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クマ対策から塗装の下地処理まで—用途広がる東洋製罐のドローン用噴射装置

2026/07/21 23:10
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クマ対策から塗装の下地処理まで—用途広がる東洋製罐のドローン用噴射装置

東洋製罐は東京ビッグサイトで15~17日にかけて開催された「第12回国際ドローン展」に出展した。同社が今春に新発売したドローン用遠隔型スプレー缶噴射装置「SABOT-3 Block2」やクマよけスプレー缶搭載オプション「鉞(マサカリ)」を展示。実機展示や噴射デモを通じて、製缶会社ならではの強みを生かしたドローンの新たな活用方法を提案した。2025年9月にMIRUが旧型機を取材した時から、多くの実証や試行錯誤を重ねたこともあり、現場のニーズにさらに寄り添った進化が伺えた。

 

【参考記事】

ビジネスチャンスは空に――東洋製罐が挑むドローン搭載スプレー缶噴射装置

 

同製品の特長はなんといってもスプレー缶に充填する内容物のラインナップの豊富さだろう。東洋製罐の技術力により、事業者のあらゆるニーズに対応している。展示会では、前記事で触れた黒錆転換材やシリコーンコーティング塗料、鳥忌避剤、マーキング剤に加え、吸水防止層を形成して水の侵入を防ぐ「コンクリート表面浸潤剤」や、塗布部に柔軟性の高い樹脂被膜を形成する「タッチアップ塗料」なども紹介された。

 

 

また、スプレー缶の搭載本数を増やせる補助噴射装置「増槽(ぞうそう)」も商用利用という観点ではかなり魅力的なオプション品だ。SABOT本体を合わせて5本のスプレー缶を同時使用することができるため、作業箇所が多いケースや目的地がた多い場所などにおいて離着陸の回数を減らし、作業効率を大幅に向上することが可能となる。

もちろん、現在も用途拡大を目指し、複数のアイテムの開発を進めている。昨今、都市部でも被害が拡大しているクマ対策として開発中の「鉞」は市販のクマよけスプレーを搭載するための装置で、安全な操作位置からの追い払いを実現する。ドローンで刷毛・ローラ塗りを行うための多目的伸縮装置も、早い段階での実装が期待されている。

 

剥離除去技術を応用

 

 

さらには、花王の剥離除去技術を活かした内容物も開発中とのことだ。同技術は対象表面に専用剤を塗布して乾燥させるだけで形成された塗膜が自動的に剥がれ、汚れや劣化層を包み込んで除去するもの。塗装工事や建築リフォームにおいて、塗料を塗る前に行う下地処理(ケレン作業)を行う手段として研究や実証が行われている。評価試験では鋼板表面の錆びやステンレス板上の水性塗料、コンクリート表面などに対して高い除去作業が確認されているという。ドローンに装着したアームなどでの処理作業はかねてより模索されていたが、スプレーで噴射するだけというアプローチは、操作が容易という点から見ても画期的なアプローチといえる。

製缶企業としての技術力を詰め込んだ専用スプレー缶はスプレー缶の姿勢や角度に制約がないほか、安全性も高い。噴射剤が窒素ガスであり不燃性であることや、二重構造であるため穿孔が生じても内容物(化学品)が漏れないなどのメリットがあり、汎用性に優れているといえる。「ラインアップにない内容物についても充填可否を含めて相談に応じる」(ブース担当者)とのことだ。

 

風の影響による噴射液の“流れ”を考慮

なお、「SABOT-3 Block2」は現場での実用性を高めるため、2025年に発売された新型ドローン「DJI Matrice 400」への対応をはじめとしたソフトウェア機能の大幅な改良を実施。ハード面においても全体的な使い勝手を向上させている。

各噴射溶液を入れるパウチを缶内に配置し、周囲に窒素ガスを充てんした専用スプレー缶により、噴射時の勢いを高め、ピンポイントの噴射を実現したことは前記事でも紹介したが、作業性向上のためのこだわりはそれだけではない。内容物の噴射軌道データを用いて、液の到達位置と飛散量を予測して操縦者の手元の画面上に表示。さらに高精度の噴射が可能となる。また、機体が受けている風の方向を推定し、液が流れる方向も画面上に示し、操作ミスを可能な限り低減する工夫がされている。加えて、セーフティ機能も充実しており、意図しない噴射を防ぐための二段階スイッチ機構のほか、機体の速度や姿勢が不安定な状態での噴射や空打ちを防止する機能も実装している。

Kota Kuribara

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