【概況】
6月29日~7月3日のLME非鉄相場は、ドル高に押されて週前半は軟調に推移したものの、週後半は米利上げ観測の後退を受けて持ち直した。銅は13,100ドル台まで下落後、13,366.5ドルへ反発。アルミは一時3,045.5ドルまで下落し2月以来の安値を付けた後、3,090.5ドルまで回復した。ニッケルは16,200ドル近辺で下げ渋り、亜鉛と錫も買い戻しから反発した。ドル高や株安が重石となる一方、米金融政策への警戒感後退が相場を下支えする展開となった。
(為替概況)162円台から161円台前半へ反落 米利上げ観測後退でドル売り(NY外為)
6月29日~7月3日のドル円は、週前半に一時162円台後半まで上昇し約40年ぶりの円安水準を更新した。米金利高や日米金利差を背景とした円キャリー取引がドルを支えた一方、日本当局による為替介入への警戒感が上値を抑えた。週後半は6月米雇用統計が市場予想を下回り、FRBの追加利上げ観測が後退したことでドル売りが優勢となり、一時160円台後半、週末は161円台前半まで反落した。総じて、週前半は円安が国内非鉄建値を下支えしたものの、週末にかけてはドル高局面が一服する展開となった。
東京外為市場
7月3日(金)
東京TTS(基準値)
1ドル=162.27円
前週末
6月26日(金)
東京TTS(基準値)
1ドル=162.9円
に対して63銭のドル安円高に。

【LME概況】
(カッパー)13,300ドル台で下げ渋り ドル高一服で持ち直し
7月3日、3Mは13,366.5ドルが終値。前週末(6月26日)終値13,357.5ドルに対して9.0ドル高と小幅反発した。週前半はドル高や中東情勢への警戒感から一時13,103.5ドルまで下落したものの、その後は米雇用統計を受けた利上げ観測の後退から買い戻しが入り、13,400ドル近辺まで持ち直した。LME在庫は33万6,475トンから31万8,900トンへ減少した一方、COMEX在庫は66万トン台へ増加。NYプレミアムも200ドル前後から400ドル近辺へ再拡大しており、精製銅への追加関税導入観測を背景とした米国向け輸入の前倒し需要が続いていることが、引き続き銅相場の下支え要因となった。
LMEカッパー相場推移(オフィシャルUSD/T)1カ月
キャンセルワラント比率は前週37%から39%へ上昇、8週連続で需給引き締まり観測が強まった。

国内銅建値は、6月11日の2,250円から16日に40円引き上げられ2,290円となった。その後はLME銅の調整を受け、22日に2,280円、24日に2,240円へ引き下げられたが、7月1日にはLME銅の持ち直しと円安進行を背景に30円引き上げの2,270円へ改定された。しかし3日には、LME銅が1万3,300ドル台で上値の重い展開となり、米雇用統計後のドル安・円高を受けて40円引き下げの2,230円へ再調整された。建値は高値圏から一段水準を切り下げたものの、LME銅は1万3,000ドル台前半を維持し、依然として歴史的な高水準で推移している。
LMEカッパーVS国内建値推移 1カ月
(アルミ)安値圏で下げ渋り コンタンゴ継続で需給逼迫感は後退
7月3日3Mは3,090.5ドルが終値。前週末(6月26日)終値3,179.5ドルに対して89.0ドル安。週前半はドル高や中東情勢不安を受けた商品安を背景に売りが優勢となり、1日には一時3,045.5ドルまで下落し、2月19日以来の安値を付けた。その後は米利上げ観測の後退で下げ渋ったものの、戻りは限定的だった。LME在庫は30万6,725トンから29万8,775トンへ減少した一方、現先はコンタンゴが継続し、需給逼迫感は大きく後退した。
LMEアルミ(CASH/3M USD/T)1カ月
キャンセルワラント比率は前週21%から19%へ4週連続で低下、需給引き締まり観測はさらに後退した。

NSPは前週末635円から29日に636円と小幅高で始まったが、その後はLMEアルミが3,050ドル近辺まで下落したことを受けて軟調に推移し、30日に625円、7月1日に624円、2日はLMEアルミの反発を受け627円へ小幅に持ち直したものの、戻りは限定的だっで3日には再び軟化619円まで下落した。ドル円は162円前後の円安水準を維持したが、LMEアルミの軟調推移や現先コンタンゴの定着による需給逼迫感の後退が重石となり、国内価格は調整局面が続いた。
LMEアルミVS NSP推移 1カ月
(ニッケル)安値圏でもみ合い 需要低迷が重石
7月3日3Mは16,424ドルが終値。前週末(6月26日)終値16,699ドルに対して275ドル安と続落した。週前半はドル高や株安を背景に売りが優勢となり、30日には一時16,185ドルまで下落。その後は米雇用統計を受けた利上げ観測の後退から買い戻しが入り、週末は16,400ドル台を回復した。LME在庫は27万4,806トンから27万4,620トンと高水準で推移。中国需要の低迷やインドネシアでの採掘枠拡大観測が重石となる一方、供給規制への警戒感が下値を支え、相場は安値圏で一進一退の展開となった。
LMEニッケル(CASH/3M、USD/T)1カ月
キャンセルワラント比率は前週4%から4%へ横ばい、現物需給の逼迫感後退は一服。

(鉛・亜鉛・錫)
―鉛3Mは続落 2,000ドル回復はなお持ち越し
―鉛3Mは前週末(6月26日)終値1,903.5ドルに対し、7月3日終値は1,891.5ドルと12.0ドル安。週前半はドル高や非鉄市場全般の軟調地合いを受けて1日に1,865.5ドルまで下落し、その後は米利上げ観測の後退を背景に買い戻しが入ったものの、戻りは限定的だった。依然として2,000ドルを下回る水準で推移し、上値の重い展開が続いている。
LME鉛価格推移(オフィシャル,USD/T) 1カ月
在庫は前週30万直上から30万割れまで減少、4週連続でのネット流出となった(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント比率は前週6%から4%へ3週連続で下落、現物需給の逼迫感はほぼ解消。

国内鉛建値
国内鉛建値は、6月25日に381円から375円、7月1日には372円へ引き下げられた。LME鉛は一時1,865.5ドルまで下落した後も1,900ドル近辺で推移し、2,000ドル回復には至らなかった。円安は下支え要因となったものの、LME鉛安を吸収できず、国内建値も調整局面が続いた。
LME鉛(USD/T)VS国内建値(JPY/Kg)推移 1カ月
―亜鉛3Mは小幅続伸 3,500ドル近辺でもみ合い
―亜鉛3Mは前週末(6月26日)終値3,472.0ドルに対し、7月3日終値は3,541.0ドルと69.0ドル高。週前半は30日に3,551.5ドルまで上昇した後、1日に3,499.0ドルへ反落したものの、その後は買い戻しが入り、週末は再び3,500ドル台を回復した。ドル高が重石となる場面もあったが、需給引き締まり観測を背景に底堅い推移が続いた。
LME亜鉛(オフィシャル,USD/T) 1カ月
在庫は前週12万トン台から12万トン間際までへ減少、前週の大幅流入から調整流出(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント比率は前週12%から11%へ3週連続で低下し、需給引き締まり観測は後退続く。

国内亜鉛建値は、6月25日に646円から33円引き下げの613円へ改定された。その後、LME亜鉛が3,500ドル近辺まで持ち直したことに加え、ドル円が162円前後の円安水準を維持したことから、7月1日には36円引き上げの649円へ改定された。LME亜鉛は3,500ドル近辺で底堅く推移しており、国内建値も急反発して高値圏を回復する展開となった。
LME亜鉛(USD/T)VS国内建値(JPY/Kg)推移 1カ月
―錫3Mは反発 5万ドル台を回復
―錫3Mは前週末(6月26日)終値50,553ドルに対し、7月3日終値52,628ドルと2,075ドル高。週前半は50,375ドルまで軟化したものの、その後は買い戻しが優勢となり、30日に51,570ドル、3日には52,628ドルまで上昇した。米利上げ観測の後退や半導体関連株の持ち直しが支援材料となり、東南アジアの供給不透明感やAI・電子材料向け需要期待も引き続き相場を下支えした。
LME錫価格推移(セツル,USD/T) 1カ月
在庫は前週9000トン間際から8000トン台央まで減少(週初値、weeklyでの動き、以下同様)。キャンセルワラント比率は前週9%から10%に反発。

(マクロ経済・重要イベント)
【米国】
6月30日(火)
シカゴPMI(6月)
コンファレンスボード消費者信頼感指数(6月)
JOLTS求人件数(5月)
→ シカゴPMIとJOLTS求人件数は市場予想を上回り、米景気・労働市場の底堅さが意識された。ドル円は162円台半ばまで上昇し、LME非鉄にはドル高が重石となった一方、米株高を受けて銅は反発した。
7月1日(水)
ADP雇用統計(6月)
ISM製造業景況指数(6月)
→ ADP雇用統計、ISM製造業景況指数はいずれも予想を下回ったが、ドル円は162円台で高止まり。ドル高が銅・アルミの圧迫要因となり、LMEは上値の重い展開となった。
7月2日(木)
米雇用統計(6月)
新規失業保険申請件数
→ 非農業部門雇用者数は予想を大きく下回り、米利上げ観測が後退。ドル円は一時160円台まで急落し、ドル安を受けて銅・アルミは小反発した。
7月3日(金)
米国市場休場(独立記念日振替休日)
→ 米国市場休場で材料は限られたが、前日の弱い雇用統計を受けた米利上げ観測後退が残り、銅・ニッケルは続伸。一方、アルミは弱気テクニカル要因から小反落した。
総合評価
今週は、週前半に米景気の底堅さと日米金利差を背景にドル円が162円台へ上昇し、LME非鉄の重石となった。しかし週後半は弱い米雇用統計を受けて利上げ観測が後退し、ドル高が一服。LME非鉄は銅・錫を中心に買い戻しが入ったものの、アルミやニッケルはなお上値の重い展開となった。
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【中国】
6月27日(土曜日)
工業利益(5月)
• 工業利益は前年を上回ったものの、回復はAI・ハイテク関連や輸出産業に偏り、内需関連企業の改善は限定的だった。
• 不動産不況や個人消費の弱さを背景に、企業収益の回復にはなおばらつきがみられた。
6月30日(火曜日)
製造業PMI(6月、国家統計局)
非製造業PMI(6月、国家統計局)
• 製造業PMIは50.3と5月の50.0から改善し、拡大局面へ回復。
• 非製造業PMIも50.2と前月(50.1)を上回り、サービス業・建設業とも緩やかな拡大を維持した。
• AI関連製品や対米輸出の前倒し需要が製造業を支えた一方、内需の回復力はなお弱かった。
7月1日(水曜日)
製造業PMI(6月、RatingDog)
• 民間PMIも50超を維持し、輸出関連企業を中心に改善が続いた。
• ただし、新規輸出受注や企業マインドには慎重さが残り、回復の裾野は限定的だった。
7月3日(金曜日)
サービス業PMI(6月、RatingDog)
• サービス業PMIは54台と拡大基調を維持したが、新規受注の伸びはやや鈍化。
• 一方、海外需要は約20カ月ぶりの高い伸びとなり、サービス業も外需が支える構図となった。
総合評価
中国経済は「輸出・AI関連製造業が景気を支える一方、内需と不動産はなお低迷」という構図に大きな変化はなかった。公式PMIは景況感の改善を示したものの、その主因はAI関連製品や米国向け輸出の増加であり、小売や不動産を中心とする国内需要の弱さは依然として残る。非鉄市場にとっては、銅やアルミ需要を支える製造業の底堅さが確認された一方、本格的な需要回復にはなお時間を要するとみられる。
(マクロ経済イベント)
【米国】
7月6日(月曜日)
• ISM非製造業景況指数(6月)
7月7日(火曜日)
• 貿易収支(5月)
7月8日(水曜日)
• FOMC議事録(6月16~17日開催分)
• 消費者信用残高(5月)
7月9日(木曜日)
• 新規失業保険申請件数
• 中古住宅販売成約指数(6月)
→ 米国では、ISM非製造業景況指数(7月6日)とFOMC議事録(7月8日)が最大の注目材料となる。前週公表の6月雇用統計では雇用の伸びが市場予想を下回り、FRBの追加利上げ観測はやや後退した。一方でドル円は依然160円台後半から161円台で推移しており、市場はFRBの金融政策スタンスを慎重に見極めている。
ISM非製造業景況指数が堅調な結果となれば、米景気の底堅さが再確認され、ドル高・米金利上昇を通じてLME非鉄相場には重石となる可能性がある。一方、FOMC議事録でインフレ警戒姿勢の後退や利下げに前向きな議論が確認されれば、ドル安を通じて銅やアルミなど非鉄相場の支援材料となりそうだ。
全体として今週は、「FOMC議事録」と「中国6月CPI・PPI」がLME非鉄相場の方向性を左右する最大の注目材料となる。
【中国】
7月9日(木曜日)
消費者物価指数(CPI、6月)
生産者物価指数(PPI、6月)
7月10日(金曜日)(公表日が前後する可能性あり)
新規人民元建て融資(6月)
社会融資総量(TSF、6月)
マネーサプライ(M2、6月)
→ 中国では、6月のCPI・PPI(7月9日)が最大の注目材料となる。前週公表のPMIでは、製造業・非製造業ともに景況感の改善が確認されたものの、その主因はAI関連や輸出産業の底堅さであり、不動産や個人消費を中心とする内需は依然として力強さを欠いている。
PPIが市場予想を上回れば、非鉄金属や電子部材など川上産業の価格転嫁が進み、企業収益改善への期待から銅・アルミ・亜鉛相場の支援材料となる可能性がある。一方、CPIが引き続き低い伸びにとどまれば、内需回復の遅れが改めて意識され、需要見通しの重石となりやすい。金融統計では、新規融資や社会融資総量の回復が確認されれば、設備投資やインフラ投資の持ち直し期待につながる点にも注目が集まる。
全体として今週は、「中国の物価動向」と「信用・資金需要の回復度合い」が、非鉄金属需要を占う重要な手掛かりとなりそうだ。
(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)
本記事は執筆者個人の分析および見解であり、IRuniverseの公式見解を示すものではありません。内容は情報提供を目的としたもので、投資判断の根拠として用いることを意
図したものではありません。