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【貿易統計/日本】 2026年5月のフェロシリコン輸入統計
鉄鋼生産概況月次:一般社団法人日本鉄鋼連盟 (jisf.or.jp)
為替相場推移 TTS 3か月
(詳細分析)
■数量では、
5月単月は2万3,082トンと、4月(2万9,131トン)から前月比79%へ減少したものの、前年同月比では125%と前年を大きく上回った。中国は9,577トン(前月比104%)と堅調を維持した一方、マレーシアは7,323トン(同62%)へ減少。ブラジルは1,350トン(同64%)、カザフスタンは1,910トン(同71%)、アイスランドも551トン(同36%)といずれも前月を下回った。一方、ロシアは546トン(同118%)と小幅増加し、「その他」は1,825トン(同141%)へ拡大した。
「その他」の内訳は、ベトナム1,579トンが中心で、インド107トン、ブータン63トン、ノルウェー60トン、タイ15トン、韓国1トンとなっており、東南アジアを中心とした補完調達が続いている。
1~5月累計は12万7,219トンで前年同期比106%。マレーシア(前年比126%)、カザフスタン(同225%)、その他(同149%)が全体を押し上げる一方、中国は同94%とやや前年を下回り、ブラジルも同67%にとどまった。総じて5月は、中国が最大供給国を維持したものの、マレーシアや南米・欧州勢の調整により全体数量は減少した。一方で調達先はベトナムなどを含め多様化が続き、多極的な輸入構造は維持されている。(表―1、グラフ―1)。


■国別数量構成比では、4月→5月で構成比に変化がみられた。 中国は32%→41%へ上昇し、再び最大の供給国となった。一方、マレーシアは41%→32%へ低下したものの、依然として中国に次ぐ供給源を維持している。ロシアは2%で横ばい、ブラジルは7%→6%、カザフスタンは9%→8%、アイスランドは5%→2%へそれぞれ低下した。一方、「その他」は4%→8%へ拡大した。結果として、中国・マレーシア2国合計シェアは73%と引き続き全体の約4分の3を占める一方、ベトナムを中心とするその他地域の比重も高まり、主力2国を軸としつつ補完調達を組み合わせる輸入構造が続いている。(グラフ―2)

■金額では、
5月単月は48億32百万円と、4月(58億13百万円)から前月比83%へ減少したものの、前年同月比では126%と前年を上回った。中国は18億65百万円(前月比107%)と増加し最大の供給国を維持した一方、マレーシアは12億73百万円(同62%)へ減少。ブラジルは5億66百万円(同106%)とほぼ横ばい、カザフスタンは3億44百万円(同72%)、アイスランドは2億28百万円(同41%)へそれぞれ減少した。一方、ロシアは96百万円(同120%)、「その他」は4億60百万円(同124%)と増加した。
1~5月累計は263億88百万円で前年同期比97%と、数量は前年を上回る一方で金額はなお前年をやや下回った。マレーシア(前年比119%)、カザフスタン(同196%)、「その他」(同171%)が増勢を支える一方、中国は同94%、ブラジルは同66%、アイスランドは同61%と前年を下回った。総じて5月は、中国が輸入金額を下支えしたものの、マレーシアやアイスランドの減少が響き、全体では前月から調整する展開となった。一方で調達先の多様化は維持され、主力2国を軸とした多極調達構造が続いている。(表―2、グラフ―3)。


■輸入CIF単価は、
全体平均で4月の200円/kgから5月は209円/kgへ上昇した。5月は為替が160.33円から159.38円へやや円高方向に振れ、円建て価格には下押し要因となったものの、中国(189円→195円/kg)、マレーシア(173円→174円/kg)、ロシア(173円→176円/kg)、ブラジル(255円→419円/kg)、アイスランド(361円→415円/kg)など主要調達先の単価上昇がこれを上回り、全体平均は上昇した。数量構成でも、中国のシェアが32%から41%へ拡大する一方、マレーシアは41%から32%へ低下し、「その他」も4%から8%へ上昇するなど調達ミックスに変化がみられた。5月は円高による価格押し下げ効果を、高単価材の増加と主要供給国の価格上昇が吸収し、輸入CIF価格は再び200円/kg台へ切り上がった月と整理できる。
一方、ベンチマークとなる中国品の国際価格は、
4月 $1220.00/t→ 5月 $1205.00/tとやや調整が入ったものの高値圏を維持、輸入CIF単価の上昇と歩調をそろえた。
フェロシリコン(75%min FOB China)1年
(グラフ―4)。

主要税関別数量・CIF実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・CIF実績 ( )内は前月実績
■今後の展望
フェロシリコン輸入は5月に2万3,082トンと前月から減少したものの、累計では前年を上回る水準を維持しており、国内需要は大きく落ち込んではいない。日本鉄鋼連盟統計でも、建設向け普通鋼は低調が続く一方、自動車や産業機械向けを中心とした特殊鋼需要には持ち直しの動きがみられ、フェロアロイ需要も底堅く推移するとみられる。
供給面では、中国とマレーシアが引き続き全体の7割超を占める中核供給国であり、カザフスタンやブラジル、ベトナムなどが補完する多極調達構造が定着している。特定国への依存はなお大きいものの、調達先の分散化は着実に進展している。
価格面では、5月は円高局面にもかかわらず調達ミックスの変化によりCIF価格は209円/kgへ上昇した。さらに6月以降はドル円が161円台後半まで円安方向へ振れたことから、円建て輸入価格には再び上昇圧力がかかりやすい。世界的に供給過剰感は限定的で、中国の鉄鋼生産も大幅な減速には至っていないことから、当面は「数量は2万トン台前半を維持し、価格は円安を背景に底堅く推移する」展開が基本シナリオとなりそうだ。
(IRUNIVERSE S. Aoyama)