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レアアースを巡る争奪戦が激化-米国は大統領令で中国依存を減らす意向明確に

2020.10.06 10:23

 レアアース(希土類)やレアメタル(希少金属)の確保を巡る米中間の駆け引きが熾烈さを増している。トランプ米大統領は9月末、レアアースの自給を拡大することで中国からの依存を低減することを目指す大統領令に署名した。他方、中国はこれまでレアアースを戦略物資と位置付け、外交カードに利用してきた。こうした動きを受けて、日本や欧州連合(EU)も脱中国依存に向けた独自の対応策に乗り出している。

 

 米中対立が深まるなか、トランプ大統領は9月30日、レアアースの自給を増やし、大半を中国から輸入する構造転換を図ることを目指す大統領令に署名した。トランプ氏は「中国の姿勢を侵略的な行為」とした上で、米鉱業や製造業の雇用を失わせるとの危機感を示した。

 

 レアアースの埋蔵量で米国は世界トップクラスに位置付けられ、かつては一大生産国として知られていたが、中国の安値攻勢に押され鉱山の閉山が相次ぐなど、他国同様に中国依存の比率が高まっていった。

 

 EUの欧州委員会もこのほど、中国依存の低減を目指し、行動計画を発表した。電気自動車(EV)のモーター用高性能磁石などに使用されるリチウムや、航空・宇宙産業の推進で欠かせないチタンなどのレアメタルを安定調達に不可欠な原材料としてリストに加えた。また、レアアースやレアメタルの探査・採掘から利用、リサイクルまでを含め、欧州企業や政府系機関で構成される「原材料連合」の設立にも言及するなど、欧州全体として資源確保に乗り出す構えを見せている。

 

 近年、レアアースの確保が急務とのムードが広がったのは、尖閣諸島沖合で2010年9月に発生した中国漁船と(日本の)海上保安庁の巡視船衝突事件がきっかけとなった。これを契機に、日中間で摩擦が激化。当時、世界供給の9割以上を占めるとされた中国がレアアースの禁輸措置をいう手段に打って出た。供給不足懸念からレアアース価格が急騰する局面で日本は、中国への過度の依存を減らす必要があることを再認識させられた。

 

 ただ、レアアースという資源を外交カードに利用した中国は優位な立場とされたものの、日本のほか、米国や豪州など企業が調達先の多様化、レアアースの新規技術開発を矢継ぎ早に表明したことや、レアメタルの輸出規制に関し、欧州連合(EU)が世界貿易機関(WTO)に提訴するなどの動きもあり、結果としてレアアース価格の下落につながり、当時の中国政府は完全に読みを誤ったとされた。

 

 EVや次世代通信規格「5G」市場の拡大が見込まれるなか、再びレアアースやレアメタルに注目が集まっている。日本もレアメタルの安定供給に向けた備蓄体制の強化に動き出した。今夏、EVや半導体の電子部品の製造などに不可欠のレアメタル争奪激化を見据え、中国依存をさらに低減する方針だ。

 

 資源備蓄を担う石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、国内基準消費量の60日分を目標としていた現状の備蓄量を(種類別に)180日程度まで延ばし、積み増しを急ぐとみられる。また、日本企業による鉱山開発などの権益確保を後押しすることで、中国による市場寡占状態に風穴を開ける狙いもあるとされる。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻さを増すなか、今年6月、中国政府がレアアースなどの戦略物資にかかわる国家備蓄を強化するとの情報が駆け巡った。中国政府が大量のレアアースを買い上げるとの思惑でネオジムなどの相場が上昇基調に転じるなど、市場はこの情報に敏感に反応した。

 

 米地質調査所(USGS)が公表したレアアースの国別生産量(2017年)で中国は79%を占め、第2位の豪州(15%)を大きく引き離すなど、圧倒的な優位を保っている。一方、中国の税関総局によると、8月の中国のレアアースの輸出量は前年比62%減の1,642トンだった。

 

 大幅な輸出減少がコロナ禍による需要減退にとどまらず、中国政府の意図的な輸出制限なのかは不明である。中国の国家備蓄に関する情報は秘密裏とされるため、情報や噂が先走りする傾向にあるが、米中対立の最中にあって、今後も戦略物資としてレアアースやレアメタルの国家備蓄を強化し、外交カードとして輸出制限することも十分に考えられる。

 

 

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写真阿部直哉 (Capitol Intelligence Group 東京支局長)

 1960年、東京生まれ。慶大卒。Bloomberg Newsの記者・エディターなどを経て、2020年7月からCapitol Intelligence Group(ワシントンD.C.)の東京支局長。1990年代に米シカゴに駐在。エネルギーやコモディティの視点から国際政治や世界経済を読み解く。

 著書に『コモディティ戦争―ニクソン・ショックから40年―』(藤原書店)、『ニュースでわかる「世界エネルギー事情」』(リム新書)など。

 首都ワシントンD.C.に本拠を置くCapitol Intelligence Groupは、政治・経済情報を提供するほか、ワシントンから近距離に位置するボルチモア(メリーランド州)への企業誘致に携わっています。米東海岸への企業進出に興味のある方は、MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話でお問い合わせください。

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