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【貿易統計/日本】 2026年5月のモリブデン輸入推移統計
特殊鋼需給統計/時系列:一般社団法人日本鉄鋼連盟 (jisf.or.jp)
為替相場推移 TTS 3か月
(三酸化モリブデン輸入)
■数量面では、
5月単月は1,942トンと、4月(3,083トン)から前月比63%へ大幅減少し、前年同月比でも87%と前年を下回った。主力のチリ品は1,034トン(前月比47%)と大きく減少し、全体の落ち込みを主導した。一方、米国品は469トン(同166%)へ回復し、メキシコ品は160トン(同73%)となった。「その他」は279トン(前月比70%)となった。この内訳は、韓国60トン、ベトナム60トン、タイ60トン、台湾59トン、中国40トンで構成され、特定国への偏重ではなく、アジア各国からの分散調達が続いたことが特徴である。
1~5月累計は1万2,541トンと前年同期比102%で前年並みを維持。チリが引き続き最大供給国である一方、米国や韓国など補完的な供給源も一定の役割を果たしている。
総じて5月は、チリからの輸入減少を背景に数量が反落したものの、累計では前年並みの水準を維持した。供給構造は依然としてチリ中心ながら、北米やアジアからの補完調達を組み合わせる多元的な調達体制が続いている。(表―1、グラフ―1)。


■数量構成では、5月は米国が9%→24%へ大幅上昇し、メキシコも7%→8%へ小幅上昇した。一方、主力のチリは71%→53%へ低下し、依然最大供給国ではあるものの構成比は大きく縮小した。「その他」は13%→14%とほぼ横ばいで推移した。結果として、主要3国(米国・メキシコ・チリ)の合計シェアは87%→85%へやや低下し、チリ依存は続きながらも供給構造はやや分散化する動きがみられた。(グラフ―2)。

■金額面では、5月単月は108億21百万円と、4月(164億43百万円)から前月比66%へ大幅に減少した。ただし、前年同月比では128%と前年水準を上回った。主力のチリは57億8百万円(前月比50%、前年同月比113%)と半減し、全体の減少を主導した。
国別では、米国が26億28百万円(前月比168%、前年同月比143%)へ大きく増加した一方、メキシコは9億円(同74%、前年同月比161%)へ減少した。「その他」も15億85百万円(同70%、前年同月比160%)と前月から縮小した。
1~5月累計は626億71百万円と前年同期比124%。金額面では引き続きチリが中核を担っているものの、5月はチリの寄与が大きく低下し、米国の増加が一部を補う構図となった。累計では主要各地域が前年を上回っており、とくに「その他」と米国の伸びが目立っている。(表―2、グラフ―3)。


■輸入CIF単価(JPY/kg)は、5月は5,572円/kgと4月の5,333円/kgから上昇し、前月比105%となった。5月は為替がやや円高へ振れたものの、国際モリブデン価格の高止まりを背景に円建て輸入価格は一段と切り上がった。
国別では、米国品が5,556円→5,604円/kg、メキシコ品が5,554円→5,622円/kg、主力のチリ品も5,219円→5,520円/kgと主要調達先がそろって上昇し、全体平均を押し上げた。
この結果、5月は円高が価格上昇を一部抑制したものの、国際モリブデン市況の強さがそれを上回り、主要供給国の単価は高値圏を維持した。輸入CIF価格は5,500円台へ上昇し、依然として歴史的な高水準にあると整理できる。(グラフ―4)。

主要税関別数量・CIF(JPY/KG)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・CIF(JPY/KG)実績 ( )内は前月実績
■今後の展望
モリブデン市場は世界生産・消費とも緩やかな増加基調を維持しているものの、需給は概ね均衡している。中国ではステンレス鋼生産は底ばい圏で推移し、日本でも特殊鋼需要は緩やかな回復にとどまることから、モリブデン需要が急拡大する局面には入りにくい。一方、チリを中心とした供給は安定しており、市況は高値圏で推移する公算が大きい。
日本鉄鋼連盟統計では、特殊鋼・ステンレス粗鋼生産は自動車や産業機械向けを中心に緩やかな回復基調にある一方、本格的な需要拡大にはなお時間を要するとみられ、モリブデン需要も急増する局面には入りにくい。輸入面では引き続きチリが主力供給国となる一方、米国やアジア諸国からの補完調達も定着し、調達先の多様化が進む見通しだ。
価格面では、5月はやや円高となったものの国際価格の高止まりを背景に輸入CIF価格は5,500円/kg台まで上昇した。今後も為替動向による変動はあるものの、世界的な供給が比較的タイトな状態を維持する限り、輸入価格は高値圏で推移する可能性が高い。ただし、中国のステンレス需要の変調や主要鉱山の操業・物流障害などが発生した場合には、市場が再び大きく変動するリスクには引き続き注意が必要である。
(フェロモリブデン)
■数量面では、
5月単月は80トンと、4月(61トン)から増加し前月比131%、前年同月比でも308%と大幅増となった。チリ品は80トン(前月比133%)へ増加し、引き続き全量を占めた一方、「その他」は前月の1トンからゼロとなった。
1~5月累計は344トンで前年同期比118%と前年を上回った。内訳では、チリ品が300トン(前年比115%)と増加し、「その他」も44トン(同138%)と前年を上回っている。
総じて5月は、チリからの輸入増加により数量が持ち直し、累計でも前年を上回る推移となった。依然としてチリ依存度の高い市場構造に変化はなく、スポット要因による月次変動を伴いながら推移している。(表―1、グラフ―1)。


■金額面では、
5月単月は5億33百万円と、4月(3億38百万円)から増加し前月比158%、前年同月比でも442%と大幅増となった。チリ品は5億33百万円(前月比160%)へ増加し、金額面でも全体を牽引した一方、「その他」は前月の4百万円からゼロとなった。
1~5月累計は20億44百万円で前年同期比134%と前年を上回った。内訳では、チリ品が18億01百万円(前年比132%)と増加し、「その他」も2億43百万円(同159%)と前年を上回っている。
総じて5月は、数量増加に伴い金額も大きく回復し、チリへの集中度が一段と高まった。累計でも前年を上回る推移が続いており、フェロモリブデン輸入は引き続きチリを軸とする調達構造が維持されている。(表―2、グラフ―2)。


■輸入CIF(JPY/kg)単価は、全体平均で4月の5,535円/kgから5月は6,658円/kgへ大幅上昇し、2025年以降の最高水準を更新した。主力のチリ品も5,552円/kgから6,658円/kgへ上昇し、全体平均を押し上げた。5月は為替が159.38円と前月比でやや円高方向となったものの、その影響を上回る国際モリブデン価格の高止まりや高値契約の反映により、円建て輸入価格は一段と切り上がった。総じて、為替の押し下げ効果を吸収してなお単価が上昇しており、モリブデン市場は需給均衡を維持しつつも高値圏で推移する局面が続いていると整理できる。
(グラフ―3)。

主要税関別数量・CIF(JPY/KG)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・CIF(JPY/KG)実績 ( )内は前月実績
(モリブデン酸塩詳細分析)
5月は前月より4トン増加の20トン。
中国品0トン、米国品19トン、チリ1トン、インド0トン。

(モリブデン酸化水酸化塩)
■数量面では、
5月単月は198トンと、4月(218トン)から減少し前月比91%となったものの、前年同月比では148%と前年を大きく上回った。主力のチリ品は120トンで前月と同水準を維持し、中国品は20トン(前月比56%)へ減少した。一方、インド品は40トン(前月比200%)へ増加し、オランダから18トンの輸入もみられた一方、米国・台湾からの輸入はなかった。
1~5月累計は1,118トンで前年同期比112%と前年を上回った。内訳では、チリ品が620トン(前年比152%)と全体を牽引する一方、中国品は215トン(同73%)、米国品も22トン(同38%)と前年割れが続いた。
総じて5月は、中国品の減少で全体数量はやや縮小したものの、チリ品が安定供給を維持し、インドやオランダからの補完調達もみられた。累計では引き続き前年を上回って推移しており、チリを中心とした供給構造に大きな変化はみられない。(表―1、グラフ―1)。


■金額面では、
5月単月は13億60百万円と、4月(14億46百万円)から減少し前月比94%となったものの、前年同月比では204%と前年を大きく上回った。チリ品は8億42百万円(前月比101%)と高水準を維持し全体を牽引した一方、中国品は1億39百万円(前月比55%)へ減少した。インド品は2億54百万円(同189%)へ増加し、オランダ向けも1億25百万円計上された一方、米国・台湾からの輸入はなかった。
1~5月累計は70億48百万円で前年同期比133%と前年を上回った。内訳では、チリ品が40億01百万円(前年比186%)と全体を牽引する一方、中国品は13億85百万円(同86%)、米国品も1億38百万円(同47%)と前年割れが続いた。
総じて5月は、チリ品が高水準を維持する一方、中国品の減少で全体金額はやや縮小した。ただし、インドやオランダからの調達が補完し、累計では前年を大きく上回る推移が続いており、金額面でもチリを中心とした供給構造に大きな変化はみられない。(表―2、グラフ―2)。


■輸入CIF単価は、5月に全体平均6,867円/kgと、4月(6,631円/kg)から上昇し、前月比104%となった。5月は為替がやや円高方向へ推移したものの、その影響を上回る国際モリブデン価格の高止まりを背景に、円建て輸入価格は一段と切り上がった。主力のチリ品は6,947円から7,017円/kgへ上昇し、中国品も6,970円/kgと高水準を維持した。オランダ品は6,925円/kg、インド品は6,341円/kgとなり、主要調達先はいずれも高値圏で推移した。
総じて5月は、数量が218トンから198トンへ減少したにもかかわらず、国際価格の高止まりを背景に輸入CIF価格は続伸した。モリブデン酸化物・水酸化物の輸入価格は、為替の円高を吸収しながら高値圏を維持する局面が続いている。(グラフ―3)。

主要税関別数量・CIF(JPY/KG)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・CIF(JPY/KG)実績 ( )内は前月実績
(IRUNIVERSE S. Aoyama)