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2026年5月フェロクロム輸入統計分析 調達先の変動続く 低炭素は多様化、高炭素は南ア回復

2026/07/31 12:16
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2026年5月フェロクロム輸入統計分析 調達先の変動続く 低炭素は多様化、高炭素は南ア回復

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【貿易統計/日本】 2026年5月のフェロクロム輸出入推移統計


為替相場推移 TTS 3か月


(低炭素フェロクロム輸入分析)
■数量では、
5月は1,773トンと前月比83%で減少したものの、前年同月比では103%と前年並みを維持した。カザフスタンは120トン(前月比11%)へ急減し、ドイツも80トン(同50%)に減少した一方、「その他」が1,573トン(同322%)へ急増し全体の約9割を占めた。
「その他」の内訳は、インド1,050トンが中心で、米国379トン、ベトナム82トン、スウェーデン40トン、メキシコ20トンのほか、タイ、フィリピンからの小口輸入で構成される。
1~5月累計は8,160トン(前年同期比151%)と大幅増を維持しており、5月はカザフスタン依存が低下する一方、インドや米国を中心としたスポット調達が数量を支える展開となった。
(表―1、グラフ―1)



 

■国別数量構成比では、
5月はカザフスタンが52%から7%へ大きく低下し、4月の主力供給国の地位を失った。一方、「その他」は23%から89%へ急拡大し、全体の約9割を占める構成となった。トルコ、中国、ロシアからの輸入はなく、ドイツは7%から5%へやや低下した。
「その他」の中心はインド(1,050トン)で、米国(379トン)、ベトナム(82トン)、スウェーデン(40トン)、メキシコ(20トン)などが続き、インド・米国を軸とした調達構成へ大きくシフトした。
総じて5月は、4月のカザフスタン主導型から、インド・米国を中心とする「その他」主導型へ供給構造が大きく転換した。低炭素フェロクロムの輸入は、特定国への依存を固定化するのではなく、案件ごとに調達先が大きく入れ替わる特徴が引き続き鮮明となっている。

(グラフ―2)。
 

 

■金額では、
5月単月は9億22百万円と、4月の12億19百万円から前月比76%へ減少したものの、前年同月比では113%と前年を上回った。1~5月累計は45億87百万円で、前年同期比155%と引き続き高い伸びを維持している。
国別では、カザフスタンが63百万円(前月比10%)へ急減し、トルコ、中国、ロシアからの輸入はなかった。一方、「その他」が8億10百万円(同260%)へ大幅増加して全体を牽引し、ドイツも49百万円(同50%)となった。「その他」はインド、米国、ベトナム、スウェーデン、メキシコなどからの調達で構成され、特にインドと米国の寄与が大きかった。
総じて5月は、4月のカザフスタン主導から、インド・米国を中心とする「その他」主導へ輸入構造が大きく転換した。累計では前年を大きく上回る水準を維持しており、低炭素フェロクロム輸入は供給源を柔軟に切り替えながら調達を拡大する局面が続いている。(表―2、グラフ―3)


 

■輸入CIF単価では、
全体平均は4月の569円/kgから5月は520円/kgへ低下し、前月比91%となった。5月は為替が4月よりやや円高方向へ推移したことに加え、4月に534円/kgだったカザフスタン品が大幅に減少し、輸入の約9割を占めた「その他」のインド材など比較的低単価品の比率が高まったことが全体平均を押し下げた。
国別では、カザフスタン品は534円/kgから521円/kgへ小幅低下し、ドイツ品は619円/kgで高水準を維持した。一方、トルコ、中国、ロシアからの輸入はなく、価格形成は「その他」の調達構成に大きく左右される結果となった。
総じて5月は、小幅な円高と調達ミックスの変化を背景に輸入CIF価格は調整局面となった。もっとも、6月以降は再び円安基調へ転じていることから、円建て輸入コストには再び上昇圧力がかかりやすい環境にあり、今後も価格は為替動向とスポット調達の構成比に大きく左右される展開が続くとみられる。
(グラフ―4)。

低炭素フェロクロム(C0.06% Cr65% USD/LB)1年

 

主要税関別数量・CIF実績 (  )内は前月実績

主要国別税関別数量・CIF実績 (  )内は前月実績

 

(高炭素フェロクロム輸入分析)
■数量では、
5月単月は2万8,172トンと、4月の5万185トンから前月比56%へ大幅減少し、前年同月比でも96%と前年をやや下回った。1~5月累計は16万6,782トンで、前年同期比86%と依然として前年割れが続いている。
主要輸入元では、南アフリカが1万3,773トンで最大の供給国となったものの、前月比では66%へ減少した。カザフスタンも7,090トン(同32%)と大幅に減少し、インドは2,480トン(同83%)と小幅減少した。一方、「その他」は4,829トン(同124%)と増加し、全体に占める比率を高めた。
総じて5月は、カザフスタン、南アフリカの主要供給国からの輸入減少により全体数量は大きく縮小した。一方で「その他」の比率は上昇しており、調達先の分散は進んだものの、累計数量はなお前年を下回るなど、高炭素フェロクロム輸入は回復力に欠ける展開が続いている。
(表―1、グラフ―1)



 

■国別数量構成比では、
5月はカザフスタンが45%から25%へ大きく低下した一方、南アフリカは42%から49%へ上昇し、最大供給国となった。「その他」も8%から17%へ拡大し、補完ソースとしての存在感を高めた。一方、インドは6%から9%へやや上昇した。
この結果、カザフスタンと南アフリカの合計シェアは87%から74%へ低下し、4月の主要2国集中型から、5月は「その他」を含めたやや分散型の調達構造へ移行した。ただし、依然として南アフリカとカザフスタンの2国で全体の約4分の3を占めており、高炭素フェロクロム輸入は引き続き両国を軸とした供給構造が続いている。(グラフ―2)。


 

■金額では、
5月単月は71億73百万円と、4月の129億89百万円から前月比55%へ大幅減少したものの、前年同月比では109%と前年を上回った。1~5月累計は440億35百万円で、前年同期比101%とほぼ前年並みの水準を維持している。
国別では、南アフリカが28億53百万円で最大の供給国となったが、前月比では68%へ減少した。カザフスタンも23億45百万円(同33%)と大幅に減少し、インドは6億11百万円(同86%)と小幅減少した。一方、「その他」は13億64百万円(同125%)へ増加し、全体に占める比率を高めた。
総じて5月は、カザフスタンと南アフリカの輸入減少により金額は前月から縮小した一方、「その他」の増加によって調達先の分散が進んだ。 累計では前年並みの水準を維持しており、高炭素フェロクロム輸入は主要供給国を軸としつつも、補完ソースを組み合わせる調達構造が続いている。
(表―2、グラフ―3)



 

■輸入CIF単価は、
全体平均は4月の259円/kgから5月は255円/kgへ小幅低下した。5月は為替が4月よりやや円高方向へ推移したことに加え、カザフスタン品が313円/kgから331円/kg、インド品が238円/kgから246円/kg、南アフリカ品も200円/kgから207円/kgへそれぞれ上昇したものの、南アフリカの構成比が42%から49%へ高まり、比較的単価の低い調達比率が上昇したことや、「その他」の調達構成の変化が全体平均を押し下げた。
総じて5月は、主要供給国の単価は上昇したものの、小幅な円高と調達ミックスの変化により全体CIF単価は255円/kgへやや調整した。ただし、6月以降は円安基調へ転じていることから、円建て輸入コストには再び上昇圧力がかかりやすく、今後も価格動向は為替と調達先構成の変化に左右される展開が続くとみられる。(グラフ―4)。


高炭素フェロクロム(C6~8% Cr60~63% Si3% max $/LB)1年

国内ステンレス304系冷延薄板(2B/2mm)1年

 

主要税関別数量・CIF実績 (  )内は前月実績

主要国別税関別数量・CIF実績 (  )内は前月実績

 

■今後の展望(高炭素フェロクロム輸入)
高炭素フェロクロム輸入は、当面は数量・価格とも一進一退の展開が見込まれる。5月は輸入数量が前月から大きく減少したものの、累計では16万トン台を維持しており、需要が急減したというより調達タイミングの変動による影響が大きい。日本鉄鋼連盟統計でも粗鋼・ステンレス粗鋼生産の回復は緩やかで、実需の力強い拡大はなお期待しにくい。
供給面では、カザフスタンと南アフリカが引き続き中核を担う一方、インドやその他地域を組み合わせる調達が続く見込みで、案件ごとの仕入れ先変更も続こう。価格面では、欧州フェロクロム契約価格は底堅く推移しており、6月以降の円安進行が円建て輸入コストを押し上げる要因となる。一方、中国ではステンレス生産は大幅な増勢には至らず、フェロクロム需給もおおむね均衡圏で推移していることから、価格が一段と上昇する材料は限られる。
総じて、「数量は月ごとの調達案件で変動し、価格は円安と契約価格に支えられながらも、高炭素フェロクロム相場はレンジ圏で推移する」展開が当面の基本シナリオとなりそうだ。

(IRUNIVERSE S. Aoyama)
本記事は執筆者個人の分析および見解であり、IRuniverseの公式見解を示すものではありません。内容は情報提供を目的としたもので、投資判断の根拠として用いることを意図したものではありません。

 

青山 雫

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