本の原料需要を当て込んで、積極的に売り込まれている」といい、これで「高値掴みの在庫処理を急ぐ問屋筋の動きに拍車がかかっている」(同)。
関連記事:中国産アルミ線の国内流入という新たな動き――真相はいかに!?
スクラップの代替品として合金材料に使われる国内ベースメタルは1日現在、中旬比高値で5円下げの1キロ535‐540円の水準で比較的落ち着いた値動きとなっているが、やはり先安観が高まってきており、「来週は30円幅の下げを見込んでいる」といった需要家筋の声が聞かれる。海外原料のゾルバ(Metal97~98% CIF China)は中国の需要低迷を映して安値相場を先取りした形の展開になっており、中旬比100ドル安の1トン2,750‐2,800ドル。またロシアAK5M2も安値で220ドル、高値で260ドル安の同3,080‐3,090ドルで推移している。

国内ベースメタル相場

ゾルバ(Metal97~98% CIF China)相場

ロシアAK5M2相場
1日に発表のあった大手合金メーカーの原料買取価格は、そうした流れを受けて、上物、裾物ともにおおむね40円幅の下げとなった。先行して29日に発表のあった1社もおおむね30円幅(UBCは横ばい)で値を下げており、2社ともに30‐40円のレンジで足並みをそろえた形だ。
製品である国産ADC12も1日現在、中旬比で10円安の1キロ560‐570円の水準で推移している。「高値で仕入れたスクラップを使っているので、なんとか横ばいに押しとどめたかったが……」(二次合金メーカー)、積み上がりはじめた原料スクラップを前に、荷捌き優先の判断をしたといえそうだ。

国産ADC相場
競合品の中国産ADCは1日現在、中旬比で安値100ドル、高値で110ドルの調整が入り、1トン3,280‐3,310ドルの水準にある。1ドル=163円で換算すると、1キロおよそ550‐555円(諸掛り込み)になる。「510円換算になる輸入材もある」と指摘する声もあり、中国国内市場の低迷を受けて引き続き日本市場への安値での売り込みが続いている」(二次合金メーカー)という。輸入品に需要を食われる形で、国産ADC12 にさらに下押し圧力がかかる展開も予測される。

中国産ADC相場
他の海外産ADCでは、マレーシア産が中旬比120ドル安の3,290ドル。インド産が3,300ドルでの推移となっている。
国内アルミ合金・スクラップ市況を巡る市場関係者の目先の見方向感は下げで一致しているが、焦点はその幅であり、決め手になるLME市況への注目度が改めて高まっている。
30日も前日比55ドル安の1トン3,105.5ドルを付けており、相場の下げ基調に変化はないが、一方で低水準のLME在庫はさらに圧縮されて、同日現在30万トン割れ寸前に迫ってきている。米とイスラエルによる対イラン軍事攻撃に対する同国の報復攻撃で、中東のアルミ製錬所には被害が広がっており、供給不安を抱えたアルミ市場の構図に大きな変化はない。26日には、EU(欧州連合)がアルミスクラップの域外流出を防ぐため、輸出品に15%課税する方針を9月に公表するとのフィナンシャル・タイムズの報道もあった。
そうした合金・スクラップ相場の補強材料に加え、円安も国内相場の下支え要因として意識される中「3,000ドルの大台を割り込んでさらにLMEが下げ進む展開はない」として、一方的な下げ観測が多勢を占める中で、「8-9月にかけて国産ADCは550円が一つの節目になってくる」とする声も挙がっている。