香港への金流入が増えている。米ブルームバーグ通信が7月29日に伝えたところによると、6月の金流入量は130万トン超と2014年末以来およそ11年半ぶりの高水準となった。長引く中東紛争でドバイの地盤沈下が進み中東からの金流入が続くうえ、中国での金需要も根強い。香港は7月初めに独自の金決済システムの試験運用も開始した。 (見出し写真は香港政府観光局ホームページから)
■「金行」が軒並べる香港、4月以降に流入増
香港統計局のデータでは、香港の6月の非鉄金属の流入額は前年同期比91.9%像の193億8800万香港ドル(約4000億円)だった。
プレスリリース(香港統計局) C&SD : Table 410-50031 : External merchandise trade statistics by ten principal commodity divisions - imports
香港はもともと金の加工や売買が盛んで、銀行ならぬ「金行」は宝石店を指す。日本にも進出する周大福珠宝をはじめ、通りには数店に1店は宝石店が軒を並べ、人々は結婚祝いに誕生日にと気軽に金製品を売り買いする。その香港への金流入は4月以降、顕著に増えていた。現地英字紙のサウスチャイナ・モーニング・ポストは5月、「中東やロシアの業者が香港で金取引を行っている」と伝えていた。戦火に追われて商品を移し、慌てて割引で販売するケースもあったという。
需要も堅調だ。香港は古くから中国への中継貿易地点で、金も多くが中国に輸出される。中国の金備蓄は6月末時点で7544万オンスと1月末から125万オンス増えた。政府のみならず個人も金投資には変わらず積極的だ。
中国の備蓄資産

(出所:中国人民銀行ホームページ)
■ロンドンNYに並ぶアジアの金取引ハブへ
香港は7月7日、独自の金決済システム「金中央清算・決済システム」の試験運用を始めた。新たに創立した香港貴金属中央清算システム有限公司(港金結算公司)が監督する中央清算システムで、銀行、金融機関、金鉱山会社、精錬業者、宝飾品メーカーなどサプライチェーン全体を網羅する41機関が試験運用に参加した。
世界の金取引はロンドン金属取引所(LME)とニューヨーク商品取引所(COMEX) での取引が7割以上を占めるが、欧米の夜間に当たるアジア時間での取引が弱いとの指摘がかねてあった。この部分を埋めるのに香港とシンガポールが競争していたが、香港が先手を打った形だ。
香港は上海黄金交易所(上金所)とも連携する。また、香港国際空港の空港貴金属保管庫を拡大するほか、独自の価格コード「HAU」も設定した。