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2026年5月 コバルトくず輸出統計分析 スポット案件で数量反落 LME高値でFOBは急伸

2026/07/31 10:38
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2026年5月 コバルトくず輸出統計分析 スポット案件で数量反落 LME高値でFOBは急伸

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為替相場推移 TTS 3か月

 

(詳細分析)
■輸出数量では、
5月は16トンと、4月の63トンから前月比25%へ大幅減少し、前年同月比でも14%にとどまった。4月に全体の大半を占めた中国向け大型案件(60トン)が一巡し、5月は中国向け8トン、米国向け6トン、英国向け2トンと、小口案件中心の構成へ戻った。特定国への大量出荷はみられず、輸出は再び低水準で推移した。
1~5月累計は161トンで前年同期比72%となった。累計では中国向け68トンとシンガポール向け57トンが中心を占める一方、米国向け16トン、英国向け8トン、「その他」12トンと続く。シンガポール向けは前年を上回ったものの、中国は前年並み、米国・英国は前年を下回って推移している。
総じて5月は、4月の中国向け大型スポット案件の反動から輸出数量が急減し、コバルトスクラップ輸出は依然として大型スポット案件の有無によって月次実績が大きく左右される市場構造が続いている。年間ベースでも特定仕向け先への一時的な出荷が全体を左右する傾向は変わっていない。
(表―1、グラフ―1)。



 

■数量構成では、
4月から5月にかけて、中国向けは95%から50%へ低下したものの、引き続き最大の輸出先となった。一方、米国向けは5%から38%へ大きく上昇し、英国向けも13%を占めるなど、4月の中国一極集中から複数国向けへ再び分散する構成へ変化した。シンガポール向けや「その他」向けの出荷はなく、輸出先は中国・米国・英国の3か国に集約された。
総じて5月は、中国向け大型案件が一巡したことで輸出数量は大幅に減少した一方、輸出先構成は中国偏重から米英向けを含む分散型へ回帰した。 コバルトスクラップ輸出は引き続き大型スポット案件の有無によって輸出先構成や数量が大きく変動する、不安定な市場構造が続いている。
(グラフ―2)。


 


■金額面では、
5月単月は41百万円と、4月の86百万円から前月比47%へ大幅減少し、前年同月比でも20%にとどまった。4月の中国向け大型案件(80百万円)が一巡したことで、5月は中国向け18百万円、米国向け17百万円、英国向け5百万円、シンガポール向け1百万円と、小口案件が中心の構成となった。
1~5月累計は2億92百万円で前年同期比87%となった。累計ではシンガポール向け126百万円と中国向け98百万円が全体の大半を占める一方、米国向け37百万円、英国向け16百万円、「その他」14百万円と続く。シンガポール向けは前年を大きく上回ったものの、中国、米国、英国はいずれも前年を下回る推移となっている。
総じて5月は、4月の中国向け大型スポット案件の反動により輸出金額は大幅に縮小し、コバルトスクラップ輸出は数量だけでなく金額面でも大型スポット案件の有無に左右される変動の大きい市場構造が続いている。年間実績も特定仕向け先への一時的な大型案件が全体を左右する傾向に変化はみられない。
(表―2、グラフ―3)。
 


 

■輸出FOB単価では、
全体平均は4月の1,370円/kgから5月は2,548円/kgへ大幅上昇した。5月は為替が4月よりやや円高方向へ推移したものの、LMEコバルト価格は55,854ドル/トン前後と高値圏を維持しており、市況面での変化は限定的だった。
一方、輸出先別では中国向けが1,328円/kgから2,301円/kgへ上昇し、米国向けも2,211円/kgから2,764円/kgへ上昇、英国向けも2,482円/kgと高水準となった。4月は中国向け大型案件が全体平均を押し下げたのに対し、5月は中国・米国・英国向けの単価がそろって上昇したことから、平均FOB価格は大きく切り上がった。
総じて5月は、小幅な円高による影響を高単価案件の増加が大きく上回り、輸出FOB単価は2,500円/kg台へ急伸した。 コバルトスクラップの価格形成はLME相場以上に、スポット案件の内容や仕向け先構成(ミックス)の変化に左右される状況が引き続き鮮明となっている。
(グラフ―4)。
 

税関別実績数量・FOB(JPY/Kg)カッコ内は前月

国別税関別実績数量・FOB(JPY/Kg)カッコ内は前月


■今後の展望
コバルトスクラップ輸出は、引き続き大型スポット案件に左右される不安定な展開が続く見通しだ。5月は4月の中国向け大口案件の反動で数量・金額とも急減したが、市場構造そのものに大きな変化はなく、月次実績は個別案件の有無に左右される状況が続こう。
価格面では、DRコンゴの輸出枠(クオータ)管理が供給を引き締める中、LMEコバルトは5.6万ドル/トン前後で高値圏を維持している。一方、SMMによれば、LG(低品位)コバルト原料は供給制約を背景に底堅い一方、HG(高品位)コバルトや硫酸コバルトはEV・電池材料需要の鈍化やLFP電池へのシフトを背景に調整色が続く。精錬品価格は一時下落したものの、これは需給悪化というより投機資金の手仕舞いによる面が大きく、原料価格は依然として高水準を維持している。
加えて、6月以降の円安進行は円建てFOB価格の下支え要因となるため、当面は「数量はスポット案件次第で大きく変動する一方、価格はDRコンゴの供給管理と円安を背景に高値圏を維持する」展開が続く公算が大きい。

(IRUNIVERSE S. Aoyama)

 

青山 雫

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