NPC 26/8Q3累計業績は大幅減収減益も想定内、Q4にPVメーカ向けに出荷予定で26/8期予想を変更せず13.6%減収、60.4%営業利益減予想、27/6期以降ペロブスカイト向けなども加わり収益急回復見通し
エヌ・ピー・シー(6255) 26/8Q3決算メモ ポジティブからニュートラルに引き下げ
26/8期PSC売上寄与も低採算、FS向け低調で13.6%減収60.4%営利減予想、受注は回復
株価円(7/17)636円 時価総額140億円 発行済株22052千株
PER(26/8期DO予:27.0X)PBR(1.31X) 配当(26/8期予)10円 配当利回り:1.6%
要約

26/8Q3累計は53.8%減収、94.1%営利減ながらも会社想定上回る進捗
7/10に26/8Q3決算が開示、説明会、補足資料の開示はなく、7/16にNPC通信にて補足説明文が届いた。26/8Q3は売上高7.35億円(同期比19.2%減)、営業利益0.32億円(同3.2倍)となった。また26/8Q3累計では売上高18.59億円(53.8%減)、営業利益0.39億円(94.1%減)と、大幅減収減益に。ただし元々、FS向け改造、部品以外の売上は少ない計画で、部品調達が想定より上回り、想定より売上は若干上回って推移もほぼ計画線で推移したとのこと。利益面ではQ3が好採算案件の売上、さらに移設作業など好採算売上が加わり、社内計画を上振れたとのこと。

セグメント別ではPV装置がQ3で4.66億円(14.8%増)、Q3累計8.17億円(63.3%減)。海外はFS向け改造、部品以外は少なく、Q4に集中して装置が出荷予定。国内はペロブスカイト用、開発装置中心に売上があった。PVパネル解体装置はQ3累計2.94億円(35.5%増)、フレーム・J-BOX分離装置が国内3台、海外1台、ガラス分離装置で国内2台、海外1台の売上などが寄与した。部品Q3累計は4.17億円(23.8%減)も、想定を上回って推移しているとのこと。

受注はQ3が7.75億円(同期比85.1%減)、Q3累計で43.49億円(16.2%減)となっている。一部に客先のスケジュールの関係で遅れがある模様で、受注環境は良好としている。
26/8期ペロブスカイト売上寄与も低採算、FS向けも低調で13.6%減収60.4%営利減予想
26/8期会社予想に変更はなく、売上高80.14億円(13.6%減)、総利益19.52億円(37.1%減)、営業利益7.60億円(60.4%減)予想を据え置いた。

会社側ではQ4に国内向け大型案件の計上を見込み、その他も計画通りに推移するとしている。国内案件については大部分の装置を松山工場から出荷済みで、客先で据付・セットアップ対応が進んでいるとのこと。検収も完了できる見通しで、計画通りの売上計上となるとのこと。FS向けについても計画通りで、部品、改修工事などは計画を上回っているとのことで、利益については上振れ要因となる。
受注面では26/8Q3累計でも43.49億円(16.2%減)にとどまっている。しかし、受注環境が悪化しているわけではないとのこと。例えばペロブスカイト(以下PSC)、衛星用PV向け製造装置などがあり、PVパネルリサイクル装置も客先のスケジュールの関係で成約が遅れているとのこと。受注予想は開示していないが、26/8期はさすがに前期比減少も、27/8期に大きく受注拡大となる模様。
トランプ政策は自国主義で結果追い風、高市政権PSC強化で27/8期以降収益上伸期待
同社はトランプ政権の再エネ政策が不透明として、27/8期に売上高130億円、営業利益26億円の中計計画を一旦白紙とした。
まず米国のPVの市場環境であるが、電力需要の加速で、設置期間の短いPVの需要も堅調に推移している。具体的にトランプ政権下では、バイデン前政権の「脱炭素・クリーンエネルギー最優先」から、「エネルギー支配」「低価格・安定供給」へ明確に舵を切っている。特にAIデータセンターの急増による爆発的な電力需要に対応するため、「質と量」の両面から電源を確保する方針。これらを背景に、各電源の政策的なプライオリティを推測すると、LNG火力 が最優先・即戦力、次いで原子力 が小型モジュール炉、次世代核融合なども含め中長期の本命、次いで石炭火力は維持・延命で当面更新需要が旺盛、最後に再生可能エネルギーは抑制・選別というイメージとなる。現状、再エネは2025年7月に成立した法律などにより、インフレ抑制法に基づく再エネ新設への減税措置の適用期間の大幅縮小がなされた。特に「洋上風力」は、開発の停止や撤回措置など例外的な強いブレーキがかけられている。これに対し、陸上風力や太陽光はすでにコスト競争力があるため、政策的な追い風は完全に消滅したものの、共和党地盤の州(テキサス州など)では再エネ産業が雇用を生んでいるため、「補助金を絞って市場競争に任せる」という選別姿勢となっている。

ただし政権の政治的な序列と、実際に増える発電設備の序列は一致していない。具体的には、天然ガスの推進を実行するものの、2025年では「太陽光+蓄電池」の組み合わせにより新規グリッド追加の85%がこの組み合わせでなされている。これはPVが最もコスト効率が高く、かつ許認可から稼働までのリードタイムが12〜24ヶ月と短いため。EIAによれば2026年の新設計画86GWのうち、太陽光が43.4GW(構成比50%)、蓄電池が24GW(同28%)、風力が約12GW(同14%)を占めると予想しており、2026年も「太陽光+蓄電池」で78%を占めることとなる。これは政権が冷遇しても既に開発中の案件と経済合理性によって、当面の容量増加では再エネが最大となることを示している。今後の予測では、データセンタの需要に応えるため、2030年までに太陽光は米国データセンタの必要電力量において、追加発電容量の約25%(12GW)を担うと予測されている。しかも太陽光発電について、海外からの流入には結晶シリコンセル・モジュールに対し極めて高い関税を課している。これに対しFSは、製造するCdTe薄膜モジュールは材料が異なるため、シリコン関税から免除されている。中国メーカーが排除されるだけでなく、米国メーカーでもシリコン系は関税コストからコスト高がダメージとなるため、関税を回避できる国内製造のFS薄膜製品が市場での地位が急速に高まろう。さらにSection 45X税制優遇などの支援策により、米国国内での製造が推進され、結果としてFSは最大メリットを享受できる立場にある。
FSは2025年11月にルイジアナ工場の稼働を開始し、26年末までにサウスカロライナ工場なども装置改造で能力をアップさせ、米国国内の製造容量を14GW以上に拡大する計画。2026年の設備投資額は8~10億ドルと大型設備の完成で2025年比減少となる見通しも、このような環境下でFSのCdTePV追加投資の拡大が期待される。
同社はFSに対しCdTe薄膜モジュール用ライン向け(後工程)で、ガラス/EVA/バックシート供給以外にも各種製造装置を納入、また検査工程でもラミネート前/後レーザー検査、耐電圧試験などを納入している。薄膜対応ではCd管理などで差別化できているとみられ、改めて同社の主力事業として拡大が見込める。

FSの次世代技術(PSCについては)は前倒しで実用化の方向にある。FSは圧倒的なシェアを持つCdTe薄膜太陽電池にPSCを積層する独自のタンデム型を主軸に据えている。具体的には異なる光の波長を吸収するCdTeとPSCを組み合わせ、従来の単一接合の限界を大きく超えるエネルギー変換効率(目標25%以上)を目指している。技術の中核は「PV Power Booster」と呼ばれるPSC蒸着技術。ペロブスカイト層を既存シリコンまたはCIGS生産ラインに統合させ、セル出力を最小限のコスト追加で25%向上させることが可能とされている。なおFSは自社開発だけでなく、2026年5月に薄膜太陽電池の蒸着技術やタンデムセルの量産製造装置開発に強みを持つ欧州Evolarの買収を行った。また2026年2月にはPSCの商業化で世界をリードする英国のOxford PVと、米国市場における非独占的な特許ライセンス契約を締結した。これにより、FSは自社の薄膜デバイス開発において、Oxford PVが持つ広範なPSC関連特許が利用可能となり、知財面でのハードルがなくなった。現在、PSCを含む次世代薄膜技術の研究開発に累計20億ドル以上を投じている。オハイオ州Perrysburgの「Jim Nolan Center for Solar Innovation」をPSC技術開発の中核的拠点とし、単接合および2接合(タンデム)薄膜モジュール開発を支援する前スケールパイロットラインを装備している。同センター内にPSC開発専用ラインが設置され、同社はこの開発ライン向けに従来の事業領域である後工程装置の納入を行い、売上実績となっている。今後、FSは初期商用化(2026-2027年)を目指し、2027年に27%効率モジュールの量産開始、その後、全薄膜タンデム(all-perovskite tandem)の生産を開始し、30%以上効率製品の商用供給を行う予定。このため、FSのPSC向け売上も加速的な拡大が期待される。
同社はPSCP取組について、国内でも本格的な取り組みを行っている。薄膜CdTe製造で培った実績、さらにFS向けの納入実績が評価され、国内向けで25/8Q3に後工程での国内大型受注を獲得(時期的には積水化学向けの可能性)、その他数社にも実証のための装置を納入している。この背景には、「First Solar向けCdTe薄膜PVで鍛えた“薄膜量産”のノウハウ」+「Cd(カドミ)対応のEHS実務がPb(鉛)管理に転用できる」があるとみられる。薄膜系で培った製造装置の実績が強みで、電極形成・シート積層・貼り合せ等が活用できる点が示されている。PSCでは、「薄膜の歩留まりを落とさない“搬送・貼合・封止”」が量産化の鍵となる。日本企業の多くが目指すフィルム型PSCは、軽量・フレキシブルである一方、量産で薄膜が傷つく/シワ/伸びや微小欠陥(ピンホール、粒子、ムラ)が致命傷となる。これは封止(バリア)が弱くなり、寿命が一気に落ちる点が指摘されている。ここで同社が強みとして挙げる「シート積層」「貼り合せ(ラミネーション)」系の量産ノウハウが活きることになる。また薄膜PV量産では、電極形成工程でスループット×均一性×欠陥の向上が求められている。具体的に透明電極(TCO等)の形成にあたり、金属電極の成膜・接合、パターン形成(モジュール直列化のためのスクライブ類)、低温プロセスでの密着/抵抗/ばらつきについて、速度と歩留まりを両立させる必要がある。ここでも同社のFS向けCdTeでの実績が大きな優位点となる。
また「Cd(カドミ)対応のEHS実務がPb(鉛)管理に転用できる」も重要。PSCは現状鉛系(Pb)が主流で、EHS運用(環境 、健康、安全 の3つの要素を統合的に管理し、企業の持続可能な事業活動とリスク低減を実現する仕組み)が求められている。鉛の拡散・飛散を前提にした装置設計(密閉、洗浄性、回収)、廃液・フィルター・清掃廃材を“鉛含有物”として扱う運用設計点検・保全時に汚染を広げないメンテ手順まで含めた“パッケージ力”が求められる。この点で、同社はCdTeにおいてカドミウム化合物を扱ってきたため、ノウハウの蓄積がある。PSCについてCdTeと同様な取扱となる見通しで、同社は仕様書に落として現場運用まで含めて提案できる点も差別化要因と言える。
現在、経産省が2040年までに国内に20GW程度の導入を目指す計画を公表、高市政権でも再生可能エネルギーに関し、「中国製シリコン太陽電池への依存低減」「国産エネルギー・経済安全保障」「メガソーラーから屋根・壁・インフラへの転換」と結び付け、予算を拡充して実装段階へ進めている。量産工場への巨額補助(導入費の最大4分の3補助)、官公庁・自治体による初期需要の創出、国内20GWを見据えた市場形成という「供給・需要両面支援」を実行する。具体的には、環境省の「PSCの社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」が始まり、25年度の50.2億円に次いで26年度は70億円(39%増)が予算化されている。量産工場への補助では積水化学に約450億円規模(900億円総投資額の50%)が投じられるとみられる。この支援はセルメーカーだけでなく、ヨウ素などの原材料、封止材、樹脂フィルム、電極材、レーザー加工装置、塗工・乾燥・検査装置など、国内サプライチェーン全体を対象としている。またNEDOのグリーンイノベーション基金「次世代型太陽電池の開発」は、予算上限が1,051億円と巨額な額となっている。
種類別×企業別マトリクス

出所:各社開示・報道・NEDO/経産省資料よりアナリスト作成
同社は従来の後工程に加え、前工程で装置単価が高く、市場規模が大きい前工程の装置も手掛けていく。具体的には成膜工程の塗布装置を提供する。この対応として、2025年9月に韓国のGosanTech(高性能なインクジェット技術を有し、サムスン電子やLG電子にFPD製造用塗布装置やPSC向け塗布装置を提供)と業務提携を発表、米国、日本メーカー向けにインクジェット塗布装置を供給していく。特に米国向けではFS向けにPSC前工程で上部セルのインクジェット塗布向けにQ1で早くも受注を獲得、27/8期には納入できる見通しとしている。


太陽光パネルリサイクル装置については、市場が内外で拡大中であり、今後、大きな柱となる期待をもっている。国内では、既存制度として廃棄物処理法があり、事業用設備から撤去されたパネルは、原則として産業廃棄物として処理されている。ただし廃棄物処理法は適正処理を求める法律であり、リサイクル自体を一律に義務付けるものではなかった。また10kW以上のFIT・FIP認定太陽光発電については、原則として売電収入から廃棄等費用を外部積立てする再エネ特措法の廃棄等費用積立制度もある。ただしこれもパネル・架台等の解体、撤去、収集運搬、廃棄物処理の費用を確保する制度であり、リサイクルを必ず選択させる制度ではなかった。これに対し2026年1月に環境省と経産省により、太陽光パネルのリサイクルの新制度が発表された。具体的に6月5日には「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が公布されている。成立した法律では、対象の中心が大量に廃棄する事業用設備から計画管理された発電事業など、収益事業に使用された「事業用太陽電池」となる。国が認定したリサイクル事業計画について、廃棄物処理法上の許可手続きを一部簡素化、従来は、都道府県をまたいで回収・処理する場合、それぞれの地域で産業廃棄物処理業の許可が必要になることが処理網構築の障害だったが、新法では、国の認定を受けた事業者が広域的に収集・運搬・処分を行いやすくなっている。これにより、大手の処理業者が効率よく再処理できる体制が進むとみられる。現時点は本格施行前だが、遅くとも2027年12月5日までに、多量廃棄の重量基準、リサイクル率や再資源化方法を含む判断基準、ガラス、アルミ、銀、銅、シリコンの回収基準、リサイクル費用への補助制度、施行日が政令・省令で決まる。この中では、特に低単価で重量比70%を占めるパネルのガラスのリサイクルがどう扱われるかも注目点。PV(主にc-Si)のリサイクルで課題になっている点は、現状、収益の“柱”がアルミ枠・銅・銀などの高価金属で、ガラスは低単価で重量比70%を占め、運搬・前処理コストが高く、政策や規制スキームの有無で採算が左右される点。しかもガラスとセル/バックシートを“きれいに”剥がす工程(脱ラミ:EVA/POEの分離)が難問で、ここがLCA(ライフサイクルアセスメント)・エネルギー・品質に直結している。ガラスを高付加価値で再利用するには混入物や有機残渣の少なさが必須で、粗い破砕では“ダウンサイクル”になる課題がある。現在、モジュールに対し、有機封止材を熱的に分解・気化させる熱分解法の採用が多い。これはEVAを完全に分解除去し、回収されるガラス表面に残留物がほとんど残らず、高純度が確保され、ガラスは骨材ではなく、ガラス原料としての再利用の可能性が高まる点にある。また、セル層に残されたシリコンウェハや貴金属(銀)もEVA残渣のない状態で回収され、その後の精錬処理や化学処理工程における純度確保が容易になるとしていた。しかし一方では、工程エネルギーと排ガス処理が問題となっていた。これに対しガラス分離という難題工程の環境負荷を低減できる手段とし、AGC、セントラル硝子が同社のホットナイフ法を用いて分離したカバーガラスの水平リサイクルを実現した。具体例として7/7にはセントラル硝子プロダクツが、使用済み太陽光パネルのカバーガラス約16tを原料の一部に活用、網入り磨き板ガラスと型板ガラスの試験生産に成功し、6月よりこのカバーガラスを用いた継続的な水平リサイクルを開始したとのアナウンスがあった。なお同社は割れガラスPVパネル用リサイクル装置の提供も2026年4月より始めている。具体的には災害や運搬中に破損したPVパネルに対し、ガラスを掻き取ることでガラスとセルシートを分離する装置。この投入により、同社のPVパネルリサイクル装置の製品ラインナップが4種類となり、ガラスの損傷の有無によらず処理が可能となった。いずれにしても、リサイクルの義務化で高いリサイクル率を誇るリサイクル装置を販売する同社には大きなビジネスチャンスとなる。

このように、パネル製造装置、パネルリサイクル装置の継続的な拡大が続く環境がと整いつつある。同社78/8期中計計画達成は難しいものの、2年遅れでの達成に期待が高まる。

株価は26/8期業績の低迷予想を反映しさえない動きで終始している。7/10の26/8Q3累計での進捗率が低く、累計受注もさえなかったことから続落、7/17には620円の年初来安値更新となっている。現在、26/8期会社予想EPS24.59円に対しPER25.9倍は、スタンダード機械PER18.7倍に対し割高な状況にある。基本的に同社収益、受注はFS頼みの点は変わりがない。トランプ政権で再エネ政策が後退するものの、自国主義のもとでFSにとっては必ずしもマイナスに働くわけではなく、中国メーカー排除で有利に作用している。またAIデータセンタ向けの電力供給設備投資が膨れ上がる見通しで、FSにも追い風が吹く可能性がある。さらにFSを含めPSCの拡大が内外でプラス要素となる。PVリサイクルにおいては法規制の整備から解体関連製品の拡大も期待される。収益拡大は基本的にFS頼みではあるが、27/8期以降に収益上伸が期待される。会社側では7/16発行のNPC通信で26/8Q3累計を計画に対し利益は若干上振れしていると説明しているが、トランプ政権の政策不透明などの不安材料がある。現状、白紙とした27/8期中計予想の達成が難しいと判断、2年程度の達成の遅れとなろう。悪材料は織り込んだとみられるが、新安値更新ながらPERに割高感があり、ポジティブからニュートラルに評価を引き下げたい。



(図表は25/8H1会社説明会、25/8Q3短信、NPC通信などから添付、チャートはヤフーから添付)
*表は26/8H1決算説明会資料から添付、もしくは各種資料から加工、チャートはヤフーから添付