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ドクターE 江守哲の相場解説Season2#2 どうなる原油相場?その1

2020.09.23 12:25

 原油相場の軟調さが目に付く。WTI原油は、先物価格が4月に一時マイナス価格を付けるなど、買い手不利の相場展開が続いている。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響で石油需要が減退するとの見方が強まり、上値を試すことができない状況が続いている。石油輸出国機構(OPEC)やOPEC非加盟国などで構成される「OPECプラス」は、原油価格の引き上げを目指して懸命に減産を続けてきたが、一定の効果はあったものの、彼らが目指している価格水準の回復には程遠いのが実態である。

 

 国際エネルギー機関(IEA)は最新の月報で、新型コロナウイルスのパンデミックに伴う経済低迷からの回復ペースについての慎重な見方を背景に、2020年の世界石油需要予想を8月予想から日量20万バレル引き下げ、9170万バレルに下向き改定した。IEAは月報で、「20年下半期には石油需要の回復ペースが著しく減速する見通し」とし、「経済が本格回復するには数カ月を要するだろう。さらに、新型コロナ第2波により人の移動が再び抑制される可能性もある」との見解を示している。

 

 月報は、新型コロナ禍が再拡大している国も多く、1)ロックダウン措置、2)リモートワークの継続、3)航空需要の減退といった全ての要因が石油需要を抑えているとしている。このため、20年下半期の原油在庫の予想を日量約340万バレル減と、先月見通しを約100万バレル下回る水準に改定した。先進国の商用原油在庫については、7月に32億2500万バレルの過去最高を記録したとして、下半期の在庫取り崩し予想を引き下げている。IEAの見直しは、主要な事業者やトレーダーの予測とおおむね一致している。OPECは需要見通しを下方修正し、英石油大手BPは需要のピークが19年だった可能性を指摘している。OPECは14日発表の月報で、今年の世界の原油需要が日量946万バレル減少すると予想。前月の906万バレルから減少幅を拡大させている。

 

 OPECは14日発表の月報で、今年の世界の原油需要は日量946万バレル減少すると予想。前月の予想から大幅に下方修正した。今年の世界全体の需要は9023万バレルと予想。従来予想の9063万バレルから下方修正した。新型コロナウイルスの感染再拡大で、今年後半の世界経済の回復が鈍化すると見込んだ。来年の世界需要の見通しについても、9686万バレルと従来予想の9763万バレルから引き下げた。また、8月の加盟国の産油量は前月比3.3%増の日量2404万バレルだった。8月からロシアなど非加盟の産油国との協調減産を縮小したものの、産油量は低迷が続いている。国別では、盟主サウジアラビアが5.6%増の889万バレル。アラブ首長国連邦(UAE)も7.1%増の270万バレルとなった。一方、イラクは2.6%減の228万バレルに減らした。世界全体の産油量は132万バレル増の8988万バレルと推計した。

 

 OPECプラスは減産を継続し、供給減による需給バランスの改善の可能性を市場に訴えているのだが、上記のように需給状況は改善しておらず、思うような成果を上げることができていない。そのためか、共同閣僚監視委員会(JMMC)で、協調減産を順守しなかった産油国に厳しい姿勢を示し、原油相場が一段と軟化した場合には、10月に臨時会合を開く意向であると、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相の発言として伝えられている。

 

 OPECプラスは17日、共同閣僚監視委員会(JMMC)の会合を開催したが、アブドルアジズ氏は、世界経済の不確実性を背景に原油が値下がりする中、各国に減産のさらなる順守を要求した。「完全な順守は慈善行為ではなく、各メンバー国の利益を最大化する集団的な取り組みにおいて必要不可欠だ」としており、これまで以上に強い態度をみせている。委員会は、現行の日量770万バレル(世界需要の8%相当)の減産方針を据え置くよう勧告。ただし、関係筋によると、イラク、ナイジェリア、アラブ首長国連邦(UAE)などに対しては、過剰生産を補うためにさらに削減するよう求める方針で、そのための調整期間を11月まで延長する可能性もあるという。

 

 そのうえで、市場にも警告を発している。アブドルアジズ氏は、「石油市場に多額の資金を投じ、空売りで利益を得ているトレーダーは、地獄のような痛手を負うことになる」と警告し、投機筋に脅しをかけている。サウジが原油安でいかに苦しんでいるかがわかる。そのサウジの7月の原油輸出は日量573万バレルと、少なくとも02年以来の低水準だった6月実績の同498万バレルから回復している。7月のサウジの原油生産量は前月比13.3%増の日量848万バレルと、02年12月以来の低水準だった。これまでOPECプラスにおいて、先導的に減産を行ってきたこともあり、8月以降は増産する意向を示していたが、実際に日量900バレルまで増加したもようである。

 

 

*OPEC主要国の産油量の推移(日量百万バレル)

グラフ

 

 

 一方、イランのOPEC理事アミル・ホセイン・ザマニニア氏は、「他の加盟国と同様、イランの利益が守られる限り、OPECを支持する」としている。イランとベネズエラは、OPEC創設時から60年来の加盟国だが、米国の制裁によって脇に追いやられてきた。OPECで主導的な立場をとるサウジは、米国の支持を失うリスクをとる行動ではなく、なだめる姿勢をとっている。しかし、ザマニニア理事は「OPECの全メンバーは、石油が制裁という政治的手段に使われ、産油国に圧力がかかっていることについて、言葉と行動で非難すべきだ」と訴えている。このあたりの考え方は、OPEC内部でも統一されておらず、OPECが一枚岩ではないことがうかがえる。ちなみに、OPEC生産枠のイランのシェアは10年以降、7.5%に半減している。ベネズエラのシェアも約10%から、わずか2.3%に落ち込んだ。一方、サウジのシェアは35%と、7%ポイント上昇している。OPEC内部での力関係がかなり変化していることが確認できる。

 

 

*OPEC加盟国の8月の減産量(日量千バレル)

グラフ

 

 

*OPEC非加盟国の8月の減産量(日量千バレル)

グラフ

 

 

(その2に続く)

 

→(関連記事)ドクターE 江守哲の相場解説Season2#1 銅相場は高値圏を維持する

 

 

(tetsu emori)

(編集iruniverse)

 

 

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