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紙と緑のストーリー#1 製紙業界の今 中国に振り回されるはどこも同じ

2021.06.18 14:44

 サステナビリティへの意識の高まりと同時に、循環型資源の最たるものとして改めて注目を集めている紙・パルプ製品。MIRUでは製紙分野についてもこれから詳しくお届けしていく。シリーズ第一段は、製紙業界の「今」をお伝えしたい。

 

→(関連記事)バイオマスWatch#1 国の森林資源を活用するための課題とは?

 

 まず、紙製品の種類だが、これはざっくり「紙」と「板紙」に分類される。紙は新聞用紙、グラフィック用紙(雑誌やコピー用紙等、書いたり印刷したりする紙)を中心とした薄手の紙のこと。ティッシュやペーパータオルといった衛生用紙もここに含まれる。一方、厚紙とも呼ばれる板紙は梱包用の厚い箱、すなわち段ボールを指す。

 

 日本国内の紙・パルプ産業の製品出荷額は約7.5兆円(2018年)。これは製造業全体の約2.3%で、製造業24業種中15番目の規模にあたる。

 

 さて、近年続くペーパーレス化の流れに加え、コロナによるテレワーク普及と各種イベントの中止・延期が追い討ちを掛け、紙の需要は急減している。ピーク時の2000年には約3,200万トンあった総生産量が、昨年は2,288万トンまで落ち込んだ。この生産量の内訳は、紙は前年度比16.9%減の1,122万トン、板紙は同2.0%減の1,166万トンである。これまで長年、紙と板紙の需要構造の比率は6:4程度だったのが、昨年初めて板紙の生産量が紙をわずかに上回り、2020年は業界にとって大きな変化の年となった。

 

 

↓紙・板紙の国内生産量とその内訳   (日本製紙連合会HPより)

 グラフ

 

 

− コロナによる巣ごもり需要はウソ?ホント?

 長引く在宅生活により、ネット通販が大幅に増えたとよく聞く。確かに巷ではAmazonはじめネットショップの箱を多く見かける機会が増え、さぞかし段ボールは引っ張りだこだろうなんて安易に考えてしまうが、元々、段ボール消費は農作物や飲料・加工食品といった食品向け用途が半分を占めており、その次に電化製品や繊維・雑貨等の商業用が続く。通販用板紙は宅配物・引越し用と合わせても全体の5%程度しかシェアがなく、コロナで需要が伸びたとはいえ大きく見ると極々わずか。その増加率よりも外出自粛を背景に物流の動きが鈍いことから、国内での段ボール需要は減少傾向にある。

 

 では何故、板紙の減少が前年度比2%減と軽微なもので済んだのか。

 

 

− 中国の輸入規制で降って湧いた段ボールバブル

 今年1月からスタートした中国の固体廃棄物輸入規制により、これまで輸出量の6−7割を占めていた中国向け古紙の出荷が止まった。しかし、金属・樹脂類と同様に製品化・原料化されものなら OKであるため、段ボール原紙、もしくは段ボールを溶かしてドロドロ状にした原料扱いの古紙パルプに加工しての取引は増えている。

 

 数字で見てみよう。

 

 中国の古紙輸入量は、18年の1,700万トンから20年は689万トンへ激減。しかし成長が続く中国市場では、国内発生量だけでは板紙需要をまかないきれないため原料を輸入する他なく、古紙パルプの輸入量は前年比2倍にあたる790万トンへ激増している。

 

 また、カーボンニュートラルを急速に進めている中国では、CO2排出量の高い製品は自国では製造しない流れになってきているため、今後は原料だけでなく製品での購入量が増えると見込まれる。もしくは、原料をマレーシアやインドネシアへ送って製品化し最終的に中国へモノが流れるという、他業界と全く同様の動きを見せている。

 

 

↓紙・板紙の輸出量と輸出先

グラフ 

 

 

 各製紙メーカではこの突然の段ボールバブルに対応するため、紙の製造機を板紙生産用に切り替える所も多い。特に中堅どころはもともと板紙製造を主な生業とする会社が多いこともあり、業界自体がダウントレンドとなる中、蜘蛛の糸を掴むかの如く輸出を活路とした活発な事業展開を行っているようだ。

 

 一方、古紙リサイクルの現場では、この動きをどう捉えているのだろうか。

 

 関係者「現在の輸出ニーズはあくまでもスポットと考えている。実際、中国との取引は昨年11月まで調子が良かったが、12月に突然オファーがなくなってしまった。海外の情勢は掴み切れないため不安定。加えて、輸出したくとも高騰するコンテナ代や運輸費を考えるとコスト面でなかなか厳しいのが現状で、輸出一本というのは難しい。やはり古紙リサイクルに関しては、国内メーカーに引き取ってもらわなければ立ち行かない。」

 

 また、少子化の影響により日本国内での古紙発生量は年々減ることは間違いなく、コロナ禍の片付けブームで回収率は一時期上がったものの、雑誌にいたっては毎月1%ずつコンスタントに回収量が減り続けているそうで、やはり国内で紙資源を循環させることを第一に考えるのが望ましい。

 

(関連記事)

 ・古紙業界はM&Aで大統合時代へ? その① 

 ・古紙業界はM&Aで大統合時代へ?   その② 

 ・古紙業界はM&Aで大統合時代へ?   その③ 

 

 とは言え、これからもさらに減少が続くと予想される国内での紙へのニーズ。

 

 業界最大手の王子HDは既に北海道・苫小牧と江別の生産を縮小しており、日本製紙も今夏には釧路市の製紙工場を撤退予定。同工場は操業100年にも及ぶ地域経済の要でもあるため地元の危機感は強く、撤退再考を求める署名活動も行われた。

 

 紙・パルプ製造業、そしてそれらを取り巻く関連企業が目指すべき日本の紙循環社会とは。次はSDGsの視点から製紙業界のあれこれをお伝えしたい。

 

 

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emi kuroki

 エンタメ業界で20代を過ごした後、30代は踊って暮らし、

 四十路に突入した今はピラティス講師をめざして目下勉強中。

 執筆の得意分野は福祉、地域コミュニティ、まちづくりなど、結構真面目な3児の母。

 

 

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