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銅市場近況フラッシュ20261024 LME銅反発、中国の現物逼迫鮮明に SHFE在庫26%減、洋山プレミアム168ドル

2026/10/24 18:08 FREE
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銅市場近況フラッシュ20261024 LME銅反発、中国の現物逼迫鮮明に SHFE在庫26%減、洋山プレミアム168ドル

要約
•    LME銅3カ月物は10月23日、前日比244.5ドル(1.7%)高の14,322.5ドル/MTと反発。現物は14,471.97ドル/MTとなり、Cash/3Mの逆ザヤは149.47ドルに拡大。
•    中国SHFE銅在庫は前週比1万9,606MT(26.5%)減の5万4,356MT。上海・江蘇地区の社会在庫も減少し、現物需給の引き締まりが鮮明。
•    洋山銅輸入プレミアムは168ドル/MTと約10年ぶりの高水準。SHFE/LME価格比率の上昇で輸入採算が改善する一方、輸入地金の供給は限られる。
•    銅精鉱TC指数はマイナス241.43ドル/dmt。原料調達難が中国製錬所の採算を圧迫し、地金供給への波及が懸念される。
•    LME銅在庫は27万3,750MTに増加。COMEX/LME裁定の変化によって米国向け地金の一部がLME倉庫に振り向けられ、米国の在庫膨張と中国の現物不足が並存。


LME銅反発、現物逆ザヤ149ドルに拡大
23日のロンドン金属取引所(LME)で銅3カ月物は前日比244.5ドル(1.7%)高の14,322.5ドル/MTと反発した。現物価格は273.30ドル高の14,471.97ドル/MTとなり、現物が3カ月物を149.47ドル上回る逆ザヤを形成した。
LME銅在庫は22日時点で27万3,750MTと前日比800MT増加。21日には2万7,675MT急増しており、2営業日で計2万8,475MT積み上がった。キャンセルワラントは5万2,900MTと総在庫の19.3%を占めた。
在庫増加の背景にはCOMEXとLMEの裁定条件の変化がある。米国の精製銅輸入関税導入観測を背景に、これまでCOMEX向けに大量の地金が輸送されてきたが、COMEX在庫の膨張によってLMEに対する価格プレミアムが縮小し、足元では期近価格が逆転。当初COMEXへの受け渡しを想定して米国に輸送された地金の一部が、LME認定倉庫へ振り向けられているとみられる。
精製銅への追加関税は現時点で見送られており、今回の在庫移動は関税回避よりも、両取引所間の価格関係の変化によるものと考えられる。Reutersによると、LME銅在庫の約62%が米国倉庫に集中しており、LME全体の在庫増加が世界的な現物需給の緩和を意味するわけではない。

中国SHFE在庫26.5%減、現物供給の逼迫が鮮明
一方、中国では現物銅の在庫減少が加速している。
上海期貨交易所(SHFE)が23日に発表した銅在庫は5万4,356MTと、前週の7万3,962MTから1万9,606MT(26.5%)減少した。週末在庫としては低水準となり、中国国内の現物供給の引き締まりを示している。
SMMによると、22日時点の上海地区社会在庫は5万1,100MTと週初比8,200MT減少し、江蘇地区も2万1,200MTと同2,000MT減少。両地区で計1万200MTの在庫が取り崩された。取引所指定倉庫だけでなく、主要消費地の流通在庫も減少しており、在庫の引き締まりは広範囲に及んでいる。
背景には、製錬所の定期補修などによる出荷減少、輸入貨物の到着遅延に加え、銅価格の調整を受けた需要家の買い戻しがあるとみられる。SMMは上海現物市場で週末にかけてプレミアムが上昇したと報じており、国内在庫の減少が現物価格に反映されている。
もっとも、在庫減少が最終需要の本格回復だけを意味するわけではない。供給側の一時的な制約や、価格下落局面での需要家の補充買いも影響していると考えられ、今後の在庫推移と実需動向を見極める必要がある。

洋山銅プレミアム168ドル、輸入採算改善でも供給不足
中国の現物逼迫をさらに鮮明にしているのが、輸入銅プレミアムの急上昇である。
SMMによると、23日の洋山銅輸入プレミアムは倉荷証券ベースで前日比10ドル高の168ドル/MTとなり、約10年ぶりの高水準に達した。船荷証券(B/L)ベースも10ドル高の153ドル/MTに上昇した。
洋山プレミアムは、中国の輸入業者がLME価格に上乗せして支払う現物調達コストを示す指標であり、その上昇は中国向けに供給可能な輸入地金の不足を反映する。
足元ではSHFE/LME価格比率の上昇によって中国向け輸入採算が改善し、現物および11月渡し契約で輸入利益が生じている。しかし、輸入業者の調達意欲が回復しても、即座に供給可能な地金は限られている。米国に大量の銅が集積していることに加え、輸送期間や既存契約などの制約もあり、中国向けの供給調整には時間を要する。
このため、輸入採算の改善が直ちに輸入プレミアムの低下につながるとは限らず、むしろ当面は調達競争を強める可能性がある。
ただし、168ドルというプレミアムには短期的な貨物不足も反映されているとみられ、今後輸入貨物の到着が増えれば、国内在庫の回復とともに上昇圧力が和らぐ余地もある。

精鉱TCはマイナス241ドル、製錬原料の逼迫続く
中国の銅市場では、地金の現物不足に加え、製錬原料である銅精鉱の調達環境も厳しい状態が続いている。
SMMの23日時点の銅精鉱TC指数はマイナス241.43ドル/dmtと大幅なマイナス圏にある。TC(製錬加工賃)は鉱山会社が製錬所に支払う加工対価であり、その低下は精鉱供給に対して製錬能力が過剰となり、製錬所側の交渉力が弱まっていることを示す。
とりわけTCが大幅なマイナスとなっている現状は、製錬所が原料確保のために極めて不利な条件を受け入れざるを得ない状況を反映している。中国では過去数年にわたる製錬能力の増強が続く一方、鉱山からの精鉱供給がこれに追いつかず、原料調達競争が激化してきた。
こうした精鉱不足は製錬所の採算を圧迫し、定期補修の延長や減産を促す要因となる。足元の地金在庫減少が短期的な物流や需要変動だけでなく、製錬原料の構造的な不足とも結び付いている可能性には注意が必要だ。
もっとも、精鉱TCの低下がそのまま精製銅の生産減少を意味するわけではない。製錬所は長期契約原料やスクラップなども利用しており、実際の生産への影響を判断するには、稼働率や精製銅生産実績の確認が必要となる。

中国の現物逼迫は一過性か、構造的な供給制約か
今回の銅市場では、米国に大量の地金在庫が積み上がる一方、中国ではSHFE在庫の急減と輸入プレミアムの上昇が進むという、地域間の需給不均衡が際立っている。
中国の現物逼迫には、輸入貨物の到着遅延や製錬所の定期補修、価格調整を受けた補充買いなど短期的な要因が重なっている。しかし、その背後には銅精鉱の供給不足と中国の製錬能力拡大という構造的な問題が存在する。
今後、輸入採算の改善を受けて中国向け地金流入が回復すれば、SHFE在庫の減少や洋山プレミアムの上昇は一服する可能性がある。一方、精鉱不足による製錬所の採算悪化が生産調整につながれば、現物需給の引き締まりが長期化する余地もある。
当面の焦点は、洋山銅輸入プレミアムの高騰が実際の輸入増加を呼び込み、中国国内の在庫回復につながるかどうかにある。 LME在庫の増加だけで世界の銅需給を判断することは難しく、SHFE在庫、輸入プレミアム、精鉱TC、製錬所稼働率を併せて検証する必要がある。
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主な出典
•    SMM、2026年10月23日:洋山銅輸入プレミアム、SHFE/LME価格比率
•    SMM、2026年10月22~23日:中国銅社会在庫、上海現物市場、銅精鉱TC
•    LME、2026年10月23日終値・22日在庫統計
•    SHFE、2026年10月23日週間在庫統計

(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)

青山 雫

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