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自動車や航空宇宙分野を第二、第三の柱に—白銅の山田専務に聞く

2026/07/16 13:50
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非鉄金属やプラスチック材料などの専門商社として、半導体分野を支える白銅(東京都千代田区)は、中期経営計画において「事業領域の拡大」を重点戦略の一つに掲げ、主力の半導体分野に続く成長の柱を構築しようとしている。現在の主力領域のほか、第二・第三の柱とすべく注力している自動車や航空・宇宙分野の現状や今後の戦略を専務取締役CFOの山田光重氏に尋ねた。

 

 

――現状の主力である半導体分野の今後の戦略は

当社の売上構成において、半導体およびFPD製造装置業界向けは極めて大きな比率を占めている。国内の業界別売上構成比で見ると4割を超えており、間接的な関連需要も含めれば実質的には売上の半分近くが半導体に関連している。我々が提供しているのは半導体そのものの材料ではなく、半導体を作るための製造装置に使用される組み立て部品や部材の元となる素材だ。具体的にはアルミニウムやステンレスがメインであり、これらを真空チャンバーや各種部品の素材として供給している。

現状の市場環境については、生成AI向けのチップ需要が急激に増大していることが追い風となっている。特にハイバンドメモリなどの需要拡大に伴い、デバイスメーカーは増産のために製造装置を増やさざるを得ない状況にある。また、回路の微細化という技術革新も大きな要因だ。数ナノメートル単位での微細化が進む中で、世代交代のために新しい製造装置が必要となり、その都度新たな材料需要が発生する状況になっている。2026年3月期の後半からは、こうした生成AIやデータセンター関連の需要を背景に、半導体製造装置業界向けの売上高構成比率は上昇傾向にある。

今後の戦略としては、この強固な顧客基盤をさらに深化させていく。具体的には、販売先を専門部署に集約することで業界特有のナレッジを蓄積する仕組みを構築している。一方で、半導体業界は景気変動や在庫調整による需要の波が非常に激しいという側面がある。この「半導体一本打法」の状態は、事業継続におけるリスクとしても認識している。そのため、半導体分野での優位性を維持しつつも、他の成長領域を伸ばすことで、売上構成のバランスをより安定的なものへとシフトさせていくことが当社の理想である。

 

――自動車分野については

自動車分野については、正直に申し上げて非常に難易度が高い領域であると認識している。その理由は、半導体製造装置業界などと比較して、製品のライフサイクルが極めて長い点にある。最近ではモデルチェンジのサイクルが7年から8年、あるいはそれ以上に長期化する傾向にあり、サプライヤーとして食い込むためには、新車開発が始まる5年以上前からアプローチを続けなければならない。途中から「当社の材料を使ってほしい」と提案しても、参入障壁は非常に高いのが実情だ。

また、自動車メーカーからのコストダウン要求は厳しいものがある。量産品である以上、毎年数パーセントずつの価格低減を求められるのが一般的だが、昨今の人件費や光熱費の高騰など、製造コストが上昇するインフレ環境下において、こうした要求に応えながら利益を出していくことは容易ではない。

こうした状況を打破する大きなチャンスが、現在進行している電気自動車(EV)へのシフトだ。EV化によって自動車のサプライチェーン構造は劇的な変化を迎えている。ガソリンエンジンが廃止され、代わりに巨大なバッテリーやモーターが搭載されることで、車自体の構造や必要な部材が大きく変わるのだ。例えば、バッテリーから発生する熱を逃がすための冷却用放熱板など、アルミニウムが活躍する場面はこれまで以上に増えていく。

当社の今後の戦略は、このEV化という「リセット」のタイミングを最大限に活用することだ。従来のがっちりと固まった商流に割って入るのではなく、新しい構造の車に対して、当社の強みである金属3Dプリンター造形サービスなどをフックに新規顧客を獲得していく。そこから他の商材の拡販へと繋げ、自動車分野を第二、第三の柱へと育てていく方針だ。

 

民需と官需でともに手応え

航空・宇宙分野は、現在好調に推移しており、手応えを感じている領域だ。この分野は大きく分けて「民需(民間航空機)」と「官需(防衛)」の二つの側面がある。まず民間航空機の分野においては、世界的な航空機需要の回復に加え、機体の世代交代が進んでいる。かつての超大型旅客機から、より効率的なワイドボディ機などへのシフトが進む中で、新たな部材需要が発生している。当社が供給するのは翼や胴体といった主構造材よりも、むしろシートやギャレー(厨房設備)などで使われる内装部品の部材が多い。これらには航空機規格という極めて高い性能が求められるため、当社の高性能アルミニウムが強みを発揮できる。

一方、官需としての防衛関連も安定的に伸びている。現在の緊迫した地政学情勢を背景に、日本政府も防衛力の強化へと舵を切っている。その中でも特にミサイルなどの飛翔体関連の部材需要が増加しており、当社の売上にも寄与している。防衛関連は機密情報が多く詳細は明かせないが、今後も安定的かつ継続的な成長が見込まれる分野であると考えている。

今後の戦略の一つとして、材料仕入体制のさらなる強化を図る考えだ。米国のWCAS社(West Coast Aluminum & Stainless)との連携を深め、海外メーカー製の航空宇宙規格材料の輸入機能を強化していきたい。2026年3月期には、航空・宇宙業界向けの売上高が増加し、全体の増収に貢献した。航空宇宙分野は、半導体ほど急激な成長曲線を描くわけではないが、一度採用されれば長期にわたる安定的な需要が見込める。これを着実に伸ばしていくことで、事業ポートフォリオの安定性を高めていく。

 

――ホルムズショックの影響は

ホルムズショックが当社に与える影響については、現在のところ致命的な混乱には至っていないものの、一部の副資材で影響が出ている。具体的に最も苦慮しているのは、アルミニウム板などの表面を保護するためのフィルム不足だ。このフィルムはポリエチレンや塩化ビニールなどの石化製品から作られるが、原材料となるナフサの供給不安により確保が難しくなっている。当社では、代替となる海外ルートを開拓したり、表面切削して使用することが多い厚板については片面貼付に切り替えたりするなど、現場での工夫を凝らして出荷を継続している。今のところ、これが理由で入荷や出荷が完全に止まるといった事態は免れている。

また、工場の切断機や加工機を動かすため油類については、入荷が不安定になる兆しがあったが、現在はストックの確保や手配により、機械の稼働に影響は出ていない。原材料であるアルミニウム地金についても、日本に輸入されるインゴットの約2割弱が中東産と言われているが、国内でのリサイクル体制も整っているため、すぐに生産が止まるような状況ではないと見ている。

Kota Kuribara

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