【概況】
10月19~23日のLME非鉄相場は、米国のAI関連株安や米長期金利の低下、ドル安を背景に値動きの荒い展開となった。週前半は銅を中心に底堅く推移し、ニッケルもインドネシアの供給抑制観測を材料に上昇した。しかし22日は世界的なハイテク株安とリスク回避の売りが広がり、銅が前日比278ドル安と急落。23日は銅、アルミ、亜鉛などに買い戻しが入った一方、ニッケルは続落し、金属間で明暗が分かれた。
LME銅3Mは前週末16日の14,407.50ドル/MTから23日は14,322.50ドルへ85ドル安となった。一方、アルミは3,001.50ドルから3,043.50ドルへ42ドル高、ニッケルは15,363ドルから15,848ドルへ485ドル高と上昇した。亜鉛は3,692ドルから3,743.50ドルへ51.50ドル高、鉛は1,889ドルから1,907.50ドルへ18.50ドル高、錫も50,384ドルから50,517ドルへ133ドル高となった。週間では銅のみが下落し、ニッケルの上昇率が3.2%と際立った。
需給面では、LME銅在庫が16日付の232,175MTから22日付には273,750MTへ41,575MT急増した。キャンセルワラント比率も36%台から19.3%へ低下したが、23日の銅現物は3Mを149.47ドル上回り、大幅なバックワーデーションを維持した。アルミ、亜鉛、錫も現物高が続く一方、ニッケルと鉛は順ザヤとなった。鉛在庫は週間で15,950MT減少し、キャンセルワラントも71,200MTへ増加。亜鉛は在庫が増加したものの、キャンセルワラント比率は20%に上昇した。
米国の株価・金利動向が非鉄相場を揺さぶるなか、銅では倉庫在庫の急増と現物需給の引き締まりが併存し、ニッケルでは供給不安による価格上昇と順ザヤの継続が対照をなした。在庫総量だけでは説明しきれない金属ごとの需給構造の違いが浮き彫りとなった一週間だった。
(NYドル円)AI関連株安で円買い優勢 週末156.84円
10月19~23日のNYドル円は、19日の158.54円から21日は158.15円と158円前後でもみ合ったが、22日は世界的なAI関連株安を受けて円買いが強まり、156.83円へ下落。23日も一時156.08円まで円高が進み、156.84円で週末を迎えた。米長期金利の低下とリスク回避に伴う円売りポジションの巻き戻しが進み、200日移動平均線を下回った。
(東京ドル円)158円台から156円台へ下落 週末156.96円
10月19~23日の東京ドル円は、週前半の158円台から22日には157.22~24円へ下落。23日はAI関連株安と米長期金利低下を背景に一時156.08円まで円高が進んだが、実需のドル買いで下げ渋り、午後5時時点では156.95~97円となった。前週末16日比1円05銭の円高・ドル安となり、翌週の日米金融政策決定会合を控えて円買いが優勢となった。
東京外為市場(三菱UFJ基準値)
10月23日(金)
東京TTS(基準値)
1ドル=157.51円
前週末
10月16日(金)
東京TTS(基準値)
1ドル=159.19円
に対して1円68銭のドル安円高に。
【LME概況】
(カッパー)在庫4万MT超急増、現先逆ザヤ維持も需給に変調
LME銅3Mは前週末16日の14,407.50ドルから19日に14,339ドルへ反落した後、20日はNYダウ高を支えに14,420.50ドルへ反発。しかし21日は14,356ドル、22日は14,078ドルへ続落した。22日は世界的なAI関連株安とLME在庫急増が重なり、前日比278ドル安と大幅下落。23日は買い戻しで14,322.50ドルへ244.50ドル反発したものの、前週末比85ドル安となった。
LME在庫は16日の232,175MTから23日には273,750MTへ41,575MT増加した。特に21日に11,475MT、22日に27,675MTと、2営業日で39,150MT急増したことが特徴。米国倉庫を中心とする搬入増加が、これまでの在庫減少基調を一変させた。キャンセルワラントは16日の84,725MTから23日には52,900MTへ減少し、比率も36.49%から19.32%へ大幅に低下した。
一方、Cash-3Mのバックワーデーションは19日の106.72ドルから20日には170.75ドルへ拡大。その後21日に116.34ドル、22日に120.67ドルとなり、23日には149.47ドルへ再拡大した。LME在庫の急増にもかかわらず現物高が維持されている点は注目される。米国への在庫集中が進む一方、現物の受渡しを巡る地域的な需給の偏りが残っている可能性がある。
チリ・Escondida鉱山のストライキ懸念後退に加え、米国倉庫への銅流入が需給緩和を意識させる一方、現先の大幅な逆ザヤが相場の下値を支える構図となった。今後は在庫増加が継続するか、現先逆ザヤの縮小に結び付くかが焦点となる。
【国内銅建値】21日に2,410円へ上昇も23日は90円安の2,320円 真鍮削粉も急落
国内銅建値は10月15日の2,390円/kgから21日に20円引き上げられ、2,410円/kgとなったが、23日には90円引き下げられ、2,320円/kgへ急落した。15日比70円安、10月平均建値は23日時点で2,371.5円/kgとなった。22日のLME銅3Mが前日比278ドル安の14,078ドル/MTへ下落したことに加え、米国倉庫を中心とするLME銅在庫の急増や世界的なAI関連株安が下押し要因となった。為替TTSも159.24円から157.51円へ1円73銭の円高となり、建値引き下げに拍車をかけた。
日本伸銅の真鍮削粉買値も21日時点の1,672円/kgから23日には53円安の1,619円/kgへ下落し、10月平均は1,650.3円/kgとなった。国内銅建値は週前半の上昇から一転、海外銅相場の急落と円高を受けて大幅な調整を余儀なくされた。
(アルミ)3,000ドル前後で上下、週末は3,043ドルへ反発
LMEアルミ3Mは前週末16日の3,001.50ドルから19日に3,016.50ドルへ上昇したが、20日は3,002.50ドルへ反落。21日は欧米株高を背景に3,041.50ドルへ反発したものの、22日はAI関連株安を受け3,009.50ドルへ下落した。23日は序盤に2,991ドルまで売られた後、銅相場の買い戻しに追随して3,043.50ドルへ上昇。前週末比42ドル高で終了した。
LME在庫は16日の236,375MTから23日には235,800MTへ575MT減少。キャンセルワラントは15,025MTから14,450MTへ減少し、比率は6%台で推移した。23日のCash-3Mは27.51ドルのバックワーデーションとなり、22日の22.98ドルから拡大した。
中東の供給回復やインドネシアの増産見通し、中国需要の伸び悩みなど、中期的な供給緩和材料は引き続き上値を抑える要因となっている。ただ、今週は3,000ドルを挟んで売買が交錯し、週末には現物高が拡大。マクロ面の逆風にもかかわらず、週間では小幅高を確保した。
【アルミ日経SPO】週後半に592円へ持ち直すも、依然600円割れの低水準
国内アルミ日経SPOT価格は10月16日の579円/kgから19日に582円、20日に588円へ上昇。21日は587円と小幅反落したものの、22日には592円へ持ち直し、16日比13円高となった。しかし、前週13日の613円を21円、10月初日の627円を35円下回り、依然600円台を回復できていない。LMEアルミ3Mは16日の3,001.50ドル/MTから23日には3,043.50ドルへ42ドル上昇したが、国内価格の戻りは限定的で、9月の600円台半ばと比較しても低水準にとどまった。
(ニッケル)インドネシア供給抑制観測で急伸、週末は反落も週間485ドル高
LMEニッケル3Mは前週末16日の15,363ドルから19日に15,529ドル、20日に15,662ドルへ続伸。21日はインドネシア政府による供給過剰と価格下落への対応策として、減産・供給抑制措置が講じられ、中国の業者も協調するとの見方が広がり、一時16,340ドルまで上昇した。終値も16,234ドルと前日比572ドル高の急伸となった。
しかし22日は世界的なAI関連株安と利益確定売りから16,120ドルへ反落。23日も原油高によるインフレ・景気減速懸念と欧米株安を背景に15,848ドルへ272ドル下落した。それでも前週末比485ドル高と、主要非鉄金属のなかで上昇が目立った。
LME在庫は16日の280,110MTから23日には280,674MTへ564MT増加し、引き続き28万MT前後の高水準にある。キャンセルワラントも21,216MTから21,246MTとほぼ横ばいで、在庫面から明確な需給引き締まりを確認できる状況にはない。
今回の急伸は、現物需給の改善よりもインドネシアの政策対応を巡る期待が先行した動きとみられる。世界的な供給余剰観測が残るなか、政府による生産調整がどの程度実施されるか、また中国企業の協調が実際の供給量にどう反映されるかが今後の焦点となる。
(鉛)在庫減少が継続、1,900ドル台を回復
LME鉛3Mは前週末16日の1,889ドルから19日に1,896ドルへ上昇したが、20日は1,894ドルへ小反落。21日は1,909.50ドルへ上昇したものの、22日は1,897.50ドルへ反落した。23日は1,907.50ドルへ10ドル反発し、前週末比18.50ドル高となった。
LME在庫は16日の338,125MTから23日には322,175MTへ15,950MT減少した。キャンセルワラントは36,925MTから71,200MTへ増加し、比率も10.92%から22.10%へ上昇。特に22日にはキャンセルワラントが71,825MTへ急増し、出庫予定在庫の拡大が目立った。
在庫減少とキャンセルワラント増加は現物供給の変化を示唆するが、これだけで需給逼迫を断定することはできない。価格面では他の非鉄金属に比べて変動が限定的で、1,900ドル前後を中心とする底堅い展開となった。
国内鉛建値は360円/kgで据え置かれたが、LME鉛3Mは前週末の1,888ドル/MTから16日には1,889ドルとほぼ横ばいで推移し、国内建値も海外相場の小動きを映した形となった。
(亜鉛)在庫高止まりのなか週末反発、3,700ドル台を回復
LME亜鉛3Mは前週末16日の3,692ドルから19日に3,714ドル、20日に3,725ドル、21日に3,755ドルへ上昇した。しかし22日は世界的なAI関連株安を受け3,671ドルへ84ドル下落。23日は買い戻しが入り3,743.50ドルへ72.50ドル反発し、前週末比51.50ドル高となった。
LME在庫は16日の163,050MTから23日には167,025MTへ3,975MT増加。20日には167,825MTまで積み上がった後、週後半は小幅に減少した。キャンセルワラントは16日の10,300MTから23日には33,375MTへ増加し、比率も6.32%から19.98%へ上昇した。
前週の在庫急増に続き、今週も在庫は16万MT台後半で高止まりした。ただしキャンセルワラントの増加が進んでおり、今後の出庫動向によっては在庫増加基調が変化する可能性がある。精鉱不足や低TCという構造的な供給制約と、LME倉庫在庫の積み上がりという短期的な需給緩和が併存するなか、相場は3,700ドル台を中心に方向感を探る展開となった。
【国内亜鉛建値】22日に3円高の667円 キャンセルワラント増加が支援
三井金属は10月22日、国内亜鉛建値を前回比3円高の667円/kgに引き上げ、23日は据え置いた。10月平均建値は667.1円/kgとなった。三井金属によると、ロシア・ウクライナ停戦交渉の進展期待やNASDAQを中心とする米国株高を背景にLME亜鉛相場は底堅く推移。LME在庫が増加傾向にある一方、約6,000MTのキャンセルワラント増加も相場の支援材料となった。
(錫)5万ドル台を維持、在庫は4,000MT近辺へ減少
LME錫3Mは前週末16日の50,384ドルから19日に50,839ドル、20日に51,334ドルへ上昇した。21日は51,248ドルへ小反落し、22日はAI関連株安を背景に50,089ドルへ1,159ドル下落した。23日は50,517ドルへ428ドル反発し、前週末比133ドル高で終了した。
LME在庫は16日の4,060MTから23日には4,045MTへ15MT減少した。途中21日には4,255MTへ増加したものの、22日は4,095MT、23日は4,045MTへ再び減少。キャンセルワラントは16日の535MTから23日には345MTへ減少し、比率も13.18%から8.53%へ低下した。
ミャンマー・Wa州のMan Maw鉱山の生産回復を巡る不透明感は引き続き供給面の材料となっている。一方、LME在庫は4,000MT台前半と低水準ながら、出庫予定在庫は減少しており、現物逼迫が一段と強まったと判断するには慎重さが必要。週後半は株安に伴う売り圧力が強まったが、5万ドル台を維持して週間では小幅高となった。
(マクロ経済結果)2026年10月19~23日
今週はフランスの財政不安と世界的なAI関連株の変動が金融市場の中心材料となった。19日はフランスでの抗議デモの激化を受けて欧州株が下落し、米10年債利回りは一時5.15%台まで上昇。一方、米ナスダック指数は上昇し、非鉄相場では金属ごとに高安が分かれた。
20日は米9月住宅着工件数が年率122.1万件と市場予想の131万件を下回ったものの、NYダウは529.85ドル高となった。21日はAI関連株の堅調を受けて米株が上昇したが、22日はAI関連投資の収益性に対する懸念が再燃し、ナスダック指数は2.60%下落した。
23日は米10月製造業PMI速報値が56.0と市場予想の55.5を上回り、ミシガン大学消費者信頼感指数確報値も48.0と予想の46.3を上回った。ただ、原油高によるインフレ再燃への警戒からNYダウは652.82ドル安となった。
発表日 主要指標 結果 市場予想
19日 米10月NAHB住宅市場指数 29 31
19日 カナダ9月CPI・前年比 +3.1% +3.2%
20日 米9月住宅着工件数・年率 122.1万件 131.0万件
20日 米9月建築許可件数・年率 140.0万件 139.0万件
22日 米週間新規失業保険申請件数 19.4万件 20.1万件
22日 米9月景気先行指数・前月比 0.0% ▲0.1%
23日 米10月製造業PMI速報値 56.0 55.5
23日 米10月サービス業PMI速報値 57.9 58.0
23日 米10月総合PMI速報値 57.6 57.6
23日 米10月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 48.0 46.3
非鉄市場では、景気指標そのものよりも、AI関連株の変動を通じた投資家のリスク選好と、原油高によるインフレ・金融政策への警戒が相場を左右した。特に22日の全面安と23日の銅・アルミの反発は、株式市場の変動と個別金属の需給材料が交錯する状況を示した。
【中国経済】7~9月期GDPは4.5%増、工業生産堅調も内需低迷続く
中国国家統計局が19日発表した2026年7~9月期の実質GDPは前年同期比4.5%増と、前期の4.3%増から加速し、ロイター調査の市場予想4.4%を上回った。9月の鉱工業生産も前年同月比5.5%増と前月の5.2%増から加速した一方、小売売上高は1.1%増にとどまった。1~9月の固定資産投資は前年同期比7.2%減、不動産開発投資は20.6%減と低迷。輸出や製造業が成長を支える一方、個人消費と不動産市場の弱さが鮮明となり、非鉄需要の本格回復にはなお不透明感が残った。
発表日 中国の主要指標 結果 市場予想
19日 7~9月期実質GDP・前年比 +4.5% +4.4%
19日 7~9月期実質GDP・前期比 +1.2% +1.0%
19日 9月鉱工業生産・前年比 +5.5% +5.4%
19日 9月小売売上高・前年比 +1.1% +0.5%
(マクロ経済イベント)10月26~31日 日米欧の金融政策決定と米GDP、中国PMIに注目
10月26~31日は、米FRB、日銀、欧州中央銀行(ECB)の金融政策決定が集中する。米国では7~9月期GDP速報値と9月個人所得・支出、日本では9月鉱工業生産、中国では9月工業利益と10月PMIが焦点となる。前週のAI関連株安や原油高によるインフレ警戒を受け、金融政策の方向性と中国の非鉄需要動向を見極める一週間となりそうだ。
• 26日(月): ドイツ10月ifo景況感指数、日本8月景気動向指数改定値。
• 27日(火): 中国9月工業利益、米9月耐久財受注・新築住宅販売、10月消費者信頼感指数。FOMC開始。
• 28日(水): 豪州9月CPI、ニュージーランド・カナダ政策金利発表。米FOMC声明公表(日本時間29日午前3時)。
• 29日(木): 日銀金融政策決定会合、ECB理事会結果、米7~9月期GDP速報値・9月個人所得・支出、日本9月貿易統計確報。
• 30日(金): 日銀金融政策決定・総裁会見、日本9月鉱工業生産・小売業販売額・雇用統計、ユーロ圏7~9月期GDP速報、ドイツ10月CPI速報、米7~9月期雇用コスト指数。
• 31日(土): 中国10月製造業・非製造業PMI。
非鉄市場では、29日の米GDPと30日の日銀政策判断、31日の中国PMIが特に重要となる。米金融政策とドル相場の変動に加え、中国の製造業活動が銅・アルミなどの需要見通しに与える影響が注目される。
(IRuniverse/MIRU S. Aoyama)