アイルランドがアルミナを巡り物議の対象になっている。同国のアルミナがロシアの兵器向けに輸出されている現状が明らかになった。ウクライナのゼレンスキー大統領がアイルランドに調査を要請するなど、西側諸国の一員として問題視されている。(写真はウクライナ政府ホームページから)
■議長国就任祝賀で話題に
ロイター通信は7月1日、「ゼレンスキー大統領が同日、アイルランドの首都ダブリンを訪問し、アイルランドからロシアへのアルミナ輸出が武器用アルミニウム製造に使われているかどうかについて、アイルランドが迅速に調査を完了するよう促した」と伝えた。
アイルランドは同日付で欧州連合(EU)理事会議長国に就任。ゼレンスキー氏の訪問は就任祝賀のためだったが、アルミナ輸出が話題になった模様だ。
■精錬所の大株主はロシア新興財閥
焦点になっているのは、アイルランド南西部に位置するオーギニッシュ・アルミナ精錬所 (Aughinish Alumina plant)。欧州最大規模のアルミナ精錬所だが、ロシア金属大手のロシア・アルミニウム(ルサール)の子会社で、大株主はロシアのオリガルヒ(新興財閥)であるオレグ・デリパスカ氏だ。EUの対ロ制裁は、デリパスカ氏を制裁の対象にするが、香港証券取引所などにも上場するルサールは制裁の対象になっておらず、抜け穴になっている。

ferroalloynetの6月30日報道によると、オーギニッシュ精錬所は2024年4月から2025年3月の間に、54万497トンのアルミナをルサールの子会社3か所に向け出荷した。金額では3億785万ドル超相当だった。
同精錬所の出荷内容を見ると、ロシア向けの比率は2020年の23%から、ロシアによるウクライナ侵攻後の2024年には68%に急拡大した。ロシアの兵器向けにアイルランド産アルミナが使われているとの疑惑が高まっている。
■日本も他人ごとではなく
輸出制裁の抜け穴に巻き込まれるのは、日本も他人ごとではない。共同通信は6月28日、ウクライナのブラシウク大統領顧問がロシアの巡航・弾道ミサイルと無人機の機種のうち「約9割に日本企業が製造した部品が含まれている」と述べたと伝えた。民生の汎用品が第三国経由で迂回輸出され、軍事転用された疑いがあるという。