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10th ISLC in Colombo #7:鉛蓄電池の循環を支える責任ある調達と安全なリサイクル

2026/11/03 15:36 FREE
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10月26日から28日、スリランカ・コロンボにて「10th International Secondary Lead Conference」が開催された。同会議は約18年の歴史を持つ国際会議であり、使用済み鉛蓄電池(ULAB)の回収・輸送から製錬・精製、環境管理、安全衛生、国際規制まで、二次鉛産業を包括的に議論する場として発展してきた。

本報告では、2日目午前の第2セッションで発表された講演内容、およびパネルディスカッションで議論された内容を詳報する。

 

Trafigura’s approach to responsible sourcing of refined lead:Norman Mukwakwami氏 – Global Head of Responsible Sourcing – Metals, Minerals & Bulk, Trafigura

Mukwakwami氏は冒頭、「責任ある調達の目的は、製品の出所を追跡し、環境・社会・ガバナンス(ESG)上のリスクを評価・軽減し、その取り組みを報告することだ」と説明。Mukwakwami氏が所属する資源商社Trafiguraは、一次鉱物向けに運用してきた調達プログラムを、使用済み鉛蓄電池などから回収する二次鉛にも適用している。二次鉛向けの取り組みは2024年初めに導入した。

Trafiguraは業界団体やNGO、顧客との対話を踏まえ、二次鉛の供給業者に求める要件を、法令順守、使用済み鉛蓄電池の回収・輸送、施設の操業管理、周辺地域への対応の4分野に整理した。具体的には、操業許可の確認や危険物としての適切な輸送に加え、施設の排出管理、作業員の血中鉛濃度の測定、周辺環境の監視などを求める。

取引開始時には公開情報を使って施設周辺の住宅や学校、医療機関の立地、既知の汚染箇所などを調べ、リスクに応じて評価の優先順位を決める。供給業者への質問票では操業許可や環境測定データを確認し、現地では大気汚染防止設備や蓄電池の解体工程、作業員の保護具の着用状況を点検する。

求める水準と実態に大きな差があれば、改善計画を契約に盛り込み、研修などで実行を支援する。例えば血中鉛濃度を測定していない施設には、最初の3カ月をめどに検査機関との契約や、測定値が高かった場合の対応計画を求め、その後も段階ごとに進捗を確認する。重大なリスクが生じた場合は、法務や営業などで構成する社内委員会が、調達を一時停止して改善後に再開するか、契約を終了するかを判断する。

Mukwakwami氏は最後、「できる限り供給業者と協力し、環境や作業員、周辺住民への影響を抑えられるよう改善を進める。深刻な被害の軽減や修復が難しい場合や、改善計画が実行されない場合には、責任ある撤退を選ぶ」と述べて締めくくった。

 

Panel Session: Beyond lead – shaping the next generation of battery recycling

座長:Mark Stevenson, Technical Director, Global Lead Technologies

パネリスト:

  • Syeda Nurunnahar – Assistant Scientist, icddr,b, Bangladesh

  • Susan Bernard – Vice President, Government Relations & Sustainability and Director, Women in the Global Battery Industry, Battery Council International、

  • José Sanchez – Managing Director, Hormesa (Thailand) (Dross Engineering)

  • Andy Bush – Executive Director, International Lead Association

- 鉛・鉛蓄電池市場の先行きをどう見るか

自動車分野を中心に電池の用途が変化し、競合技術も急速に進化している。その影響の大きさは見通しにくいものの、鉛蓄電池には価格面に利点があり、回収・再資源化が経済的に成り立つことから、一次鉛・再生鉛ともに市場の先行きに強気な見方が示された。供給の安定性も強みとして挙がった。

北米については米国で州レベルを中心に拡大生産者責任(EPR)への関心が高まっており、使用済み電池の回収と流通経路の把握が引き続き重要になるとの指摘があった。重要鉱物の指定を巡っては、供給網の追跡可能性と経済安全保障の両面から議論が進んでいるという。

- リサイクル設備に何が求められているか

設備メーカーは品質・生産性の向上、汚染を抑える環境対策、省人化につながる自動化の三つを挙げた。規制の厳格化やスクラップ調達を巡る競争が進む中でも、設備や工程の見直しに対する需要は堅調だという。

会場からは、蓄電池メーカーが鉛の再生を内製化する場合、中小企業でも小規模な製錬設備への投資を回収できるのかとの質問が出た。設備メーカーは採算性は市場によって異なり、先進市場では小規模設備の投資回収が難しい場合もある一方、日量30~50トン規模の設備に関する引き合いがあると説明した。

- バングラデシュで安全なリサイクルを事業化できるか

電動三輪車の普及を背景に、使用済み鉛蓄電池の再資源化には事業機会があると指摘した。投資や技術協力を呼び込むには作業員や周辺住民の健康を守り、環境への影響を抑えながら採算を確保する仕組みが必要だという。他国の先行事例を参考に、現地で実行できる制度や事業モデルを具体化し、政府に提案する必要性を訴えた。

- 業界は政府や公衆衛生の関係者とどう連携すべきか

汚染防止策や責任ある調達の実例を文書化し、政策立案者や規制当局に具体的な情報を届けることが重要だと意見が上がった。また、業界が蓄積してきた安全管理の知見を、政府やNGOと連携して対策が十分に普及していない地域に広げる必要性も指摘された。

一方、公衆衛生の観点からは鉛への曝露が依然として深刻な地域があり、競合する電池技術に対して鉛蓄電池の優位性を訴えるには、不適切な処理による汚染を実際に減らしたことを示す必要があるとの意見が出た。また。北米で過去の操業慣行を改善してきた経験を他地域でどう生かすかも論点となった。

 

関連記事:【アーカイブ】2026 Secondary Lead Conference (鉛蓄電池会議) in Colombo

 

2日目の夜、カンファレンスパーティに参加するため会場からシナモン グランドホテルへ移動。厳重なセキュリティ(左)を通過し、フロント(右)で休憩した。
実はこのホテルは2019年に同時爆破テロが起きた場所でもある。

 

(IRuniverse Midori Fushimi)

 

Midori Fushimi

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