2026年7月20日(月)〜7月24日(金)
1.価格動向
(1) 国際クロム鉱石 中国着価格(CIF中国、ドル/トン)
産地 | 品位 | 受渡条件 | 7/20 | 7/24 | 変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 南アフリカ | 42-44%精鉱 | CIF中国・バルク | 300〜305 | 302〜308 | ↑2〜3 |
| 南アフリカ | 40-42%精鉱 | CIF中国・バルク | 280 | 280 | ― |
| トルコ | 46-48%精鉱 | CIF中国・バルク | 375〜380 | 385〜390 | ↑10 |
| パキスタン | 46-48%精鉱 | CIF中国 | 365〜370 | 370〜375 | ↑5 |
| アルバニア | 48-50%精鉱 | CIF中国 | 390〜395 | 395〜400 | ↑5 |
| アルバニア | 40-42%塊鉱 | DAPアルバニア(国内) | 285 | 295 | ↑10 |
| ジンバブエ | 48-50%精鉱 | CIF中国・バルク | 355〜360 | 355〜360 | ― |
注:上記は市場実勢価格レンジ。記載外の産地・品位は週内を通じ変動なし。
(2) 中国輸入クロム鉱石 現物価格(元/度、CNY/DMTU)
産地 | 品位 | 7/20 | 7/24 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 南アフリカ | 42-44%精鉱(天津/連雲港/上海) | 55〜56 | 56〜57 | ↑1 |
| その他産地 | トルコ、オマーン、アルバニア、イラン、 パキスタン、ジンバブエ等 主要品位 | 週内横ばい | 週内横ばい | ― |
(3) インド産・輸入高炭素フェロクロム価格
産地/出所 | 品位 | 単位 | 7/20 | 7/24 | 変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| インド(Jajpur) | 60% | ルピー/トン・工場渡し | 122000〜123000 | 122000〜123000 | ― |
| 南アフリカ | Cr48-50% Si5% | セント/ポンドCr・CIF | 97〜98 | 97〜98 | ― |
| インド | Cr60% Si4% | セント/ポンドCr・CIF | 97 | 97 | ― |
| カザフスタン | Cr70% Si0.5% | セント/ポンドCr・CIF | 99〜103 | 99〜103 | ― |
| カザフスタン | Cr70% Si0.5%(輸入現物) | 元/トン・50%基準 | 9300 | 9250〜9300 | ↓0〜50 |
| ジンバブエ | Cr58% Si3-4%(輸入現物) | 元/トン・50%基準 | 8200〜8250 | 8150〜8200 | ↓50 |
(4) 中国産高炭素フェロクロム(fecr50c7.5、50%基準)主要産地価格(元/トン)
内モンゴル、四川、広西、天津、江蘇、上海など中国の主要15産地の建値・成約値は、全国的に8,000〜8,400元/トンのレンジで7/20〜7/24の週内を通じて一切変動なし。今週最も安定した品目となった。
(5) 中国産低炭素/微炭素フェロクロム(60%基準)主要産地価格(元/トン)
品目 | 主要産地 | 7/20 | 7/24 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 低炭素 LCFeCr | 四川・甘粛・河南・山西 | 12500〜12700 | 12600〜12700 | ↑50 |
| 微炭素 MCFeCr V6 | 内モンゴル・四川・山西 | 12900〜13200 | 12900〜13200 | ↑50 |
| 微炭素 MCFeCr V10 | 四川・河南 | 12700〜12900 | 12800〜12900 | ↑50 |
(6) シリコクロム合金(SiCr 72%、税込み工場渡し、元/トン)
陝西・青海・四川・内モンゴルの主要4産地とも8550〜8700元/トンのレンジで週内変動なし。
(7) 金属クロム(jcr99-a、税込み工場渡し、元/トン)
地域 | 7/20〜23 | 7/24 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 北京/四川/湖北/上海 | 62000〜63000 | 60000〜61000 | ↓2000 |
| 錦州 | 63000〜65000 | 61000〜62000 | ↓2000 |
| 江西/西北/河南 | 61000〜62000 | 60000〜61000 | ↓1000 |
データ出所:ferroalloynet.com
2.市況コメント
(1) クロム鉱石市場:高品位は各国そろって上昇、中国港湾在庫は減少基調
今週は南アフリカ産中高品位精鉱が底堅く推移した。42-44%精鉱の中国着オファーは火曜(7/21)から302〜308ドル/トン(バルク)に上昇、中国港渡し現物価格も水曜(7/22)に1元/度上昇し56〜57元/度となった。トルコ、パキスタン、アルバニア産の46-48%高品位精鉱は木曜(7/23)に一斉に5〜10ドル/トン上昇した。背景には、南アフリカ国内フェロクロム工場の生産再開が進み地場精鉱の消化が優先されたことで42-44%精鉱の域外流通量が絞られたこと、加えて南アフリカ〜中国間の運賃(ダーバン33〜35ドル/トン等)が高止まりしていることがあり、高品位鉱の調達コストを各国そろって押し上げた。
インドでは今週OMCによるクロム鉱石オークションが実施され、提示量10.48万トンに対し6.05万トン(58%)が落札された。高品位鉱(Cr2O3 52%以上、主にSouth Kaliapani鉱区)の落札価格は基準価格を1.05〜2.37%上回る競り上げとなった一方、Cr2O3 46%未満の低品位鉱はほぼ基準価格どおりで値上がりは見られなかった。高品位鉱に需要が集中する構図は中国市場と共通している。一方、化学グレード・鋳造グレードの南アフリカ産低品位鉱の現物価格は木曜に50元/トンほど下落した。金属クロムや酸化クロムグリーン、クロム塩など下流需要の弱さに加え、ステンレス鋼のオフシーズン入りが背景にある。
貿易統計では、中国の6月のクロム鉱石輸入量は279.57万トン(前月比+13.04%、前年同月比+70.42%)となった。うち南アフリカからが226.44万トン(前月比+16.24%)、ジンバブエからが2.815万トン(同+12.29%)、トルコからが0.971万トン(同-34.17%)。1〜6月累計では1,405万トン(前年同期比+41.51%)に達し、南アフリカ依存が一段と強まっている。
全体として、今週のクロム鉱石市場は「高品位堅調・低品位軟調」の二極化が鮮明となった。中国主要港のクロム鉱石在庫は7月17日時点で499.1万トン、前週比2.9万トン(-0.58%)減少。うち欽州港は3.2万トン減少した一方、天津港は2.5万トン積み増しとなった。
(2) フェロクロム市場:中国の高炭素は膠着、輸入・輸出は各国で明暗
中国における高炭素フェロクロム(50%基準)の主流建値は今週8,000〜8,400元/トンのレンジを維持し、主要産地の建値・成約値とも5営業日を通じて一切変動しなかった。今週最も値動きの乏しい品目となった。市場は「コスト下支え」と「需要の弱さ」の綱引き状態にある。クロム鉱石の底堅さがコスト面で下支えとなる一方、大手ステンレス鋼メーカーの長期契約価格が未提示のため現物取引は閑散、小口の買い意欲も弱く、工場側の値上げ余地も限られている。金曜(7/24)には太原鋼鉄(TISCO)が8月分高炭素フェロクロム長期契約価格を7,895元/トン(50%基準、税込み・運賃込み工場渡し)と発表、前月比200元/トンの引き下げとなり、今後の現物市場の値決めに新たな指標を与えた。
対照的に、低炭素・微炭素フェロクロム(60%基準)は水曜(7/22)に小幅上昇し、内モンゴル、四川、山西など主要産地で建値・成約値がおおむね50元/トン程度切り上がり、木・金もその水準を維持した。金属クロム(jcr99-a)は金曜に今週最大の値動きを見せ、各地で建値・成約値が一斉に1,000〜2,000元/トン下落した。下流の酸化クロム、クロム塩などの調達意欲が下げ止まるかが焦点となる。
中国の6月の高炭素フェロクロム輸入量は14.738万トン(前月比+12.49%、前年同月比-25.86%)。仕向国別では南アフリカから3.117万トン(前月比+2.117万トン増)、カザフスタンから8.342万トン(同-0.132万トン)、ジンバブエから1.331万トン(同-0.505万トン)、インドから1.586万トン(同+0.052万トン)と、供給国によって明暗が分かれた。1〜6月累計は82.52万トン(前年同期比-42.84%)。
生産面では、7月の中国国内主要産地の稼働が引き続き回復した。四川の稼働率は約75%(前月比+8.33ポイント)、広西は約61%(放出率は前月比+5.11ポイント)まで改善し、両地域合計で月産9.5万トン規模が見込まれる。一方、江蘇の低炭素・微炭素フェロクロム工場2社はコスト逆ザヤにより生産を停止し、華南地域の稼働率はやや低下した。
2026年第2四半期の需給データによると、中国の高炭素フェロクロム生産量は281.21万トン(前四半期比+14.42万トン、前年同期比+54.99万トン)。クロム鉱石価格の下落による採算改善が主因で、5月以降は月産90万トン超の水準を維持している。一方、中国の輸入量は42.35万トン(前四半期比+2.18万トン、前年同期比-18.42万トン)と低水準が続く。ステンレス粗鋼生産量は約1,079万トンで、高炭素フェロクロムの理論需要390.59万トンに対し理論供給は402.11万トン、理論上11.52万トンの供給過剰となったが、鋼材メーカーの在庫積み増し等により実際の需給はほぼ均衡した。海外動向としては、4月のフィンランドの高炭素フェロクロム輸出量が31.31万トン(前月比ほぼ横ばい、前年同期比+71.09%、主に米国・スウェーデン向け)、スウェーデンの4月輸出量は3.21万トン(前月比-62.1%)、ベルギーの4月輸入量は16.94万トン(前月比+29.41%、うち96%超がオランダ経由)となり、欧州域内の需給にも変化の兆しがみられる。
3.来週の見通し
・ クロム鉱石:南アフリカ産高品位精鉱の供給逼迫、域外流通の縮小という構図は当面変わらぬ見込み。運賃の高止まりも重なり、42-44%以上の高品位精鉱は各国とも上値が堅い展開が予想される。一方、低品位の化学・鋳造グレード鉱は軟調継続の可能性が高く、ステンレス鋼のオフシーズン需要が底打ちするかが焦点。
・ 高炭素フェロクロム:8月分長期契約価格(7,895元/トン、前月比-200元/トン)が中国国内で確定したことで、現物市場も長期契約価格を軸に値固めに向かう公算。短期的にはやや軟化圧力があるものの、クロム鉱石のコスト下支えにより下落幅は限定的とみられる。
・ 低炭素/微炭素フェロクロム:コスト下支えを背景に、今週切り上がった水準での高値もみあいが続く見通し。下流の合金鋼メーカーの調達動向を注視。
・ 金属クロム:金曜の大幅下落を受け、市場心理はやや慎重に。下流の酸化クロム、クロム塩などの調達意欲が下げ止まるか、さらなる下押しリスクがないか注視が必要。
・ 全体として、業界は依然「コスト下支え・需要弱含み」の綱引き局面にある。8月分各地域長期契約価格の公表状況、南アフリカ・カザフスタン・ジンバブエ・インドなど供給各国の輸出動向を引き続き注視したい。