産業技術総合研究所再生可能エネルギー研究センターの遠藤成輝主任研究員は15日、山王と共同で、電気めっき法を用いて、厚さ約1.5 μmのパラジウム(Pd)層と多孔質ニッケル(Ni)支持体を一体化した、自立型のパラジウム/多孔質ニッケル複合水素分離膜を開発し、その性能を評価したと発表した。
今回の研究では薄いパラジウム層と多孔質ニッケル支持体を全て電気めっきで形成し、両者を一枚とした複合水素分離膜を開発した。多孔質ニッケル支持体が水素の通り道を確保しながら薄いパラジウム層を支えることで、厚さ約1.5 μmのパラジウム層でも、400 ℃、0.75 MPa(7.5気圧)の差圧に耐え、有効直径7.1 mmの膜で1分あたり 150 cm³を超える水素流量を示した。同成果は、高価なパラジウムの使用量を抑えつつ、高い水素透過性と耐差圧性を両立できることを示すもので、水素精製装置や膜反応器の低コスト化・高性能化に貢献すると期待される。
同研究では、薄いPd層を先に形成し、その上に多孔質Ni支持体を重ねる製膜プロセスを用いた。水素を選択的に通すPd層と、それを機械的に支える多孔質Ni支持体の両方を電気めっきで形成する「オール電気めっき製膜」により、自立型のPd/多孔質Ni複合膜を作製した点が特徴といえる。
電気めっき法は、膜厚や析出量を制御しやすく、異なる金属層を連続的に形成できるため、超薄型Pd層と多孔質Ni支持体を一体化した複合膜の作製に適している。また、平板状の導電性基板上に必要な金属層を順次形成する工程であるため、基板サイズやめっき槽を拡大することで大面積膜の作製に展開しやすく、量産化を見据えた製造方法としても有望とされている。

(IRuniverse K.Kuribara)