海外参加者が約3割に、日本からの参加も増加
オーストラリア・シドニーで10月27~29日に開催された国際資源カンファレンス「IMARC 2026」。今回で11回目を迎えた同イベントは、世界の鉱業・資源企業、技術プロバイダー、投資家、政府関係者が集まり、資源開発から加工・精錬、サプライチェーン構築まで幅広いテーマを議論する国際的な場となっている。
主催するBEACON EventsのPeter営業ディレクターによると、IMARCは初回から5回目までメルボルンで開催され、6回目以降はシドニーに会場を移したという。既に来年のシドニー開催も決定したており続々と展示会のスポット予約が埋まっている。
同氏によると、イベントの国際化は年々進んでおり、2026年はオーストラリア国外からの参加者が全体の約3割を占めるという。欧州、中東、アジアなど、世界各地からの参加が広がっている。
背景には、重要鉱物の安定調達をめぐる地政学的な緊張の高まりがある。欧州をはじめ各国が特定地域への供給依存を見直し、調達先の多角化や新たな資源開発プロジェクトへの投資を模索するなか、豊富な鉱物資源と鉱業技術を持つオーストラリアの存在感が増している。
日本からの参加や関心も広がっている。資源の安定確保に加え、豪州の鉱山開発企業や精錬技術を持つ企業との連携、新たな投資機会の発掘という観点からも、IMARCの重要性は高まっている。 MIRUも今回のIMARC開催に合わせ、オーストラリアでリチウムの精錬技術や、ガリウム・ゲルマニウムなどのマイナーメタルを回収する革新的な技術の開発に取り組む企業を訪問。研究開発や実証設備を取材し、資源の安定供給やリサイクルの可能性、日本企業との連携に向けた動きを探った。各社の技術や事業展開については、今後、MIRUで順次紹介する予定だ。
NSW州が重要鉱物の供給拠点として存在感
IMARCは、オーストラリアの資源開発や鉱業技術の発展を中心に、世界の資源産業をつなぐイベントだ。なかでも今回、存在感を強めたのが、開催地であるニューサウスウェールズ(NSW)州である。
NSW州は従来、石炭の主要産地として知られてきた。一方、銅、金、銀などの金属資源に加え、レアアースをはじめとする重要鉱物の開発ポテンシャルも持つ。州政府はこうした資源の開発と投資誘致を進め、重要鉱物の供給拠点としての地位を高めようとしている。
2026年のIMARCでは、NSW州政府が重要鉱物分野の投資機会や人材育成、技術開発を積極的に発信した。州政府は重要鉱物産業の将来を支える人材育成計画も発表しており、鉱山開発だけでなく、鉱物処理やエンジニアリングなどを含めた産業基盤の強化を目指している。
NSW州政府の発表によると、同州の鉱業は約3万1,000人を直接雇用し、関連サプライチェーンには約7,500社が関わっている。鉱業は地域経済を支える重要産業であり、今後は重要鉱物の需要拡大を背景に、新たな投資や雇用の創出も期待される。
こうした州政府の積極姿勢は、IMARCを通じて海外企業や投資家にNSW州の資源ポテンシャルを訴求する動きにもつながっている。
【関連リリース】JOGMECとNSW州政府、重要鉱物を含む資源分野でMOU更新
2026年10月27日、JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)とNSW州政府は、包括的・戦略的パートナーシップに関する覚書(MOU)を更新した。調印式は、シドニーで開催されたIMARCの会期中に行われた。
両者は2017年9月に同MOUを締結。これまで石炭、金属、石油・天然ガスなどの分野で日本企業の投資促進を図ってきた。近年は水素・アンモニア、二酸化炭素回収・貯留(CCS)などにも協力分野を広げている。
今回の更新では、NSW州における重要鉱物の開発と日本企業による投資促進も重要なテーマとなる。NSW州は日本にとって石炭の重要な供給地であり、エネルギー安全保障の観点からも戦略的な関係を築いてきた。
JOGMECは今回のMOU更新を通じ、NSW州との連携を一層強化し、日本へのエネルギー・資源の安定供給を目指す。なお、更新を受けて、2026年11月には日本企業向けの石炭セミナーも開催する予定だ。
出典:JOGMEC「豪州ニューサウスウェールズ州政府との包括的・戦略的パートナーシップに係るMOUを更新」(2026年10月28日発表)
日豪の資源連携は新たな段階へ
今回のIMARCから見えてくるのは、オーストラリアの資源開発をめぐる国際的な関心の高まりと、州政府が重要鉱物を新たな産業成長の柱として位置付けていることだ。
特にNSW州は、従来の石炭供給にとどまらず、銅やレアアースなどの重要鉱物、さらに鉱物処理技術や関連産業の集積を含めた投資機会を海外に発信している。
日本にとっても、重要鉱物の供給源を多様化し、資源の採掘から加工・精錬までのサプライチェーンを強化するうえで、NSW州との連携には大きな意義がある。
JOGMECとNSW州政府によるMOU更新は、こうした協力を具体化する動きの一つといえる。IMARCを通じた企業間交流や投資案件の発掘と、政府間の枠組みづくりが相互に進むことで、今後、日豪の資源連携がさらに広がることが期待される。